「ゲームの企画書」と若ゲの至りを読んだ

不定期に連載をしている(すみません! 続き、書きます…)電ファミさんから出た『ゲームの企画書』と『若ゲの至り』を献本でいただいたので、感想をば。

…まあ、感想といっても、そもそもウェブの記事なので、内容については「いいから読めよ(ゲームの企画書)若ゲの至りで終わりにしてしまっていいかなと思ったり。

ところで「どんな子供でも遊べなければいけない」については、自分にとってとても思い出深い話だったので、一度このブログで記事を書いた。興味があったらどうぞ。

ただし物理本(および電子版)はウェブと違って、縦書きになっているので、日本語としては読みやすくなっているとか、あとウェブより章立てされているので、より構造的で内容がわかりやすいといった特徴があり、やはり書籍はウェブと比べて情報を整理して読みだす能力では上だな…なんて思ってしまう。

と、まあそれだけでは、ナンなので、この本の中には書かれていない、桃太郎電鉄の前や後のハドソンでのエピソードのことなど。

まず、桝田さんが桃太郎伝説を作ったときのエピソードから。これをどっかで桝田さんがしゃべったかは覚えてない。

桝田さんはさくま先生に金を渡されて、それでファミコンとサンプルのドラクエ1を買う(このくだりは対談でも出てくる)。
それで仕事だかというので、24時間ぐらいぶっ通しで、ふっかつのじゅもんも取らずひたすらプレイして、ついにりゅうおうに出会う。

そして有名な「せかいのはんぶんを おまえにやろう」「はい」

レベル1でアレフガルドにほおりだされた桝田さん、上に書いた通りふっかつのじゅもんをとっていないので「ギャーッ!」となり、泣きそうになりながら、もう一度クリア。

桝田さんは笑いながらこの話をしていたし、僕も爆笑したけれど、まあ仕事で何がなんでもプレイしなくちゃいけない状態だったって話を抜きにしても、よくやったもんだと思う。

また桝田さんはハドソンの広告を担当していたので、1989年初頭に『凄ノ王伝説』の広告をやるために北海道は札幌までやってきて、ラスボスをデバッグしている僕と会う。
そんときは「へえ、このラスボス、面白いことやってるね」みたいなことを言われた記憶がある。

で、なんでかわかんないけど、桝田さんは僕を面白がったらしく『スーパー桃鉄』の企画会議で札幌ハドソンにやってきたとき、さくま先生を紹介してくれる。
そして、さくま先生は何を面白がったのか知らないけれど「何も言っちゃだめ、おしえちゃだめ」と僕に念押しして、目の前で、どんちゃんとおのちんという、二人の当時の桃太郎チームのエースデバッガー…というかQAというか、リトマス試験紙プレイヤーにマスターアップ寸前だった『凄ノ王伝説』を、目の前でプレイさせてくれる。

そこで起こった惨劇たるや、自分が作ってきたゲームがどれほどジャンプ600万部を体現するプレイヤーたちからかけ離れていたかを教えてくれる本当にすごいものだった。
以降、自分の中では「ゲームは、このプレイヤーたちが楽しめなければダメなんだ」と30年経っても忘れられない絶対的な基準になっている。

そしてこの時の以来、さくま先生からすれば迷惑かもしれないが、自分は不肖の弟子筋だと思っている。

そういうことを教えてくれた人たちの本なのだから、つまらないわけがないではないか、と書いておきたい。

ゲームの企画書(1) どんな子供でも遊べなければならない (角川新書) | 電ファミニコゲーマー編集部 | 趣味・実用 | Kindleストア | Amazon
ゲームの企画書(1)
どんな子供でも遊べなければならない
ゲームの企画書(2) 小説にも映画にも不可能な体験 (角川新書) | 電ファミニコゲーマー編集部 | 趣味・実用 | Kindleストア | Amazon
ゲームの企画書(2)
小説にも映画にも不可能な体験
若ゲのいたり ゲームクリエイターの青春【電子書籍限定フルカラーバージョン】 (角川書店単行本) | 田中 圭一 | マンガ | Kindleストア | Amazon
若ゲのいたり
ゲームクリエイターの青春【電子書籍限定フルカラーバージョン】
LinkedIn にシェア
Pocket