『炎上とクチコミの経済学』、めっちゃ面白かった

なんてこともなく購入した本だったのだけど、想像よりはるかに当たりの本だったので思わず紹介記事を書いてしまう。
この本は、SNSでレビュー・口コミ・炎上に関わる人、端的に書くならなんらかの形で情報発信する人はどのようなプロフィールを持っていて、どんなタイミングで発信するのか? ということをデータをベースに赤裸々に解析した本だ。
前半戦の企業と個人とSNSの関係のあたりは基礎編で、普通の人には整理としてとても役に立つ。
エコーチャンバー効果とかフィルターバブルとか、インターネットにおいて情報を収集する際に起こる様々な問題や、結果起こることが、非常に簡潔にまとめられていて、会社の上のよくわかってない人にプレゼンするときに、ズバズバ使えそうな内容で、ちょっとした教科書として大変便利だ。
で、もうめちゃくちゃ面白いのが後半戦。
炎上に参加する人間は0.5-1%、RTなどする人間まで含めても3%前後って数字をわかれば「炎上は一部のノイジーマイノリティが膨大な量の書き込みを行うことで起こっているように見える」ってのが実証されていて、くわえて書くと、炎上大好き人間がだいたい0.03-5%ぐらいいて、これが他の炎上に関わったヤツの10倍以上の書き込みをするとか、いわば炎上インフルエンサーがいるってことがわかる。
逆を言えば、炎上インフルエンサーを黙らせることに成功すれば、炎上は一瞬で終わると推測できる。実は同じことがゲームの運営で現実に起こったのを見たことがあるので、非常に具体性に富んだ話だと思ったりしてた。
あとネットでの法律とか社会についての意見と、現実社会のアンケートを比較較正して、現実との違いをあぶり出しにして「ネットでは極端な意見の持ち主が、自分の意見を押し通すために炎上インフルエンサーを行い続けるために、極端な意見ばかりになり、対立しかできないので、議論が機能しなくなる」って話もなかなかに苦笑いしたくなってしまう。
他にも、レビューの点でクチコミを書き込むやつは点数が有意に低い(つまり文句をいうためにクチコミを使っている)とか、使ったり遊んだりし始めて数日以内でのレビューがほとんどで初期レビューとして以上の意味がないとか(しかもゲームなどを生業にしている人間には結構「おお!」と思うデータだったりする)、まあバッタリ倒れたくなるようなデータの嵐の本だ。
最後の方の炎上対策マニュアルとか、個人的には「?」とか思う所もあるのだけど、後半が想像以上に面白い本だったので、お勧めしておく次第であります。

炎上とクチコミの経済学 | 山口 真一 |本 | 通販 | Amazon
炎上とクチコミの経済学
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    バッパ〜謎の本名

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