ゲームのプロ用のキャラクタ作成アンチョコガイド
『シナリオでゲームのプロになりたい人用基礎教養本』に入れようか迷って、載せなかったのが小池先生のキャラクタの本。
シナリオの作り方というよりは、キャラクタの作り方で、ビートシートや3幕構成と言ったシナリオ構造からはかけ離れた本なので、話がボケると思って入れなかったのだけど、教えて欲しい人が多かったので、大急ぎでブログにしてみた。
だいたいにおいてゲームを作るときにはキャラクタが必要だ。
スマートフォンのゲームではチュートリアル用のキャラクタ(ほぼ必須と思った方がいい)が必要だし、たいてい登場人物も必要だ。
さらに日本の場合にはキャラクタにストーリーをつけて売るスタイルが非常に強力なので、大量のキャラクタが必要だ。こんなのどないするねんと言いたくなるほど、キャラクタが必要になったりするのだけど、実はキャラクタを売るのはメディアは違うが前例がある。
というわけで…以下は『re:ゼロから始まるゲームシナリオ』から抜粋をブログ用に書き直したもの。
それはマンガの原作。
大家小池一夫先生の。キャラクタを立てる考え方だ。
小池先生の考え方は、徹底的に雑誌などで長期連載することに特化した思想になっていて、大いにゲームの参考になる構造になっている。 しかもこの右の本は恐ろしいことに、現代のソーシャルメディアの話まで入っていて「勉強する人の底はしれない」と本当にビビった。
以下、かなり長いのだけど、右の本のキャラクタのところを引用してみる。
ヒットしている作品を「キャラクター」で見てみると、確かに人気のある作品ほど、主人公や敵役のキャラクターに読者を惹きつける魅力がある。お話なんて、毎回同じようだったリ、ほとんどお話がないような作品もある。「それでもいいんだ」ということに気づいたのてす。お話はどこかで見たようなお話でもいいというか、お話は基本的にパターンが限られているから、別に読者は毎回違うパターンのお話を求めているわけではないんですね。
小池一夫のキャラクター新論
ぶっちゃけるなら、魅力的なキャラがいればお話なんて毎回同じでもいいんだとまで言われていて、さすがに「エーッ」と言いたくなるのだけど、これでちゃんと食えている人のセリフなので、恐ろしく説得力がある。
しかも小池先生、さらにとんでもないセリフを続ける。
読者は、またそのキャラクターに会いたい。そのキャラクターといっしょにハラハラドキドキしたリ、ときめきたいから、その漫画を手に取る。友達や恋人に会うように、キャラクターに会いたいんです。仲の良い友達や恋人と街を歩いて買い物をしたりしますが、街を歩いたリ、買い物をしたりするのは別に一人でもできます。それが目的ではなくて、一緒にいて楽しい特別な誰かと同じ体験することが、何より大事なのです。
キャラクターも、それと同じことなんだと気づいたのです。
恋人や友達とは別れたくない。
いつまでも一緒にいたい。だからこそ、魅力的なキャラクターが登場する作品はいつまでも連載が続いていく。
それが「キャラクター」の力なのです
作品に魅力的なキャラクターがいるから、読者はそのキャラクターの別の話が読みたいと思う。それに応えることかできれば、プロの作家として生活できるようになリます。
独立した当時の私は、よく出来た「お話」を創ることにばかリに気を取られていたのですが、いくら短編作品を時間をかけて仕上げたとしても、それだけだと1回で終わってしまう。短いから原稿料も少ないし、単行本にもならないので、生活ができない。
端的にまとめると
- 魅力的なキャラクタがいれば、読者はそのキャラクタについてきてくれる。だから連載も続くし、キャラクタで食える。
- 話よりキャラクタが大事なのだ
あまりに身も蓋もない話だとは思うのだけど、引用している文章はいつまでゲームのサービスが続くのか全く分からない、永遠に続くかもしれない状態でシナリオを提供するにはどうすればいいのか? という質問に対する、恐ろしく具体的な答えになっていると思う。
端的に書けば、魅力的なキャラクタを用意して、そこにお話をくっつけろ、というわけだ。
そして、現在のスマートフォンのゲームを見ると、魅力的なキャラクタが用意できれば、ゲームを維持していける、というのはあながちウソではないと思う。
また、小池先生の書いているキャラクタの話は、卵が先か鶏が先かという話と似ているところがあって、前回の記事で取り上げた双極性ツールや、それともブレイク・スナイダーのビートチャートなどでも、登場人物をどう作るかというのは非常に重要なところになっている。
一本の話を作るに魅力的なキャラクタがいた方が作りやすいのは間違いないので、僕は小池先生のこの本を前回のシナリオの教科書の裏側だと思っているのである。
ところで、小池先生のやり方はスゴいのだけど具体性が少々足りないところがあり、それを補うときに超便利なアンチョコが下。
ぶっちゃけ、ともかく性格を言葉で表して、ズラズラと表現として並べてあるって反則本。
「なんとなくXXなキャラ欲しいんだよなー」ってとき、これをめくるとだいたいなんとかなるように出来ている。これまたオススメ品である。