現代ゲームデザイナー向け基礎教養本

ゲームを作る…というか、ゲーデザイナーとして仕事をしていく上でいろいろ自分にとって役に立っている本を並べておきたい。他にもイロイロあるけれど、近代的ゲームを作るうえで、ゲームデザイナーがなんとなく知っておかないと困る

●「(マーケットに基づく論理的)ゲームデザイン」
●「ゲームエンジン全般とゲームエンジンでゲームを作るときのコンテンツフロー」、
●「AI」
●「3D技術」
●「シナリオ」

の5つの要素技術について、僕が大いに参考にしている本を並べる次第。もちろん、自分の浅学菲才をなんとかするために、日夜参考にするレベルw
実は、これ全部横には並べてあるのだけど、なんの説明もしていないも同然だし、一度自分自身の整理もかねてレビューを書いておこうという次第。
もちろん、あなたが天才なら、こんなものいらない。
世の中には、普通の人が壁になって苦しむことを簡単に乗り越えていく超人がウン万人に一人ぐらいいる。そしてそういう人はみんな「え? なんか難しい?」とか平気で言う。
けれど、たいていの人(もちろん僕も含めてw)は、そうじゃない。そして、そうじゃない人にとっては、こういう困ったときに立ち返れる基礎知識はとても大事だと思っている。


ゲームエンジン・アーキテクチャ
ゲームエンジン・アーキテクチャ
ともかく長い・デカい本だけど、近代的なゲームエンジンに必要とされている要素のすべてについて、ほぼ網羅的に解説されている、いわば「ゲームエンジンを技術的に俯瞰する入門書」と考えるとわかりやすい。
「ゲームエンジンというのがナニカ?」について知りたい人やin houseのゲームエンジンを計画している人が一通り読むにいい本。若干naughty dogの内部的な要素により過ぎているところもあると個人的には思うけれど、それでも全体が俯瞰できるのはありがたい。
ひとつ書いておくと「ゲームエンジンはそのゲームエンジンを作られたときに考えられたワーク/データフローがあり、それに則っていないやり方はゲームエンジンでの開発効率を著しく落とす」っていうグハーな事実があるんだけど、この本でも(そして、どの本にも)書いていない。このフロー系は本を読むとなんとなくわかるって程度なので、困ったものだ。

Unityによる3Dゲーム開発入門
Unityによる3Dゲーム開発入門 ―iPhone/Android/Webで実践ゲームプログラミング
今をときめくunityの入門書。実践的かつ具体的なのが非常に大きな特徴。ちなみに僕はこれ以外の入門書は持っていないので比較は出来ないけれど、unityダウンロードして、この本に言われたとおりに作れば誰でも一本サンプルゲームを作れるぐらい具体的。
「インターネット上にある程度の情報しかない」とか「他の本もある」とクサすレビューを見たこともあるが、だいたいこの本は一番最初に出たunity本なので、そういう比較的初心者向けのわかりやすい情報を載せるのが当たり前だし、インターネットにある情報を知らない人が集めて読むのは猛烈に手間がかかる。それを考えたら、まとまって読めるのはとても大きいことだと思う。
あと、この本は具体性があるので、上で書いた「ワークフロー」がunityに関して掴める、ってメリットもあったりする。
ちなみにunityについてはビックリしたことがあって、ロフトのAKLスタジオではデザイナーは全員unityを使えるのが前提になっていて、プロトタイプは2Dでも3Dでもunity使って作ってしまうので、マジで勉強しておいて良かったと思った。

ゲーム開発者のためのAI入門
ゲーム開発者のためのAI入門
ウルトラいい本。
ゲームのためのAIの基礎知識を仕入れる上ではもう抜群。若干古くなりつつあるのだけれど、基本的な部分は今でも変わっていないので、絶対に読んだほうがいい。ともかくゲームデザイナーが苦手なことが多々ある数学やソースを意図的に排除して、ベイズ推定からボイドから、わかりやすく書いてあるので、超お勧め。AI入門書として一冊選ぶなら、これ以外はありえないと思う。

実例で学ぶゲームAIプログラミング
実例で学ぶゲームAIプログラミング
上を読んだ上で、これを読むのを強くお勧め。
上を入門&概念書とすると、これは実戦篇。とは言ってもこれまた数学は丁寧に説明されているし(しかも出来るだけ避けている)、実際の例もわかりやすく、スクリプトも極めてわかりやすく書かれている。
しかも、この本には、近代ゲームデザイナーならスクリプトのひとつや二つは使えたほうが絶対にいいので、その勉強もかねられるメリットがあるのだ。

実例で学ぶゲーム3D数学
実例で学ぶゲーム3D数学
これはC++でゲームで使われる3D数学を説明している本。なので、直接ゲームデザインに役に立つかといわれると微妙。
ただ、これは非常に丁寧に基礎が書かれているので(行列演算から説明されている)、数学の素養のないゲームデザイナーでもわかるレベルに到達できる。そして、今のゲームを作るうえでほとんどの場合3Dは必須なわけで(ソーシャルでも普通に3Dを使う)、あって損する知識じゃない。

映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと
映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
シナリオのことを知るために絶対にあったほうがいい本。これは映画のシナリオなので直接ゲームと繋がっているわけではないけれど「お話」を作る上で必要な技術がすべて詰まっている絶対のお勧め。あと、海外でシナリオに関わっている人間は、この本を基礎教養として知っているので、読んでおかないと話できない。
これについては一度詳しく書いていて、シナリオの教科書も参考にしてください。

「ヒットする」のゲームデザイン ―ユーザーモデルによるマーケット主導型デザイン
「ヒットする」のゲームデザイン ―ユーザーモデルによるマーケット主導型デザイン
これまた現代ゲームデザイナーの必須本だと思う。
雑に内容を説明すると「僕のあなたのやってるゲームデザインは、どんなユーザーに受けて、そのユーザーがいったい何人いて、どんな風に売れるのか?」をマーケットの分析から導き出し、そこからどんなUIでなければならないとか、もう徹底して理屈で攻める本。
手法を確立していると思っているベテランでもこれは読んだほうがいいと思う。
これについては一度書いていて「ヒットする」のゲームデザインを読んだも、参考してください。

以上、6冊。
現代ゲームデザイナーにとっては、必須の技術は一通りそろっていると思う。あーもちろんWindowsだのofficeだのはすべて使えるのが前提としての話だけどw
ところで、ぶっちゃけた話としてこれらの本を全部電子化してもらいたいんだけど(;´ω`)
これ、全部ニュージーランドに持ち込むのムリ!w

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1件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (X11; Linux x86_64) AppleWebKit/535.1 (KHTML, like Gecko) Ubuntu/11.04 Chromium/14.0.835.202 Chrome/14.0.835.202 Safari/535.1
    この手の技術教本は、もっと早く電子書籍に移行するかとおもってたんですが。
    あと、改訂・新版発売の際にはアップデートサービスを有料でもいいので提供して欲しいです。

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