「プランナー」について困ったアレコレ

海外ゲーム業界と日本とではかなり用語が違って混乱する…という話はまあまあメジャーになってきたのだけど、最近、自分の身の回りにあった話をメモ代わりに残しておきたい。
ぶっちゃけるなら、ボヤきである。
僕が勤めている会社は中国は福州に本社があり、日本スタジオでゲームデザイナーが欲しいというような要望を出すと、世界中から(主に日本からになるのは言うまでもない)ゲームデザイナーを集めてくれる。
で、そのCV(職務経歴書。日本だと履歴書になっちゃう)を見て、イケそうな人を選び、海外ならskypeなどでインタビューを行い、日本ならskypeだったり、それとも会社に来てもらって、次にテストを行い…というようにして採用は進んでいくのだけど、このプロセスで困るのが職業の呼び名の違い…ひいては、職務内容の違いだ。
日本ではデザイナーというと、だいたい絵を描く人ってことになるけれど、海外では同じ職業はアーティスト
これが日本国内では統一されていればまだいいのだけど、TA=テクニカルアーティストになると、突然日本でもアーティスト。いったいどうなってんだ? 開き直って、テクニカルデザイナーにしろよと言いたくなる。
とそれはともかく、では海外ではデザイナーはどんな仕事なのか?
海外では頭にレベルとかゲームとか最近だとゲームエコノミーとかUIとかUXとかVisualとか、ともかくまあ担当する分野の単語がひっつく職業だけど、基本的には、なんかを設計する人と考えればいい。
だからレベルデザイナーならレベル、すなわち面を設計する人になるし、ゲームデザイナーならゲームのメカニクスを設計する人になる。
ところが、日本ではデザイナーには、海外でいうアーティストが当てはめられている。
ではデザイナーはどこに?
というとプランナー
これがどこから出てきたのか定かではないのだけど、もともと昭和の古いゲームの会社では、こういうコトをやる部署を企画と呼んでいたので、そこからプランナーになったのかな…とか思っている。
そんな余談はともかくとしてプランナー=デザイナーならばいいのだけど、実は日本のゲーム業界におけるプランナーは外注管理だったり、予算管理だったり、それとも運営だったり、それともゲームデザイナーだったり。
海外でいうデザイナー系、プロジェクトマネジメント系、そして運営まで投げ込まれている、何が職務なのかさっぱりわからない、はっきり書くなら雑務だ。
正直、混乱の極みで「なんでこんなことなってんだよ」って言いたくなるのだけど、まあ、日本だけで仕事しているのならまだなんとかなる。
ところが、ここで海外スタジオの人間が人を採ろうとすると、大騒ぎが起こる。
「プランナーで募集すればいいのか?」
「いや、実はプランナーは…こんなんやらあんなんがあって」
「えええ、なんでそんなワケがわからんことに」
「いやまあ歴史的な理由があって」
「じゃあどうすりゃいいんだよ」
「応募要項で限定するんだよ、例えば運営経験3年みたいに」
「おかしいだろう、それ」
と、ひとしきりすったもんだがあったあと--
「応募あったぞ」
「あーこの人は運営系じゃないかなあ」
「えええええ、運営系じゃない形で募集したんじゃないのか?」
「運営にはゲームデザインの要素があるんだよ…」
正直、HR(人事)が暴れ出すので、せめて職業名ぐらいは統一して欲しいなあと思うのである。

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1件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/64.0.3282.186 Safari/537.36
    わかります
    昔PC-88を買ってきてエアコンの無いアパートの一室でダラダラ汗を流しながら家内手工業そのままにゲームを作っていた身としては
    そんな職業名などなくて最初の作品が世に出てある程度動き始めた頃にようやく適当な役職名が割り振られていました
    言葉の意味とか深く考えずにシナリオだったりプログラマーだったりドッター(!)だったり

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