自分の知っている海外ゲーム企業の採用プロセス
もはや別会社だというのに、元部下で今でも平気でいろんなことを聞いてくる男がいるのだけど、この男がある日、海外の(僕が知っている)採用プロセスと、ゲームデザイナーのテストのことを聞いてきた。
これをfacebookのnoteに書いていたのだけど、なくなったもあってここに転載しておくことにした。
■採用前
海外は通年採用であり、新卒採用は事実上ない(インターンを経ての採用はあるので、全くないわけではない)。
なので「新卒を取って配属する」という考え方はない。
ではどのようにして人を取るのかというと、以下のような過程になる。
- 退職者なり、新規プロジェクトなりでポジションに空きが出来る。
- プロジェクトのリーダーもしくは部門から必要な人間のスペックが策定される。
- 必要な人間を人事に募集するように要求する。
- 人事が会社のウェブのオープンポジションに情報を載せ、linkedin、エージェント、地元の就職メディアなどで人を探す。
要は定期の採用ではなく、プロジェクトなり人が必要な側が、必要な時に必要な人を採用する考え方だ。
日本の採用システムは世界的に見て極めて特殊で、しかもゲーム会社とはさっぱりマッチングしていない方法なので、僕は使うのはお勧めしない。
仮に新卒で取るにしても、十分な期間のインターンシップ(最低2週間)を経由する考え方が望ましいと思う。
■採用プロセス
マッチすると思われる人材が見つかってからのプロセスになる。
- インタビューを人事が行う。
- リファレンスを取る。
- ペーパーテストをする。
- 面接を行う。
それぞれについて説明していきたい。
0)人事(HR)からこいつどお? と候補者リストがくる。
これをチームでチェックして、責任者がOKそうなヤツを選び出す。
1)インタビューを人事が行う
スペックに足りていると判断されたら、インタビューを人事がまず行う。
ここでは基本的な条件の確認。いつから入れるか、希望年収はいくらかなどをチェックする。これでマッチしない場合には、データベースなどに登録されるパターンが多い。
2)リファレンスを取る。
実際にその会社に勤めていたかの確認を兼ねて、候補者が推薦する人間にリファレンスを書いてもらう。
このリファレンスを書くのは結構大変なんだけど、もう30回ぐらいはやったと思う。
3)ペーパーテストを行う。
ペーパーテストは1~2週間で返してもらう。
ペーパーテストの結果は採用したいプロジェクトの人間が判断し(これを人事が判断するとワヤになる)、ダメなら却下。
4)面接を行う
面接は海外型ではフォーマットが決まっている。 シミュレーション質疑、と僕が呼んでいる方法で行われる。
面接で納得する結果が出たら、最後に責任者が面接して最終判断。
面接の数はいろいろあるが、最低2回、多いと5回ぐらいある。
■ペーパーテストフォーマット
ゲームデザイナー向けのペーパーテストフォーマット。king,gameloft,EA,IGG,その他で同じ形で、GLとIGGで自分が作ったときに、この形にしろと言われたので、これが欧米の標準だと思ってる。
Part 1
既存のゲームを分析して、構造を説明してください。
市場から数種類のゲームを選び、様々な分析を行う。分析内容と選択されるゲームはその時に必要な人間の能力で変える。
Part 2
ゲームデザイン及び、特定機能のバランス設計の指針を作成してください。
これまたパターンが色々あるが、僕が見たのは以下。
- 2pager~ピッチを書く。2pagerやpitchは簡単な企画書のこと。
- メカクニスや体験の設計
- 新しいメカニクスの提案
- 自社のゲームの改善点の提案
※ 一番下はあまりお勧めしない。同じような答えが多く、効果が薄いというのが僕の意見である。
■面接フォーマット
面接はリードクラスは60分が最低になり、基本フォーマットがある。
最初の15分:経歴の説明
自分のstrong point、考え方、会社で何がやりたいか(場合によってはどれぐらいいるかまで聞かれる)
次の30分:シミュレーション質疑
シミュレーション質疑とは例えば「あなたがリードゲームデザイナーとして参加しているゲームとメカニクスが似たゲームが市場に登場し、オリジナルとして賞賛されています。あと3か月でリリースですが、上司は『予算は追加できるといっているので+6か月して、新たな要素を付け加えてもいいよ』と言っています。ただし6か月が上限です。あなたはどのように判断しますか?」というような内容に対して、候補者に答えを求めるというやり方。
これを各分野でいろいろな形で議論し、必ず最後にチームワークやマネジメントについて聞く、というのがフォーマット。
最後の15分
こちらの会社についての質疑。
と、まあこんな感じである。なんか知りたいことあったら、fbなりtwitterなりでどんぞ。