FF13-2をやって思ったモロモロのこと(3)

FF13-2を(一応)最後までプレイして、ものすごくいろいろ思うことがあり、ちょっといろいろ書きたいのだけど、FF13-2について書くためには、疑いもなくFF13から話を始めないといけないので、そこから始めようというのが、このシリーズ。
ま、ノンビリ書いていくつもりで、総計5回ぐらいになるんじゃないかな、と思っている。
第1回
第2回
今回は第3回。FF13のまとめと、FF13-2の走りの話になる。
第1回でFF13を闇鍋、それも「超豪華な闇鍋だから、ゲタだろうがなんだろうが全部高級、ドヤア」と評したけれど、今までのこのシリーズを読んできて「で、FF13ってどこが面白いの?」という疑問があると思う。
これに対する答えをまず書きたい。


ゲームの基礎点は文句なくちゃんとしてる。操作は快適、スピードも速い。そういうところにはほぼストレスはない。
つまり工業製品の質としてはほぼ文句なしだ。
戦闘はアクティブタイムバトルの弱点だった「プレイヤーキャラクタがぼーっと立っている時間」をほぼ消し、まるでアクションゲームのようにプレイ出来て、ハマれば爽快、勝って嬉しい素晴らしい出来。
マップがほぼ一本道とか、群像劇だとか、そういう点に好き嫌いが出るのは確かだし、ついでに書くと、世の中にはこの一本道を貶したがる人が多いけれど、実際にプレイするとキャラクタが次々入れ替わるので、むしろ気持ちいい。
当たり前だけど、一本道だから迷わない。迷いようのない美しいグラフィック(冗談ではなく美しい)の道を、快適なペースでパッパカ走っていくと、敵がいて超スピードの快適かつ歯ごたえがある戦闘があり、倒すと先に進める。そしてマップの要所に到達するとチームが切り替わったり、ビックリするイベントが起こったりする。
つまりストーリーと戦闘に集中してプレイ出来る、グラフィックが良くて、音楽が良くて、アップテンポなゲームだから、ついついスナック菓子のようにパクパクと進めてしまう。
しかも、一本道にはゲームの進行が極めて分かりやすいメリットがあり、これがバカにならない。マップを見るだけで「ああこんだけ進んだ」とわかるし、イベントのポイントも表示されているので、ついつい「このイベントポイントまでやるか」って話になってしまう。
実際、20分ぐらいプレイするつもりで軽く1時間とか経ってしまう、変にテンポのいい中毒性のあるゲームだ。このテンポの良さは11章以降では結構崩れるのが残念なのだけど、それでも、基本、テンポの良さがゲームの気持ちよさに繋がっている。
つまりイロイロな要素が組み合わさって、気持ちよくテンポ良く進むゲームになっているところが、FF13ってゲームのスゴくいいところ。
と、今書いたことを見れば、とてもいいゲームのように思えるけれど、この2回何度も書いてきたが、反面、実にいろいろなところがバランスが悪いゲームなのも間違いない。
戦闘を見れば、結構厳しい成長制限や、数回負けるのが前提としか思えないボスや召喚獣バトルなど、少々難しすぎるんじゃないかなと思う。特に力押しが利かないため、インターナショナル版でイージーモードをつけたなんていうのは、CRPGとしてはどう見ても本末転倒なわけで、全くどうなんだと思ってしまう。
また一本道のマップにも違う問題はある。まずどういうつもりでつけてるのかまるで分からない、パズルの体すらなしていないギミックの類。変な乗り物のったり、全くアホらしくなる。
こんな事に予算を投入しているヒマがあったら他にやることあるだろうと言いたくなる。ゲームデザインの段階でのディレクションがまるでうまく行ってなくて、どうして闇鍋化したのかよく分かるところの一つだ。
また、このゲームには、ストーリーとも一本道とも絡む、かなりの問題アイテムがある。
それが「オートクリップ」
これは、メニューから呼び出せる読み物で、ゲームが進行するにしたがってイロイロ更新されて、読むと設定が分かるっていう仕掛け。
FF13はイロイロしゃべれるNPCが少ないって問題があって、複雑な世界設定を解説する場所がないので、なんでもこのオートクリップで説明するのだけど、こいつには2つの問題がある。
まず、オートクリップを読まないと何が起こっているのかよくわからない
FF13は設定が複雑で専門用語だらけなのに、まともにそれらを説明しない上に、話をカットバックして「何が起こっていたのか」を徐々に見せていく構成を取っているから、時間経過が複雑でわかりにくい。
しかも登場人物、意味深…と書くと聞こえはいいが、主語述語のはっきりしない曖昧な、そのくせカッコだけはつけるセリフを喋るモノだから、何を言いたいのか実にわかりにくい。
これを説明するためにオートクリップがやたら更新されるのだけど、これを読んでストーリーを理解しろ、ってのは、あまりに投げやりすぎる。
第2の問題は、オートクリップの中身そのものだ。
あらすじや世界設定の説明やってるうちはまだいいのだけど、途中から、あらすじの説明を越えて「ライトニングの心は揺さぶられた」だのなんだのと語り出してしまう。つまり、ゲームの説明どころか、登場人物の心理描写までオートクリップで始めてしまうのだ。
どういうつもりで、こんなことをやったのか知らないが、そんなことより他にやることあるだろうと突っ込みたくなってしまうも頭痛だった。
つまり、ストーリーや世界観を説明するアイテムとして、オートクリップに頼るのは、全くどうだと思うぞ…というのがFF13のゲームとしての問題点なのだけど、加えて「あらすじ」のデキは(あるポイントに目をつぶれば)いいと書いたが、実際のストーリーの出来は悪いのは大問題だ。
ライトニングが記憶障害としか思えないとか、全員、3秒前の出来事を忘れる才能があるとしか思えないとか、構造的にRPGは会話で語られるストーリーなので、その会話が上滑りしてるうちに破綻しているのでは、「ストーリーのデキがいい」とは口が裂けても言えない。
と、そんなわけで、FF13は、恐ろしく快適だけど、パーツのデキの善し悪しにとんでもない差があるとてもデコボコしたゲームだったのだけど、実はFF13にはストーリーについて、とんでもない矛盾…というか、問題があった。
これがFF13-2に繋がっていくのだけど、ここから完全ネタバレになるのは、勘弁して欲しい。
まず世界設定から。
FF13の世界には現実に「天使(ファルシと呼ぶ)」が存在し、この天使の庇護のもとに人間は暮らしている(ファルシたちには意思があるのかないのかわからんものから、はっきりと意思があるものまでいる)。
ぶっちゃければファルシは人間の生活のインフラになっている。
ファルシは神様から派遣されてきて、世界管理をする支店の社員とイメージするとわかりやすい。
で、FF13の世界では、神様が結構たくさんいて、なんかヒエラルキーになっていて、しかも明らかに実在している。そして、少なくとも数派の神様の派閥があり、その中の2つの派閥が、どういうわけか協力して、FF13の世界を作り、ファルシ達に管理させた。
神様はじゃあ次になにをやったのかというと、これが良くわからないのだけど、ともかくファルシに人間の世話を任せて、このFF13世界から別のところにいったらしい。
つまりFF13の世界は神のいない、ファルシが管理してる支社になったわけだ。
そして派閥の片方側の天使が、グランパルス(地上)から、コクーン(空に浮いてる玉。スペースコロニーとでも思っておけばいいだろう)を作って、そこにかなりの人間を移住させ、グランパルスとコクーンで一度大戦争をやらかし、グランパルスの人間は絶滅してしまう。
でもコクーンの人達はそんなこと知らなくて、グランパルスの侵略がまたあるんじゃないか…とビビりまくってる。
これがFF13の話が始まるまでの設定。
そして、FF13の話ってのはなにかというと、コクーンの管理を司ってる支店長のファルシが、神様に戻ってきて欲しくて「そうだ、コクーンがぶっ壊れたら、大トラブルだから神様戻ってくるに違いない」という、とても粗雑な計画を立てる。
そして、そのためにライトニング達をグランパルス(下界)のルシにして、なんとかコクーンのファルシを殺させようとする話なのだ。
さっと説明すると「ルシ」ってのは、ファルシによって超人にされた人間。魔法が使えるようになって、筋力とかもハンパなくなって、ともかく超人化するって設定。
ルシには使命つーものがあり、これを一定期間の間に果たさないと「シ骸」ってゴミのようなものになってしまう。じゃあ、使命を果たしたらいいじゃん! って話になるが、使命を果たすと今度は「クリスタル」になってしまう。
つまり、使命を果たしても果たさなくても、結果はヨロシクナイ。
ともかくFF13の悪玉の計画は

1)コクーンのファルシ死ぬ
2)コクーンが空中に留まれなくなる
3)コクーン落ちる=>大被害
4)神様がきっと帰ってくる。

でも、ファルシを自分では殺せない(これはルールになっているらしい)。だから、これを人間をルシにしてやらせよう…と、まあこういうわけだけど、ここに「神が帰ってくる」って保証がまるでない。
つまり、ただの妄想から出来上がっている呆れた計画だ。
そして、この計画は9章ぐらいまでは伏せられているのだけど、これが分かったあとは大問題になる。
当たり前だけど、ライトニングたちの「使命を果たす」=コクーンのファルシの破壊なので、使命を果たしたらファルシの企み通りでコクーン大量虐殺。
といって、使命を果たさなければシ骸って、本当にニッチもサッチもいかない状態になってしまう。
じゃあ、どうして解決するのか?
なんと呆れることに、悪玉が「いずれにしてもコクーンで戦争になるモンね、ヘヘーン、止めたければこれでこいや」と言われて、なんの打開策もないまま、この人達、コクーンへバトルしにいってしまう。
「ともかくファルシ倒せば、後はなんとかなんじゃね? 私ら、奇跡専売特許だし~(はぁと)」
もう後先なにも考えてない。
「ファルシ倒したら、コクーン墜落して大量虐殺じゃん?」
って、道理溢れるツッコミに対しては、いつの間にかダレも話さなくなっていて、ファルシの所まで行って…「お前を倒す!」
もうポカーンで、思考停止のバトルしてどーすんのよ? と呆れるのだけど、ともかく、最後にカクのごときことが起こる。

1)ライトニング達はファルシを倒してしまう。
2)もちろんこれで使命を果たしたのでクリスタルに。
3)2人ほどクリスタルにならないのがいて(理由はある)、こいつらが落ちるコクーンを支える。
4)なぜか、理由もなにもなく、都合良く、クリスタルになっていたミナサマが甦り、ハッピーエンド

この、ご都合主義の塊、理屈無用の奇跡だらけをあえて許せば、FF13というゲームは、まあ上滑りするセリフはともかく、エンディングのデキは実に素晴らしい。感動的といってもいい。
そして、僕はFF13の立ち位置を考えたとき、シナリオライターが解決を(あえて)放棄して、無理矢理ハッピーエンドに持っていったのだろうと、当時思った。
ここでようやくFF13-2の話が始まる。
FF13-2が最初にやったことはなんだったのかというと…なんとFF13のエンディングに対する言い訳だった。
具体的には「とても都合良く話が進んだのは、女神エトロが哀れんでイロイロやってくれたおかげだったんですよ」と、起こった奇跡を全部「女神エトロがやってくれたこと」って、言い訳をすることから話は始まった。
もうこれだけでもエーッ! だが、さらにFF13-2は設定上のグダグダな問題が山のようにある。
というところで、次からはFF13-2の話になる。

LinkedIn にシェア
Pocket

3件のコメント

  • AGENT: Opera/9.80 (Windows NT 5.1; U; ja) Presto/2.5.24 Version/10.53
    そもそもご都合主義の奇跡ばかりで片付けるのは
    ハリウッド映画の常套手段だったりもしますがww

  • AGENT: Mozilla/5.0 (iPhone; CPU iPhone OS 5_1_1 like Mac OS X) AppleWebKit/534.46 (KHTML, like Gecko) Version/5.1 Mobile/9B206 Safari/7534.48.3
    「エトロが助けてくれたんですよ 」ってのは、実はFF13内でも表現されたようです
    詳細忘れましたが、FF13のシナリオアルティマニアに載ってました
    エトロが介入する際には画面にクリスタルの結晶?みたいな白いキラキラしたのが舞ってるとか
    シナリオアルティマニアは
    えーなにそれ初めて聞いたけど?ゲーム内で言ってないっしょ?って所が沢山あるのである意味オススメですw
    オートクリップについても載ってましたが、
    「体験版で分かりにくい」という意見が多かったから作ったらしいですw

  • AGENT: Mozilla/5.0 (iPad; CPU OS 5_0_1 like Mac OS X) AppleWebKit/534.46 (KHTML, like Gecko) Version/5.1 Mobile/9A405 Safari/7534.48.3
    ハリウッド映画を一括りにして比較するのはフェアじゃないですねww

コメントは現在停止中です。