なんとISBNのついた自著が出版されます

なんと、信じられないことに同人誌ではないISBNのついた本が出ることになった。
正直、ビックリ以外の何物でもないのだけど「どうしてこの本が出ることになったのか?」についてや、イロイロ書いておきたい。
コトの次第を書くと、2023年のいつごろだったかに、編集さんから連絡がやってきて、要は「ゲームの歴史」に関する本を書きませんかという企画だ。
2023年という年でわかるとおり、どう考えても岩崎夏海の「ゲームの歴史」の騒ぎがあったので企画が通ったという流れだろう。
変な運もあるもんだw
これ自体は大いに嬉しい話だったし、単純に歴史を書くことはもちろんできるけれど、それはあまりピンとこない本になってしまうと思っていた。
なぜならハードの進化とか、そういうものに着目してゲーム史を描いても、それはあくまでテクニカルな物でしかなく「なぜこのジャンルが流行したのか?」といったことが説明しづらいと思っていたからだ。
そして、いつごろまとまったのか自分でさっぱりわからないのだけど、自分の考えに「ゲームは基本的にはビジネスモデルと技術の2つで形が制約されている」というものがあった。
技術の方はわかりやすい。
例えばスプライトやスムーズスクロールがなければスクロールゲームやアクションゲームは作りにくい。そしていうまでもなく、これ初期のアーケードゲームのパソコンゲームに対する大いなる優位点になった。3Dゲームを作るとき、ジオメトリエンジン(座標変換用の演算をするハードウェア)やフレームバッファ型のVRAMと数点指定すると、その中をフィル出来る構造がリアルタイムのポリゴンゲームを生み出す原動力になった。
ではビジネスモデルは何を制約するのか?
ビジネスモデルを単純に説明するなら「かけた金をどのようにして回収するか?」だ。
ゲームを作るのには予算がかかっている。この予算を売り上げで取り返さないと赤字でオマンマを食えなくなってしまうのだ。
そしてビジネスモデル=金の稼ぎ方はゲームにものすごく大きな影響を与えるというか、ゲームの形を決めてしまうというのが、近年の僕の考え方になっていた。
例えばゲームセンターに置かれているアーケードゲームは「ふらりと来た、そのゲームについて何も知らない人が、100円を投入して数分遊んでもらう」ことを想定している。
対してコンソールゲームは「ショップで、お金を払い1本のゲームを買ってくる。そしてあとは支払いなしでゲームを所有して遊べる」のが最初の形式だ。
前者は何も知らない人がすぐに遊べるのが前提になるために複雑なルールを持つゲームは作りにくく、また、1コインで長時間占有されるのは困るので、数分でゲームが終わるように作るのが普通だ。
後者は数千円を払ってからプレイするので、買った金額÷プレイタイムが小さくなること、すなわち1本のゲームを長時間プレイできることがプレイヤーから期待される。だから長く遊べるゲームの方が好まれる。長く遊べるためには、複雑なルールの方がたいていは飽きにくい。だからルールの習得に時間がかかるゲームが増える。
ところが複雑なルールをいきなり覚えてもらうのは大変なので、ゲームが進行するに従って少しずつ複雑化していくジャンル、具体的には特にRPGが80年代にパソコンゲームの世界からコンソールゲームに登場して主流になっていく。
逆にアーケードスタイルのゲームは一部の例外、例えば格闘ゲームのような(アーケードだが長時間遊べるタイプ)ものを除いて、コンソールゲームの中では存在感を失っていく。
これはコンソールのビジネスモデルに向いたゲームの形はどちらか? と問えば、答えは明らかだから起こったことだ。
また登場したゲームが新たなビジネスモデルとして見いだされる場合もある。例えば『フラッピーバード』からハイパーカジュアルが見いだされたなんてのはその典型だ。
こんな風にビジネスモデルとゲームは強く結びついていて、ビジネスモデルがゲームの形を変えてきたという本を、少なくとも、僕は読んだことがない本ですが、どうでしょう? と提案したところ、快く受けてもらって、出来たのがこの本だ。
取り上げたビジネスモデルを並べると、都度課金・売り切りハード・ROMによるB2Bの買い切りの時代・格闘ゲームの負け抜け・音ゲーの改良型時間打ち切り・カードゲーム・月額課金・韓国から生まれた従量課金・ハイブリッド課金・F2P・ガチャつきF2P・facebookに代表される欧米型F2P・ハイパーカジュアル・オンライン販売によるB2Cの時代のインディー・エピソディック・シーズンパス・バトルパスなど。
ともかくビデオゲーム50年の間に登場した主なビジネスモデルと網羅した本にはなっていると思う。
ところで、タイトルなどには僕は一切口出ししていない。ここらへんは売ることのプロでもある編集さんの方が手に取ってもらいやすいタイトルを考えるだろうと思ったし、少なくともあの「ゲームの歴史」騒ぎは編集さん的には、読者の興味を惹くということで、このタイトルになったのだろう。
Beepさんの方には「仮にこの本が同人誌で出たら、こんな表紙だったと思う」って、あいざわひろしが描いたポストカードがついてきます。
というわけで、7・22に発売ですが、まあ僕の本なんてたぶんのこの1冊しかないので、記念品にどうぞw
追記。
電子版は予定していますが、だいたい発売5-7日前ぐらいまで予約できないので、そこんところはよろしくです。
2件のコメント
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物理本の方で購入、楽しく読ませていただきました
ビジネスモデルという観点でのゲーム史は自分としては斬新で面白かったです
ただ、一つ苦言を呈させて頂くと赤字の文章がどうにも読み辛かったです
せめてもう少し濃い目の赤なら良かったのですがむしろピンク寄りで長文も多く50代半ばの目には厳しかったです
正直、モノクロ一色でも問題なかったように思います
あと桝田先生のR-TYPEの伝説的エピソードは必要だったんでしょうか(笑)
ハドソン伝説8も楽しみに待っています
赤字の文字は印刷されるまでは僕にも「どう見えるか」はわからなかったんですよねえ。
桝田さんのエピソードをISBNのついている本に残すのは大事ですw