刻命館と影牢

影牢新作ばんざーい、ってタイトルの記事を書いたら…

名前はふせておくが、ある業界人に妄想だ、妄想だと言われたので、悔しいから妄想ではない文を少し載せておく。
影牢シリーズ…と一応書いておくけれど、パッケージの上では刻命館(こくめいかん)シリーズってことになっている。
これはオリジナルは1996年7月26日に発売された作品だ。
PS1用のゲームなのだけど、簡単にゲーム内容を解説すると、プレイヤーが処刑されそうになって「なんでもいいから助けてくれ」で、魔族に助けられて、刻命館に入る。そこに、次々人がやってくるので、復讐も兼ねて、こいつらをとっ捕まえたりぶっ殺したりするってゲームだ。
プレイヤーが任意に館を改築出来たり、さらに、犠牲者を殺すか捕らえるかで意味が違ったりと、後のシリーズからすると「えーっ!?」と言いたくなるほど中身が違うゲームで、シミュレーションゲーム…といっていいのか、まあともかく一応シミュレーションゲームの類ではないかと思う。


しかし、このゲームのスゴいところは、実はそのオリジナリティだ。
僕は『誰得ゲームライフ』で歴史を確認するまで、これはBullfrogの泣く子も黙る超有名ゲーム”Dungeon Keeper”が元ネタだと信じていたのだけど、なんとダンジョンキーパーは1997年の発売。
PS1時代のゲームの開発は1年程度は見るのはもう当たり前になっていたので、ダンジョンキーパーの簡単な紹介を雑誌などで見て作ったというのも、まずありえないから、これじゃあ参考にできるわけがない。
当時のゲームシーンを広くチェックしても、類例のないゲームで、ともかく「館を改装して」・「トラップを仕掛けて」・「ターゲットをトラップに仕掛けて抹殺する」ってゲーム構造は、ものすごく新しかったのは間違いない。
また悪魔(魔物)との契約ってネタ自体は小説・映画などで使い古されてるネタで、全く驚くモノじゃなかったけれど、復讐で人を殺すってのはダークで、当時の、まだゲームと言えば子供の物ってゲームシーン(今でもか!?)では異彩を放っていたのも間違いないし、ホラーゲームの金字塔バイオハザード1(史上初の暴力注意マークのシールが貼られた作品でもある)が発売されて3ヶ月ほど。
いろいろな意味ですごく斬新な作品だったわけだ。
と、猛烈に斬新で、しかも面白いゲームだったのだけど、反面、この刻命館ってゲームは、当時から、手放しでお勧め出来るゲームではなかった。
テーマに好き嫌いがあるという問題もさることながら、なによりゲーム的に問題がとても多かった。
まず第一にやたら遅い。館が改造出来る都合でメモリの専有が厳しかったのか、もうなにかつーとロードが入る。正直、プレイしていて厳しいこと極まりなかった。

しかも一度書いたがレビューなどで使用されるデバッグステーション、通称デバステは非常に不安定だったのでロードの多いソフトのレビューは地獄だった。

加えて、ゲームとして何をやらせたいのか、非常に曖昧なソフトになっていた。
というのもだ。館を改造してトラップ置いて、じゃあ何をやるかというと、なんとその館の中で自分が直接アクションで、敵を罠に誘導しかけたり殺したりすることになる。シミュレーションなのかアクションなのか曖昧で、しかも館の改造の仕方でアクション部分がプレイしづらくなったりするし、もちろん難易度にも影響すると、問題も山盛り。
おまけにPS1のメモリカードへのセーブはとても低速で、しかも館の改造データまでセーブするものだから、時間がかかること甚だしい。
そんなわけで、当時は斬新ながらも、一般の人にお勧め出来るゲームとは言いがたかった刻命館だったけれど、これが影牢になって、館の改造などわかりにくかった要素を排し、非常にわかりやすいゲームデザインになり、その後も連綿と続いてきたわけである。

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