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1989年7月 - バランスを取り直しつつ、ボスの調整を始める(1)
前回はコレ
過去記事の集合体はコレ
この話は1988-89年頃、PCエンジン版のイースを作るとき、僕が経験した話を出来るだけ正確に記録に残すつもりで書いている。ただし、これは
1)21年前の話で、記憶違いの可能性は十分にある。
2)僕が体験したり思ったりしたことを書くようにしているが、伝聞情報(二次情報程度)もある。
だから、当時の正確な記録ではない可能性はあるのは理解して欲しい。

■■■

いろいろあって、えらく間が開いたけど、続き。

前回書いたとおり、イース1と2のレベルを統合すると決めた以上、バランスは完全に取り直さなければならなかったが、このときには「バランスを取り直すことが出来る」という自信はあった。

というのも、凄ノ王伝説で痛い目にあったあと、桝田さんと会って、結構長くつきあった結果、バランスの取り方にはっきりとした方針が出来上がっていたからだ。

凄ノ王伝説を作る前、自分はTRPGのゲームマスターなどをやっていたし、アマチュア時代に大量にゲームを作っていたこともあり、バランスを取れると思っていた。
だが、実際にRPGを作ってわかったことは「バランスの取り方なんざ、まるでわかっていなかった」ということだった。

デビュー作の凄ノ王の戦闘システムは、距離の概念のあるタクティカルコンバットで、おまけにプレイヤーのアクションが行動ポイント制のシステムだ。
当時主流だった対面型戦闘(DQ型)や、サイド型の戦闘(FF型)に不満を持つボードゲームユーザーが、当時のボードSLGやTRPGの戦闘システムを大いに参考にして自作したわけだが、ぶっちゃけ複雑すぎて、うまくコントロールできず、毎日AI(というほど複雑なものでもないが…)をいじり、バランスを調整し、四苦八苦して、正直、最後にはどうすりゃいいのかわからなくなっていた。
凄ノ王伝説のバランスについて、今の自分が評するなら「バランスが分からなくなったとき、簡単な方に調整した」のが唯一褒められるぐらいだ。
どうしてこれが褒められることなのかというと「難しい」と言われ、自分にはわからないときには簡単にすれば少なくともクリア出来る方向に進むが、そこで直さないと、クリア出来ない人が多い可能性が高いから。
本当はもっと正しい(みんなが楽しめる)方向があったわけだが、当時のボードSLGだのTRPGだのにガチガチで、ゲーム論的な話をすると「50歳にならんとする今より、遥かに柔軟性を欠いたゲーム論教条主義者だった自分」には直せなかったのは間違いない。
もちろん凄ノ王伝説は、僕の手を離れたゲームであり、世の中にはこのゲームを好きな人がいるのは分かっているが、当の本人にとっては自分の思い通りにならず、散々苦労した苦々しい思い出の多い作品だ。


このバランスの悩みを劇的に変化させたのが、桝田さんとの出会いだった。桝田さんは非常に論理的なバランスの作り方を考え出していた。

まず、目安として仮想の標準的なプレイヤーを考える。
次に標準プレイヤーはレベル20でクリアする、と決め、1レベル上げるのに平均では1時間かかり、クリアまで20時間かかると決めてしまう。
そしてプレイヤーが1レベルを上げるのに必要な戦闘回数は、例えばレベル+1と決める。また最終レベルの経験値も決める。すると敵がどれだけの経験値を持つとか、自動的に決まってしまうのだ。
またパラメータは(主人公は)単純な直線で伸びる(1レベルに+4など)と決め、さらにプレイヤーのパラメータ、例えば攻撃力や防御力の20%は「装備によって与えられる」と決める。すると、自動的に武器や防具の攻撃力まで決まってしまう。
雑でいいから最初に最終ボスと戦って勝つレベルを決めてしまえば、自動的に様々なものがある程度決まる
このバランスの考え方はTRPGをやってきた人間からすると衝撃的なアイディアで、本当に目からうろこだった。
桝田さんが、どうしてこの方法を思いついたのかは知らないが、いずれにしても「1ストーリーを最初から最後までプレイして、プレイしたら(やり込み要素は別にして)、キャラクタはもう使う必要がないゲーム」だからこそ成り立つ、キャラクタがシナリオ毎に持ち越されていくTRPGでは絶対に出てこない発想で感動的だった。

ちなみにこれはゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)に書かれている方法でもあったりする。

この方法の最高に優れているところは「致命的にバランスが破綻してどうすりゃいいかわからない」なんてことがまず起こらないことだ。当たり前だが、数字が全部先に決まっているのだから、仮にバランスが破綻していても「敵を調整すれば、かならずバランスは調整できる保証」がある。
日がな一日、数字をいじり倒しても、どうすりゃいいのかわからなくなっていた凄ノ王はこれと比較したとき、バランスの骨格がなかったのだな、と今ではよくわかる。

さて、このバランスの取り方は天外1をしゃかりになって作っていた桝田さん - 天外1を作っていたとき、北海道に数ヶ月拉致監禁(笑)されており、毎日、ハドソンにいた外注メンバーでメシを食いにいっていた - と話をしたとき、バランスはどう取ったのよ…という話から出てきて聞いた。
北海道は平岸のハドソンの近くにあったロイヤルホスト(ストリートビューで調べたら、今でもあった)で夜中に飯食って、無駄話してたときに出てきたネタだと思うのだが、このゲームバランスの取り方は、イースに決定的な影響を及ぼした…というか、イースは桝田方式アレンジ版でバランスをとった。

まず、1の6+ラスボス1体、2の5体+1+1体で14体。14体のボスを倒す基本レベルを4レベル間隔と設定し56レベルでダームと戦う、と決めた
初期HPを20ほどと設定すると、約230ぐらいあるHPは1レベルについき大ざっぱに4ぐらいあがることになり、武器の数は少ないし、手に入る場所が決まっているから、数字を先に決めて設定。
そして1レベル上がるのに、基本、ザコ10体からスタートし、レベルが上がる毎に5体ずつ必要な数が増えていく…と、ここまで決めたところで、イース1に経験値半分システムを導入しても、経験値幅がどう計算しても65535では非常に厳しいことが判明してしまった。
(不可能ではないがプレイバランスとしては問題がある、が正確なところ。例えばジラの家を使えば簡単にレベル上限までレベルが上げられるとか、後半部の経験値幅が狭すぎて、隼の彫像とか持ってるとあっつーまにレベル上がるといった問題)
そこで--

「ごめん、HaHi君、どうしてもさー経験値が65535だと足りないんだよ。それでさ、99999まで増やしたいんだけど、大丈夫?」
「んー表示ルーチンはすぐ対応できるし簡単。でも99999から先は大変だよ。99999で大丈夫?」
「大丈夫。絶対に足りる」
「じゃあ直しとくよ」


で、確かあくる日…どころか数時間後には99999対応になっていたはずだが、HaHi君には平気な顔をしていたが、実は経験値10万でも厳しいのはわかっていた
本当のことをいうと、20万にしたかったのだが、1桁増やすとグラフィックの書き直しになるので、100%進藤が暴れるし、199999が最高経験値というのももちろんダサいし、また2ビット経験値が増えるので10万上限でしょうがなかったのだが、以下、どうして厳しいとわかりきっていたかの説明。
イース1はダームの塔前までで65535に経験値がなる。そしてイース2は、やはり65535。2つのゲームを合わせるとダームの塔をアクションにしても経験値が約13万必要
つまり、オリジナルのゲームバランスを再現するためには13万ぐらい必要な経験値を、イース1側のレベルアップのスピードを経験値半分システムを入れることで圧縮し、最初はトータル6万の中に押し込もうとしたけれど、さすがにどうにも厳しいという計算が出てきて、トータル10万の経験値幅でなんとかする、という計画になったわけだ。

と、こんな風にして基本的なバランスは決めた。
結構、この項長くなるので続くw
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