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故・多摩豊氏の名誉のために批判する
前回、制作秘話について疑問を呈したesu-kei_textだが、ふと同じゲームのカテゴリにある最初だからこそできた「最大の禁じ手」 ー 堀井雄二のゲームデザイン(1)を読んで、あまりにあまりな内容で、開いた口がふさがらなくなってしまった。

この文に参考資料として、敬愛する故・多摩豊氏の著作が参考資料として挙げられるているのが耐え難いので、アドベンチャゲームの歴史とゲーム性にまつわる部分は全くの虚構であり、間違っても多摩氏の著作に書かれていないと指摘していく。
【追記】 10/6/25 k-takahashi’s 雑記というブログで、故・多摩豊氏の参考資料に挙げられている著書とesu-kai textを比較しておられるのを見つけた。とても参考になる資料なので、追記しておく。


まず先に故・多摩豊氏について。
故・多摩豊氏はTRPGのオーソリティで、日本初のRPG専門誌「ワーロック」の初代編集長である。
【追記】 あらゆる人に突っ込まれているので。雑誌名は「ウォーロック」でした。自分"warlock"としか覚えておらず、表記に関しては覚えてませんでした。
さらにゲームデザイナーであって、TRPG作品もあり、くわえて自身がサウンドノベル以前に「ソフトでハードな物語」や「38万キロの虚空」でアドベンチャーゲームの再定義にチャレンジされた方である。
しかもゲーム評論家でもあり、ウィザードリィ4の訳者であり(想像を絶して難易度が高い)、デーブ・レベリング(Zorkの作者。テキストアドベンチャーで名を馳せたinfocomの創業者の1人)、クリス・クロフォード(パットンvsロンメル・バランスオブパワーの作者。当代きっての理論派ゲームデザイナー。CGDCの創設者)、ロー・アダムス(ウルティマ4/ウィザードリィ4のシナリオライター)、リチャード・ギャリオット(ロードブリティッシュ)、ロバートウッドヘッド(ウィザードリィの作者)、アンディ・グリーンバーグ(同じくウィザードリィの作者)などと実際に親交があった方である。
(多摩氏のおかげで、僕は初期のCGDCに出席してクロフォードなどと話をすることが出来た。おおいに感動できたことの一つだ)。

こういう人が
「アドベンチャーゲーム」とは、イラストとテキストで状況を説明し、それを場面転換させることで、物語を進めていく形式である。
それに「ゲーム性」をもたらすためにはどうするか?
当時のパソコンの容量では、「選択肢」を用意したところで、10分足らずで終わってしまい、ゲームとしては成立できない。
プレイヤーに「考える」楽しさを味わせることができないのである。
そこで考えられたのが「単語直接入力システム」である。
グラフィックでその手がかりとなるのを示し、プレイヤーにその単語を入力させることで物語が進む。
それは、キーボードのあるパソコンだから遊べるゲームであると思われていた。
こうして、ゲームセンターで稼働する業務用ゲームとは異なるゲーム性が生まれたのである。

こんなことを自身の著書で書くわけがない。これは全くのデタラメで、端から端まで何一つ正しいことが書かれていない文だ。

以下は、上記に比べれば正しい歴史。
アドベンチャゲームの歴史の始まりは1975年ごろにさかのぼる。
「アドベンチャゲーム」の名前は、そのオリジナルのゲームが"Adventure"というところから来ている。
基本的には「TRPGのゲームマスターとプレイヤーの会話を通じて進行されるセッションを模したもの」だ。
会話をするのだから、キーボードから"go north"と言った具合に、入力をするのが当たり前。
つまり
当時のパソコンの容量では、「選択肢」を用意したところで、10分足らずで終わってしまい、ゲームとしては成立できない。プレイヤーに「考える」楽しさを味わせることができないのである。そこで考えられたのが「単語直接入力システム」
なんてことは全くない
またTRPGのセッションを模したこと、さらに初期のコンピュータにはグラフィックが実質なかったこととあいまって、初期のアドベンチャゲームは全てテキストだ。
つまり
イラストとテキストで状況を説明し、それを場面転換させることで、物語を進めていく形式
ではない。

例えば上記は初期の超有名テキストアドベンチャ"Zork1"のスクリーンショット。これは人工知能の研究(と称したと思っているが)で1977-79年にかけてMITでデーブ・レベリングと仲間たちが作った最初期のアドベンチャゲームだ。彼らはこれを作った後、1979年にinfocomを設立し1980年から市販した。見て分かるとおりオールテキストのゲームだ。
今でもオリジナル版はフリーでプレイ可能なので、興味があれば一度プレイしてみればいい。
つまり、テキストだけだったアドベンチャに、あとからグラフィックをつけたのが正しい歴史でグラフィックでその手がかりとなるのを示し、プレイヤーにその単語を入力させることで物語が進むようになったのは、史上初のグラフィックアドベンチャゲームが1980年にシェラ・オンラインから発売されたあと

また、一番最初のアドベンチャゲームの始祖は1975-76年でアーケードゲームとほとんど同じ長さの歴史がある。異なるゲーム性もへったくれもない。もともと違うゲームなのだ。

故・多摩豊氏は、このアドベンチャゲームの歴史をあちこちで何度か書いており、こんな馬鹿げた間違いを書くわけがない。

つまり、前述のアドベンチャの歴史についての語りは全てデタラメで、作者の想像力で勝手に作られた、勝手なアドベンチャのゲーム性と歴史に過ぎない

アドベンチャゲームの歴史はテキストに始まり、グラフィックがつき、コマンド選択式が登場するという流れで、しかも海外と国内では違う流れがあり、別にそれらは語られる必要がある。
だが、上記のアドベンチャゲームの説明はZorkを作ったデーブ・デベリング、"Mystery House"の作者ロバータ&ケン・ウイリアムス、ASCIIが作った日本で初めてに近い本格テキストアドベンチャ「表参道アドベンチャ」の作者、それともキャリーラボの"ミステリーハウス"の作者などなど、あらゆるアドベンチャの作者を侮辱する、全く間違いの歴史でしかない。

このブログの著者は、何を考えて書いたのか? 全くの疑問だ。
例えば、今、さっと書いたアドベンチャの歴史は、簡単にWikipediaのアドベンチャの項目で調べることができるし、内容のクロスチェックをするならテキストアドベンチャーゲーム、変容の歴史。にプレイヤーから見た歴史があったりKTJ Dragonに、結構詳細な歴史が書かれていたりする。

さらにSierra-onlineや過去のアドベンチャの歴史を(英語で)調べれば、簡単にこの程度の知識は得られる。このブログの作者は、何一つ取材せず、適当に想像だけでモノを書いているとしか思えない。

もちろん、該当のエントリは「創作である」なら構わない。だが創作であるというならば、ちゃんと頭にこれはフィクションであり、現実の話では全くありませんと書いておいて欲しい。

あたかも本当のふりをして、今までの創作者や関わった人間の名誉を傷つけるような嘘八百の文を書くのはやめて欲しいと本気で思う。

|| 20:18 | comments (11) | trackback (0) | ||

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コメント
うわー本当だ!
言われて「ん?」と思って調べたら、そうでした…
なぜか、頭の中でずっとキャリーラボとして確定していました。
ミステリーハウスの作者の確認までしたのに…なんでそんなところ間違ってるかな…
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/12/02 12:37 | Eeem.i3Y |
すいません。
どうでもいいですが
>キャリーラボの\"ミステリーハウス\"

マイクロキャビンの(和製)\"ミステリーハウス\"
の間違いですよね?

昔、「アドベンチャーゲームといえば、ミステリーハウス。ミステリーハウスといえばマイクロキャビン。」という時代が僕の中にあったもので。
親父のMZ-80Bで遊んでた頃。
| すがる | EMAIL | URL | 10/12/02 00:52 | 9wCbkm1c |
いつもブログを楽しみに読んでおります。
まったくもって全然どうでもいいことで申し訳ありませんが、くだんの雑誌はワーロック(Warrock)ではなくウォーロック(Warlock)です。
| とあるゲームブックマニア | EMAIL | URL | 10/06/12 19:51 | aNm9J2mE |
>>あきつら & まつした様
今は手元に資料がないので正しく書けないから書いていませんが、まつした様がちょっと書かれていますが「堀井さんはマニア」です。だいたい、当時ウィズやウルティマを実プレイしているのはマニアなんです。
しかも多摩さんの本を読めば、堀井さんがアドベンチャーに対して「あんないい加減な知識でアドベンチャを作ったわけがない」のも分かるのです。

その意味で、明らかにあのブログは見てきたようなウソばかり書いてあると僕は思っています。そして、そこに権威付けのように多摩さんの本が参考資料にされていることが不愉快だということです。
(さらに書くなら、すでに信頼度を大きく下げていたというのもありますが。それをツイッターで前提として伝えなかったのは申し訳なかったです)

>>zubi 様
荒れてはいませんよw 疑問に思うことがあれば質問されたり、そこから議論になることは、当たり前ですし~
まあ、やりとりが速かったので、荒れているようには見えたかも知れませんけれど。

>>はちはち 様
自分が書こうと思ったのは、誤情報がwikipediaに書いてあったからです。
伝説になったというとカッコいいですが、見ようによっては誤情報で本当のことが分からなくなっている、ということで、そうなると聞こえは悪いでショ?w
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/06/12 15:45 | 0GxDfQ/U |
いわさきさま
いつもお世話になっておりますー。
憤慨しておられるエントリながら、アドベンチャーの歴史を正確に記載されているのがいわさきさまらしいです(w

僕も「自説」に説得力を持たせるために多摩氏の名前を使っているということがとても残念に思いますねー。
(ブログ主と多摩氏はまったく逆の存在ですし)

あきつらさま
おっしゃりたいことはわからくもないのですが…。
堀井氏は当時の著書やインタビューを見るととても当時のPCゲームに精通している方なので、
起点と限定して考えたとしてもかなり厳しい解釈と思います…。

あと、いわさき氏は自分のことで怒っているわけではないのですよー。
いちど、多摩氏の著書を読んでみるのも良いと思いますー(^^
| まつした | EMAIL | URL | 10/06/12 11:31 | 2azL7FVc |
TwitterのTLが流れるのを部分的に見て、「なにやら荒れているな」と思っていたのですが、この投稿を読んでスッキリしました。
知ったか、よくないですね。
| zubi | EMAIL | URL | 10/06/12 10:20 | qbYKo1HY |
近頃は知ったかのマニアが誤情報をネットに情報をバラ撒く例が多いですね。
ブログの個人日記程度ならまだいいですが、それをさも史実のように書いていき、
間違いを指摘されても訂正しようともしない姿勢はいただけませんわ。
こういうのは当時を何も知らない世代が読むと勘違いしてしまう。

PCエンジンのイース制作話のように、当事者でもあった岩崎さんが、
直接当時の状況を書き残すのは本当貴重な例だと思いますよ。
| はちはち | EMAIL | URL | 10/06/12 08:41 | 7Q0Cf0A. |
実地で取材してるわけでもないのに、見てきたように書く人だなぁ……という印象は受けました < 元記事

察するに、
「記事のこの箇所とこの箇所が事実と異なる!」
という点で怒っておられるのではなく、
「アンタの見てきたような記事の『参考書籍』に、多摩さんの本を出すな! 内容無関係やんか!」
ということで憤りを感じておられるのではないでしょうか。

であるとすれば、お気持ちはお察しします。

(でもアレはアレ、コレはコレで分けて欲しかった気はします。気の回らない読者で申し訳ないのですけど、ツイッター経由で飛び込み読者になる私のような者もいるということで…)
| あきつら | EMAIL | URL | 10/06/12 02:12 | rcYRIESs |
>>あきつら さま
理由の一つめは、もちろん僕はそう読んだからですが、理由の2つめは、もともとこのブログは自分のTLに流れてきた「宮本茂氏がパックランドを参考にした」という記事で発見したブログであり、これが発売日などから考えて「どう見てもおかしいだろう」という内容だということです(この記事の前の記事で批判してます)
つまりパックランドの記事で「いい加減すぎる」と思っていたところに、この記事だったので「信頼するに値しない」が僕の中での評価になったということです。
ちなみに「バグってハニー」でのハドソンとPCエンジンに対する評価も「ずいぶんひどい」と呆れる記事で、もっとはっきり書くと、ここで批判したブログの「ゲームカテゴリ」にある記事は、どれもこれも著者のいい加減な思いこみと、調査のしなさ加減によって、全く信用のならないいい加減なものだ、というのが僕の結論です。

そして、そのいい加減な記事の数々の中の一つに、権威付けのように多摩氏の本がつかわれているのは、僕は許せない、という気持ちだということです。

>>KeroberosJP

まさか・・・と言いたいけどな。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/06/12 01:37 | 0GxDfQ/U |
まさかとは思うけど、zorkの存在を知らなかったんじゃない?
| kerberosJP | EMAIL | URL | 10/06/11 23:17 | UC2ZrZxI |
ツイッター経由で読ませて頂きました。

「アドベンチャーゲームとは~」のくだりは多摩さんの発言からの引用ではないように読みとれましたし、当時の堀井さんの日本的パソコン環境を考えれば、堀井さんにとってのアドベンチャーゲームがああいうものであったという主張は理解できるのですが……。

当時の堀井さんに許された環境からすれば、アドベンチャーゲームは絵と文で状況を説明して場面を転換させていくものであったといって差し支えないと思います。

確かに正統的なアドベンチャーゲームの歴史としては正しくないのでしょうが、あの記事はそれを述べたものではなく、しかも当時の状況を比較的正しく伝えていると思います。あくまで堀井さんを起点として状況を把握した場合は、ですが。

正直、一体どこをどのようにそこまで怒りを露わにされているのかピンとこないのです。
よろしければその点について、もう少し説明していただけると幸いです。
| あきつら | EMAIL | URL | 10/06/11 21:26 | 3Jv6fxTU |
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