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1989年6月 - レベルを統合すると決める
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この話は1988-89年頃、PCエンジン版のイースを作るとき、僕が経験した話を出来るだけ正確に記録に残すつもりで書いている。ただし、これは
1)21年前の話で、記憶違いの可能性は十分にある。
2)僕が体験したり思ったりしたことを書くようにしているが、伝聞情報(二次情報程度)もある。
だから、当時の正確な記録ではない可能性はあるのは理解して欲しい。

■■■


これはイースを2つに分割するのか、それとも一本のゲームとしてまとめあげるのかの分水嶺になった、6月後半から7月頭のあたりでの話だ。

ある日、HaHi君が僕に聞いてきた。
「岩崎さん、1から2に行くときどうするの?」
「ああ、経験値どうするかってことね?」
「そうそう」
「経験値はひとつにまとめるよ。決めてる」
そのときまで黙っていたが、2本のゲームにするか、それとも1本にまとめるかはずっと考えていて、答えは既に出ていた。
「えっ!? じゃあイース2からははじめられないの!?」
「うん。HaHi君はどうするつもりだった?」
「いや、僕は2が始まるとき、1で終わったときの1/100とか経験値あげればいいと思ってたからさ」
「それ、ダメだよ、だってさ…」

というわけで、以下が当時、僕がHaHi君に言った理由。
言った内容はほぼ当時のままのはず。

仮にイース2からもスタート出来て、イース1からプレイしたときは、1をクリアしたらそのまま2につながり、経験値が1/100でスタートするイース1・2を作ったと仮定してみよう。
バランスは言うまでもなくオリジナル版そのまま。

1)実は1の経験値1/100は意味がない
イース1は必ず経験値が65535になるゲームだから1/100しても、2の最初では、かならず経験値が655あるだけということになる。これは誤差の範囲の経験値でしかないし、誰でも同じ値になるから、意味がない。2の初期経験値655と変わらない。
ではこの2のスタート経験値に意味が出るようにするとなるとイース1の全バランスを取り直すということになる。
つまり経験値1/100は全く機能しない。

経験値を半分に圧縮し、ダームの塔に32768-65535を割り当てて、2本にする案も一時考えた。でもどっちにしても(2)の理由で駄目だと判断した。


2)イースに飛ぶときに経験値までなくすのはマズい
1から2に行くとき装備は捨てざるを得ない。なんせリング周りのゲームシステムが違うし、シルバー装備なんて間違っても持っていってもらっては困る。
アイテムも当然ダメ。金も65535が当たり前なので、とても残せない。
アイテムも金もなくなって、このうえ経験値もなくなるじゃあユーザーは絶対に怒る。少なくとも井沢のどんちゃんはコントローラを投げてゲームを止める。金や装備はイースに向かってぶっ飛んでる途中で全部地上にばらまいたと考えれば、まだ理解できるけれど「なんで経験値がなくなったんだ」と普通の人は思う。つまり、経験値までなくすのは全く得策ではない。
また経験値がなくなるってことは、そこまでプレイヤーの育ててきたキャラクタとしての連続性がなくなる=ゲームの連続性が壊れる

注)井沢のどんちゃんは、さくま先生のところのメインデバッガーで、信じられないプレイを連発してくれる凄い人。凄ノ王伝説を彼にプレイしてもらったときの衝撃は一生忘れない。そして、彼が常にプレイヤーだと仮定して「彼ならどう感じる?」は、イースを作るとき、自分にとって非常に重要な考え方だった。


3)ダームの塔は結構アクションとして難しい
ダームの塔は完全なアクションゲームで難易度が高すぎる。もちろんアクションゲームならそれもいい。そしてイース1の出来た過程を考えれば、全くしょうがない。
だがイース1・2はアクションRPGで、RPGの最大の強みの一つは「難しいとき、経験値を稼ぐことで力押しが出来ること、すなわち難易度をユーザーがある程度調整可能という点」だ。
そう考えたとき、イース1の後半をアクションにするのはあまりにムチャだし、ヨグレス&オムルガン(スタッフの間では「顔」と呼ばれていた)は、あまりに強く、ここで挫折する人間が大量に現れるのは確定的(実際、スタッフでもクリアできずに、他人に倒してもらっている人間がいる)。
顔は当時のPCゲームをやっている人間のバランス感覚で作られていて、あまりに難易度が高すぎる。

難易度について目安として考えていたのは「さくま先生や桝田さんでもクリア可能か?」だった。さくま先生はアクションはすごいへたくそだったし、僕の知る限りで、桝田さんは世界でほとんど一番目にアクションとシューティングが下手だ。R-TYPEの一面の最初の敵が撃つ最初の弾に当たって死ねる人間を僕は桝田さん以外に知らない。


もちろん上記した1-2-3の理由はあくまで、僕の考えに過ぎず、オリジナルに忠実に移植する方針もあり得る。そっちの方が移植も楽だろうし、オリジナルユーザーが満足する可能性も高い。
だが、PCエンジンで初めてプレイするユーザーが、オリジナルに忠実に作ったイースをプレイしたと考えてみよう。すると、初めてのプレイヤーにとってイース1・2は以下のようなゲームになる。
RPGのはずなのに、途中で経験値MAXになり、ダームの塔ではアクションをやらされ、しかも1から2に行くとき、金もアイテムも経験値も全てをなくしてしまい、また一から育て直しをするゲーム(そのうえユーザーは1と2の区別を知らないから経験値が0になって初めて2じゃないかと想像すると予想できる)
どう考えても、これが理不尽なゲームなのは明らかだ。

また、話から考えても1・2は一つにまとめるべきだ。
なぜなら、イース1・2はタイトルとしては2本入っているが、1はそのうちの1/4程度で、いわば序章程度に過ぎない。そして、1をクリア出来ないと、もちろん2は楽しめない。仮に2から遊べるようにしても、1をクリアせずに2をプレイしても話がわからない。そして忠実に移植すると1をクリアできない人がいる=話が分からない人がいることになる。

結論
イース1ではオリジナルのゲームバランスは使えない。また使うべきではない。加えてイース2に行くとき、経験値をゼロにするべきではない。アイテムも装備も何もかも捨てさせて経験値まで捨てさせるのは厳しい。
すなわち一本のゲームにまとめ、経験値を統合したほうがよりよいゲームになる

と、こんな感じでHaHi君に説明し、イース1・2は一本のゲームとしてまとめられることになった。
これをやった瞬間からパソコン版をプレイしたユーザーが文句を言い倒すだろうと思っていた(まさか21年も文句を言われるとは想像はしていなかったけど)。
なぜなら、経験値を稼げると言うことは1の後半、ダームの塔の難易度が劇的に下がる。すなわち「こんな簡単なのはイースじゃない」と言うのが分かり切っていた。イースのバランスは伝説的にいいことになっているのだから、それを修正すれば文句を言うに決まっている。
でもだ。
「だったらオリジナルをプレイすればいい」
1本にまとめた方が初めてのプレイヤーにとって優しく、ゲームとして合理性があり、かつ完成度が上がるのに、わざわざ分断する必要はない。

僕はダームの塔はアクションとして確かに良く出来ていて面白いと思うが、そのバランスの良さは、あくまでアクションゲームとしてのバランスの良さであり、RPGのバランスの良さではないのが非常に大きな問題だと考えていた。そして、オリジナルのバランスではさくま先生と桝田さんは「天地がひっくり返っても100年プレイしてもクリアできない」のは明らかだった。


最後にHaHi君は聞いた。
「数字は岩崎さんが決めてくれるんだよね?」
「もちろん」
「…あ~一つだけ。1から経験値半分システム入れて。やばいから」
「そんなの簡単。すぐ出来るよ」

「よろしく~」

こうしてイース1・2は経験値の統合された1本のゲームになることに決まった。
|| 20:23 | comments (8) | trackback (0) | ||

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コメント
>エンジン版、最大の失敗は、「The Morning Grow」を入れなかった事でしょうが

これ、本当に言う人多いんですよね…ぶっちゃけ容量的に入れようがなかったわけですが、みんな入れて欲しかったらしいんだよな~(\'A`)
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/05/16 17:59 | 2OXmdoFs |
1、2に分かれたことは、商業的にも大成功でしたね。
後にエンジン版をはじめとする多くの機種に移植され、今尚シリーズが継続しているのも、あの流れがあったからこそだろうと考えます。
エンジン版、最大の失敗は、「The Morning Grow」を入れなかった事でしょうが、オリジナルイースが1本に纏ってしまって居たなら、あの名曲もお蔵入りになっていた可能性もあります。
それを思うと、かつてイースという作品は運命にすら愛されていたのかも知れません。残念ながら、偉大なる製作者も作品自体もヒットによって紆余曲折を辿ることになったわけではありますが。
| なすてぃぽこ | EMAIL | URL | 10/05/16 04:21 | queb4ldM |
ものすごく微妙な話をすると、商売的、かつ作品的な話をするなら「分かれたおかげ」でいいことが多かったのは確かです。
例えばディスクを3枚に出来て、1枚のイースで作っていたら「魔法を撃つ要素」は入ったのだろうか? とか、テレパシーの魔法は出てきたのか? とか、1と2の間にあたる2のオープニングがあったのか? とかそういう疑問出てきてしまいます。

つまり、もともと山根・宮崎君あたりの考えたイースの構想は当時の「1作品」の構想からは少々はみでてしまうサイズだったのではないかと。
だから、1が大ヒットしたことでしっかりした後半部を作ることが出来た、という点で結果的には2作に分かれてよかったのではないかなあ…とは思うのです。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/05/15 12:34 | 2OXmdoFs |
岩崎さんのゲーム制作に対する熱意に、いつもですが本当に感銘を受けます。

オリジナル版は諸々の理由はあれども1と2に分かれてしまったのは、スタッフの方々は少し心残りだったのではないかと想像してしまいます。
制作者の様々な想いや制作上の工夫などを知った上で、PCエンジン版やオリジナル版を改めてプレイするとより深く作品を味わえますね。
| はちすけ | EMAIL | URL | 10/05/15 07:29 | cFg2sJ1Q |
Easyモードは案としては一瞬考えましたが、すぐ捨てました。

なぜならEasyを仮につけるとするならアクションの救済のためですから1につけることになります(経験値を稼げてバランスを調整できるならEasyはいらない)。
ところが1・2は2本のゲームが入っているので、仮に1にeasyをつけたら2にもEasyをつけないと話がおかしいことになります。さらに1>2をプレイしたときはEasyが維持されるとして、2から始めたら選択できるのかとか、面倒がやたらと増えます。
そのくせダームの塔は結局アクションになるからeasyでもバランス固定。だからほぼ確実に救済するためにはダームの塔をとんでもなく簡単にせざるを得ない。
そんなことをするぐらいなら、レベルを上げられるようにしてバランスを取るほうが、沢山の人が自分のバランスで楽しむ事ができる。

だからEasyモードは意味がないというわけです。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/05/14 10:41 | 2OXmdoFs |
私もPC88版のダームの塔は難しいと思います。
レベルの問題もありますが、当たり判定が厳しいとかアドルの移動速度が遅いのが原因かもしれません。
デカキャラと戦うとき指輪の効果が無いのもキツイです。
PCエンジン版が単なる移植だったら、大半のユーザーがヴァジュリオンで挫折するでしょう。Ⅱなら飛び道具が使えるので比較的容易ですが、Ⅰは体当たりOnlyですからね。
ヘタな人の救済策としてEasyモード搭載とか考えませんでしたか?
| take | EMAIL | URL | 10/05/14 00:55 | f0wR9aCI |
さくま先生の長年のデバッガであり、だじゃれ名人であり、まあすごい人なんですよ(笑)
彼のプレイは僕のゲーム制作者としての物の見方を変えました。いや本当に。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/05/14 00:08 | 0GxDfQ/U |
今日は。僕はよく、さくまあきらサンのブログとかにメールを投稿している「さくまにあ」の一人ですが、まさかここで井沢どんすけさん名前を見るとは!!
 それと、これほど何から何まで、しっかりと考えていらっしゃった方に作られた「イース」というゲームは幸せものだな~と思ったりもします。
| ともひと | EMAIL | URL | 10/05/13 22:06 | gE8ZYGho |
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