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FF10の話(9) - FFⅩ・その1 カットバックするゲーム
またまた期間が開いてしまったのだけど、夏コミまでには終わらせて、夏コミでは本にする予定。
あと4回ぐらいでこのシリーズは終わりになると思う。

というわけで、FF10の話を書くシリーズの第9回。
シリーズは以下。
FF10の話(1) - それは1991年から始まった
FF10の話(2) - ヘラクレスの栄光Ⅲの衝撃
FF10の話(3) - ファイナルファンタジーⅦ・その1
FF10の話(4) - ファイナルファンタジーⅦ・その2
FF10の話(5) - ファイナルファンタジーⅦ・その3(終)
FF10の話(6) - ファイナルファンタジーⅧ・その1
FF10の話(7) - ファイナルファンタジーⅧ・その2
FF10の話(8) - ファイナルファンタジーⅧ・その3(終)

本編に入る前に簡単な注意。
このシリーズは『FFⅦ・Ⅷ・Ⅹ』について、もう超ネタバレのレベルで話が進んでいる。だからプレイしたことがなくて、そしてプレイする予定がある人は、ここから先はあまり読まないことをオススメしておきたい。

ようやく、話は本題のFF10に入るのだけど、ここでFF10が発売された当時のPS2の状況について簡単に書いておきたい。
まずFF10はSFCのFF4のような期待をになっていた、と思ってくれればいい。
つまり「FF10は、PS2のフラグシップRPGになってくれる期待がかかっていた」ということだ。

PS2は2000年春に発売されてから猛烈に売れていたのだけど、ソフトの開発が難しく(いやーアレはマジ難しかった)、もっとも人気があるRPG(人気ナンバーワンのジャンルはRPGといえた最後の時代だと思う)はほとんどなく、どちらかというと格闘・カーレース・スポーツなどのアクション寄りにラインアップがなっていた。加えて、PS2はPS1との互換があったのもあり、手間のかかるゲームの主力はまだPS1でPS2への移行は徐々にしか進んでいなかった。
実際、この文章では取り上げていないFFⅨはPS1用のソフトで発売日は2000年の7月。当時はまだスクウェアとは別会社だったエニックスが発売したドラゴンクエストⅦは2000年8月。PS2が発売されて、それぞれ4ヶ月と5ヶ月で、まだまだ主役はPS1に見えるのは明らかだ。
また2000年に発売されたPS2とPS1のソフトの比率は大雑把に5:1。PS2への移行は非常にゆっくりだったと考えていいわけだ。

ちなみにPS2の発売でもっとも恩恵があったのは、まず間違いなくDVDの普及。PS2以前とPS2以後でDVDの普及は全く違ったと考えていい。そしてこれと全く同じパターンでPS3ではBDが搭載されることになる。

だからFF10はPS2への移行のシンボル的な意味まで含めて、重要な作品だった。

ところでFF10という作品は(X-2まで含めて)、シリーズの中でもかなり変わった作品だ。
まずきわめて強く東南アジアの文化が織り込まれて和風に寄った世界観。そしてATBを非リアルタイムにして、いろいろな調整が行われたCTBという、ただの一度しか採用されたことがないバトル。極めて変わった、シリーズでこれ以外はまずないと断言できる召喚獣のシステム。加えてクリスタルが全く出てこないストーリー。
と…要素を並べると、かなり風変わりな作品で、どうしてこれが出来たのだろうと不思議に思ってしまう。

と、まあそれはともかく、僕がFF10をプレイしたのは2001年の8月だった。
発売されてほぼ1ヶ月経っていたと思う。正直に書くと、FFに代表される大作RPGをあんまりプレイしたくなかったのだ。
プロのレビュワーとしてゲームを2週に一度何本もプレイする生活から1999年に引退してから、自由にゲームを選んで遊べるようになり、起こったことはなんだったのかというと、アクションやシューティングといったゲームをのんびり遊ぶってことへの回帰だった。

だからRPGをあんまやりたくなったのに加えてFF9がどうにもこうにも自分の好みでなかったのもあって、FF10にも食指が動かなかったのだ。じゃあどうしてそれをプレイし始めたのかというと、あんまゲームをやらない知り合いが「2周目をやろうか迷ってるんだ」って書いていて、ちょっとビックリして、こいつが2周めをやろうか迷うゲームってなんなんだろう…? と思って購入してプレイを始めたってわけだった。

と、そんなこんなで始めたFF10は、映像作品でいうcut awayのcut back、つまりオープニングから過去に戻り、そこからオープニングの位置までやってきて(たいてい、そこはクライマックス寸前)、そしてさらにその先に進んでいく…って構造を取っている。
僕はこの構成の作品が好きでしょうがないのだが、時制が直線的でないと混乱しやすいゲームでは使いにくい方法で、ほとんど見たことはない。

FF13など、例がないわけではないけれど、時制が混乱するので非常に扱うのは難しい。特に一気にプレイするのではなく、間が空いたりするとなにやってんのかわからなくなってしまうって問題が非常に致命的なのだ。
ここらへんが2時間力任せに見ることが許される映画や前をちゃらっと読みなおして復習可能な本とゲームの違うところだ。

では、FF10のオープニングはというと、パーティ全員が、どことも知れない場所(廃墟)にいて「これが最後かも知れないから…」って、ティーダ(プレイヤー)のモノローグからゲームは始まる。
カットバックの手法で作ってるんだってことは、もちろんすぐにわかったけど、戻ったポイントがびっくりで、まるで別世界の大都会。
そこで、ティーダはザナルカンドって結構な大都会に住んでいて、人気スポーツブリッツボールの選手で、親父が有名選手だったけど行方不明になってることがわかるのだけど、ここに意味深なフードをかぶったガキが現れて、意味深な事をしゃべる。なんのことだかさっぱりわからないのだけど、このガキが話した直後、美麗ムービーのどまんなかで、シンがやってきてザナルカンドに大破壊が起こる。正直、このオープニングを見た時、画像の美しさと、起こった出来事のとんでもなさに、やっぱりビックリした。
ここでアーロンっていうオープニングにいたオッサンと会う。なんだかよくわからないけれど、アーロンはいろんなことを知っていて、これまた意味深なことをしゃべりまくる。そして「シン」と呼ばれているモノに吸い込まれるように見えたかと思うと、よくわからない世界にまた飛ばされる。今度はなんだかさっきのザナルカンドのようで、でも違うところなのは確かだった。
なんだこりゃあ? と思っている間に、また違う世界に飛ばされ、ワケのわからない外国の船に乗って、よくわからない作業をしたあと、南の島にたどり着く。この南の島がビサイド島。
ホントに南国の海で、ここでブリッツボールの選手達+オープニングで見たキャラクタ(ワッカ)と出会うのだけど、ティーダがザナルカンドの人間だと言うと、全員ドン引き。
なんと、ワッカの話ではザナルカンドは1000年も前に滅んだというのだ!

ここまでプレイして、僕は呆然としていた。
とんでもない話をされていた。あまりに何もかもが筋が通っていなかった。自分は1000年後にふっとばされたというのか!? 今回のFFはタイムトラベル物、なんとクロノトリガー!? それともクロノ・クロス!?

と、呆然としつつ、ストーリーを進めていくと、ブリッツボールのチームにしばらく入らないかと誘われて(ブリッツボールの大会が行われる場所にいけばお前の事を知ってるヤツが来るんじゃないかと説明される)、村に行くことになる。
そして今度は、村で召喚士(ユウナ)と出会い、ブリッツボールの大会が行われるルカまで、ユウナの旅に付き合うことになり、キーリカへの連絡船に乗ることになる…

と、このあたりまでがゲームの状況説明、つまりオープニングになると思うけれど、FF10のオープニングは三人称のゲームの物語としては、恐ろしく良く出来ている。
まずオープニング、どことも知れない場所で思い出話としてストーリーは始まり、戻されたザナルカンドでティーダのキャラクタとしての説明を全部行う。
プレイヤーがブリッツボールの人気選手なのをまさに最初の1シーンで説明し、名前を決定させ(名前は固定でいいじゃないかと思っていたが)、走って行くシーンでティーダの親父がジェクトって名前でザナルカンドにこの人ありのブリッツボールの名選手で10年前に行方不明になったことを説明してしまう。全く無駄がない。
しかも、このザナルカンド、世界観はややエキセントリックだけど、都会でフツーで、ティーダがブリッツボールの名選手でイケメンだってことを除けば、比較的プレイヤーが感情移入しやすい現代的なキャラクタだ。
そしてティーダはシンの大破壊に巻き込まれ、戦闘のチュートリアルが行われ、スピラ(実際的にストーリーが始まるのはビサイド)に叩きこまれる。ビサイドでストーリーが始まるまでの一連の流れ(アルベド族との出会い)が長すぎると思うけど、細かい戦闘とダンジョン探索の練習をさせたかったのだろうと思う。

また、この設定はプレイヤーとティーダを完全な別人としながらも、プレイヤーを置いてけぼりにしない実に素晴らしい設定だ。

スピラは、プレイヤーにとって未知の土地なのと同時に、ティーダにとっても未知の土地だから、ティーダの感じる驚きはプレイヤーの感じる驚きで、ティーダの感じる疑問はプレイヤーの感じる疑問だ。
そして、もちろんティーダと同じように世界を知らないので、ティーダが知っていくことが、そのままユーザーが知っていくことに重なるように作ってある。

今までの野島作品と比較した時、第三者として肩越しからにのぞきこむストーリーなのは変わらないけれど、主役の設定を非常にうまく考えることで、不自然でなく感情移入しやすいストーリーになっているわけだ。

また、それだけではなく、このオープニングからビサイドに至るまでは、非常に上手く伏線が張られているのだけど、そこらへんは次回に書いていきたい。
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