ディスクファックスのコト

先日、facebookで、twitterのこのツイートが引用されて流れてきた。

これは、初期のISDN回線(64K)を使ってフロッピーのデータをやりとりできる、という代物。
ISDNは64キロビット=秒8キロほどの転送速度なので2HDの約1000キロバイトだと、だいたい2分ちょっとぐらい通信時間はかかることになる。
でも、当時使っていた人たちは、みんな(僕も含めて)数分以上かかったという記憶があるので、たぶんエラーチェックのやりとりまで含めると数分以上かかっていた、ということだろう。

ついでに書いておくが、これでも当時最高速に近かった28800ボーのモデムを上の表記に直すと28.8Kで、ISDNの半分以下の速度で、しかもアナログなので速度は不安定だ(回線が悪いとエラーを起こしたり、さらに速度をネゴシエーションして落としたりする)。
それと比べればISDNの64Kは、当時としては圧倒的な通信速度、いわばブロードバンド(死語)だったのだ。

それで同じポストに「こんなのあったんだ!」ってな感じのコメントが付いていたのだけど、実は僕はコイツを使っていた
ついでに書くと、当時の知り合いは全員、これをディスクファックスと呼んでいた。

最初に見たのは1990年に海外版『イースⅠ・Ⅱ』を開発していた時だったと思うのだけど、もしかしたら同じ年の夏にアルファシステムに『Violent Soldier』のヘルプをしにいったときに、アルファで見たのが最初だったかも知れない。
使い方は簡単。

  1. 相手に電話をして「ディスクをディスクファックスにいれろ」と伝える。
  2. 相手がディスクファックスにディスクを突っ込む。
  3. こちらもディスクファックスにディスクを突っ込む。
  4. スタート!
  5. しばらく通信して、相手のディスクにこっちのディスクの中身がコピーされる。

今から見れば信じられないぐらい原始的だけど、当時はインターネットを経由したいわゆるメールは実質なく(まだインターネット商用化されていない)、メールと言えばパソコン通信だったが、添付ファイルなど実質なく、厳しい行数制限(容量制限と考えていい)などもあり1メガバイトなんて、とても送れるものではなかった。
だから、遠隔地でデータのやり取りをするのにおっそろしく便利だったのだ。
ところで、これについてツイートしたとき、当時のハドソンのメンバーから返事がやってきた。


ここで書かれているし、自分の記憶でもそうなのだけど、ハドソンにあったヤツは5インチしかついてなかったと思うし、ドライブもセパレート型だったと思う。そしてメディアワークスのもそうだったと思うので、モデルが違ったのではないかと思う。
実際、当時の開発で使われていた標準的なデータのやりとりは5インチ2HDで、3.5インチなんて誰も使っていなかったし、全く3.5インチのドライブがついていた記憶がないのだ。

まあともかくなんにしてもめっちゃ便利ってことで、1992年のメディアワークスの立ち上げの時、ゲーム事業部に入れてもらって、それが『エメドラ』開発で大活躍することになる。
ソースファイルのサイズなら圧縮すればかなりの量のやり取りができるので、最後のチューニングの段階では、ディスクファックスの嵐だった。

  1. 調整してあっちにファイル送る
  2. あっちでもデバッグ、こっちでもデバッグ
  3. 電話して話してまた調整
  4. 1に戻る。

今ならgitとzoomで鼻歌でやれることだけど、当時はこれでも驚異的に効率が良かったのだ。

おまけついでにエピソードを書いておくと『エメドラ』の開発初期にアルファからやってきた、『PC版そっくりのエメドラ』は、このディスクファックスでやってきた。

『エメドラ』の開発を始めるので、アルファと契約したとたんに「作ってみたから、見て」と長谷川君から電話がかかってきて、ディスクファックスで送られてきたのが、ivで書かれたPC版そっくりの『エメドラ』だった。

立ち上げて、見たとたんに電話して「PC版ソックリはやらないから。全画面スクロールでキャラは天外Ⅱのダンジョンサイズにするから、よろしくね」と言った。

懐かしい話である。

LinkedIn にシェア
Pocket

3件のコメント

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です