F2Pの経済学(1)

モバイルのゲームの大半はサービス、すなわち今のゲームは遊園地のようなもので、毎日のサービスとして運営されている。
この環境の中でユーザーに対する作り手の最大の裏切りとは何か?
ゲームのサービスが終了することだ。
運営シクろうが、メンテでトラぶろうが、バランスミスってイベントで大失敗しようが、サービスが継続できれば、それを取り返すことが出来るが、サービスが継続できなければ終了だ。
だからユーザーに対する最大の裏切りは、ゲームのサービスが終了することになる。
そしてゲームがサービスを続けられるために必要なのは利益だ。
というわけで、普通の人は嫌う、お金の話に集中したことをしばらく書いてみようというわけだ。
まあ、あまり立ち入ったことを書いてもしょうがないので、基本の基本程度だけど、この基本がわかっていない人も多いってのが最近わかってきたので、書いてみるってこと。
では利益とは何か?

■利益 = 売り上げ - 経費

ということになる。
経費と言われてぱっと考えると
●直接開発費
 サーバーやクライアントの開発費。もちろん回収しなければいけない。更新費用などは一般には運営費用に入れると思う。
●サーバー費用
 一般に売り上げの10%以下が適正とされている…と尊敬するプロデューサーに教えてもらった。
●運営の人件費
 実はこれはシャレになっていない。今のスマホゲームでは、平均的には最低でも内部に10人程度は必要になっていると思う。
 つまり一人頭100万/月のざっぱ計算で月に1000万ぐらいは最低かかってしまう。ちなみに雑な内訳は下。
・サーバー=1~2
・クライアント=2~4
・ゲームデザイナー=2~4
・プロマネ=1~2
・アーティスト=2(内部)
・アーティスト外注多数
あと、それ以外にもスマホではたいていプラットフォーマーにむしられる30%があったり、IPものだったら、IPを卸してくれているところにX%払ったりとか、イロイロとお金は必要なのだけど、ともかくこれらをまとめて「経費」と呼んでおく。

実際にはこの手の計算はエクセルの複雑怪奇な予測シートに数字を入れて「ムガー!」とか暴れることが多いのだけど、そんなシートを見る人はそうそう沢山はいない。

というわけで本番。


まず最初の式をまず日銭、つまり1日にしてみる。

■ 一日の利益 = 一日の売り上げ - 一日の経費

当たり前だけど、上になる。
ここで全体をDAU(Daily Active User、すなわち一日にゲームを遊んでくれる人の数)で割り算するとしよう。

■ 一日の1人当たりの利益
 = (1日の1人当たりの売り上げ、すなわちARPU) -  1日の1人あたり必要な経費

と、このような式になる。
ここではさらっと書いたがARPUはAverage Revenue Per Userの略、すなわち一人当たりに得られる収益だ。
ところで、ちょっとした前提として、この式はプラスになっている、すなわち黒字だと決めておこう。これが赤字になったら、そもそも話にならずサービスクローズに向けて一直線で話にならない。だからここは黒ってことにしておきたい。
そして、上の式についてさらに考えてみよう。
そもそも上の式はどれだけの間成り立つのだろうか?
というのも、ユーザーは無限に遊んでくれるわけではなく、たいていの場合にはゲームに飽きてやめることになる。
ということはユーザーが遊んでくれる期間があるはずだ。
これをLT(Life Time)と呼ぶことにしよう。これまたユーザーによってバラつくのは当たり前だけど、F2Pの世界では非常に大きな単位でユーザーの数を扱うので、これまた平均化して扱うことが出来る。

ここでちょっとだけ注意をしておくと、この手の様々な指標は流入してくる経路によって変化する。
例えばテレビ番組でCMを見ての流入と、有名ゲーム実況がゲームをプレイしたのを見ての流入ではおのずと指標の値は変化する。そしてこれらをちゃんと分けて測定するのが非常に重要になる。

つまり平均的なユーザーがどれだけの期間遊んでくれるのか? がLTということになる。
とすると、一人のユーザーがゲームをプレイし始めてから(このゲームに出会うことを”engage”と表現することが多い) 飽きてゲームを止めるまでに得られる利益はいくらなのか?

■ ユーザー1人からゲームに飽きるまで得られる利益 = LT × 一日の一人当たりの利益

ということになり、これをLTV(Life Time Value / 顧客生涯価値)と呼ぶ。
つまり

■ LTV = LT × (ARPU-一日一人当たりに必要な経費)

が計算式ということになるわけだ。
ここでユーザーが飽きて止めると書いた。
その通り、サービスとして提供されているゲームは基本的にユーザーが飽きない限り、そして利益を生み出す限り、基本的には無限に続ける運命を背負っていると思った方がいい。
そして、この構造は「飽きて(面白くなくなったので)止めたんだよね」というネガティブなエンディングを迎えることが多いことになるので、一本のエンディングがある作品と比べて、サービスとしてのゲームの不幸なところだと思うのだけど、それはともかくとしてだ。
ここで問題になるのは、「飽きてユーザーが止めるということは、ユーザーの数が減っていきませんか?」という話になる。
その通り、ユーザーの数はなんもしなければ減っていく。
これを日本では継続率、すなわち一人のユーザーがどれぐらい続けるのか? という指標で管理することが多いのだけど、海外の特にカジュアルな大DAUのゲームでは、DAU Retention、すなわちDAU継続率という、少し面白い指標を使うことが多い。
それはともかくとして、何もしなければユーザーの数は減っていく。これはマズい。
ではどうするのか?
広告などを行うことで、ユーザーにゲームをインストールしてもらう、ということになり、これでユーザー数を増やす…のだけど、ここで次回に続く。
続いたら。
だって書くのめんどくさいんだもんw

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