スーパーグラフィックス版大魔界村のコト

USTで乱暴に喋ったことをちょっとまとめておこうと思ったので書いておく。
スーパーグラフィックスの大魔界村は、発売はNECアベニューだったが、移植はハドソンで行われていて、そして実際に移植したのはアルファシステムのメンバーだった。
プログラマは二人。一応Y君とS君と呼んでおく。20年経っても名前を出していいかは判断しかねるので。ちなみにアートは、あにやんと呼ばれていたヤツが頭でやっているのだけど、彼とは『凄ノ王伝説』で仕事してたりする。
記憶ではY君は『NO・RI・KO』を佐々木社長とやっていたはず(『ファイティングストリート』もやってたかは覚えてない)。それで『イース1・2』を作るとき、横でずっと『大魔界村』の移植をしてて、そのあと『天外2』のとき一緒に仕事した。コードの最初から『天外2』にいて、最後までいた。
S君は『大魔界村』のあと、アルファシステムに帰って何作かシューティングゲームを作ったはず。
で、S君とは一度一緒にアルファシステムで仕事をしている。
もう20年も前の話だから書いていいと思うので、タイトルをばらすと『バイオレント・ソルジャー(IGS)』。
シューティングが大好きなので、短い期間ながら、バランス&レベルデザインをやれたのでワクワクしながらやらせてもらった。
僕の経歴の中で、アマチュアでなく一度だけ作れた横スクロールのシューティングゲームの仕事で、スタッフロールにもペンネームで載っている。世の中、ペンネームで、名前を出せない仕事もあるとブログで書いたことがあるけれど、これはその一例だ。
ちなみにちゃらっと書いておくと、スタッフロールの最後の方にある”come back summer vacation”は、このプロジェクトの進行が遅れていたもので、スタッフは夏休みを返上して必死で作っていたからだ。


そんな余談はともかく、『大魔界村』はY君がメインプログラマで移植が行われているのだけど、Y君もS君も凝り性な上に徹底的に大魔界村を解析しているので、その移植度はハンパではない。
例えば4面の後半、斜めに降りていく面で登場する敵にデビルハンドって名前の「手」の形をした敵がいる。この手は、アーサーの向きを検知して弾を投げてくるのだけど、一匹だけ特定条件で、おかしな方向に向いたままになる手がいる。
見つけたのはS君だが、どうしてこんなバグが発生するのかというと、デビルハンドがプレイヤーとの位置関係で方向を決めるテーブルの指定を間違っていて、あさっての方向を向いたままになってしまうってことだった。
そして、S君はこれを再現するためにわざわざ68000(モトローラのCPU。当時、アーケードでは扱いやすさから主力といっていいほど使われていた)のコードを「間違ってアクセスする場所」に同じように置いて、同じバグが再現するようにしている凝りっぷりだ。
ところでメガドライブ版はアーケードとCPUが同じなので、かなりコンバートに近い作りなのだけど、それがゆえにアドレスの違いなどもあって、こういった細かいバグは正しく移植されていない。
対して、こんな風に、端から端まで徹底的に拘って移植されたPCエンジンスーパーグラフィックス版は、パレットの数がメガドライブより圧倒的に多く(PCエンジンがメガドライブと比べて優位な点の一つ)、かつVRAM量が2倍で、そして8メガの大容量であること、さらにメガドライブ版がアーケードからのコンバートに近い都合で出来なかったことをやっている。
だからアーケードの移植としての再現度の話をするとPCエンジンスーパーグラフィックス版の方が実は明らかに上で、決定版といえる。
ただ、音についてはメガドライブ版の圧勝だけどね。

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4件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; rv:21.0) Gecko/20100101 Firefox/21.0
    Yさんといえば、確かストライダー飛竜の移植もやらされそうになって、あんな面倒なのは嫌だと言ったので、天外2に回ったような記憶がありますね。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/6.0; BOIE9;JAJP)
    僕がメガドライブを買ったのは大魔界村のためです。メガCDがでるまでPCエンジンユーザーとMDユーザーは仲が良かったと思う。任天堂に対する戦友という意識。これが崩れたのはメガCDの発売とストⅡ移植論争だと思う。
     個人的にはメガドラはSLGの思考時間が短いのが良かった(信長の野望武将風雲録SFCが1分以上かかる思考時間がMD版は8秒だった。)。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:20.0) Gecko/20100101 Firefox/20.0
    SG版大魔界村は当時としてはかなり高い移植度で良作でしたが、
    価格が定価1万円超えな上に普及してないSG専用というのがネックでしたね。
    私は本作発売から約2年後にSG本体を中古で2000円とソフト980円で購入して遊びました。
    個人的に本作の移植度に関してBGM以外で気になった箇所といえば、
    魔法ゲージのメーターの絵が若干違う、3面の前半で上に自動スクロールする
    エレベーターエリアの背景が多重スクロールしていないなど、
    その辺りの細かい箇所が再現されてないのは気になりました

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:21.0) Gecko/20100101 Firefox/21.0
    SG版は非常に楽しみにしていたし、
    ハードごと買ったソフトだったが、
    肝心のアーサーのグラフィックが似ていない。
    特に立ちポーズの頭の兜の形状が似ておらず、
    立ち止まると微妙に形がずれて非常にかっこわるい。
    それを見るのがイヤで出来るだけ立ち止まらずに
    プレイする様にしてしまった。
    後のサターン版/PS版ではこの様な事は無い。
    これでは決定版とは言えない。

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