フェアとルールと雇用契約

なんだかんだでニュージーランドで仕事を始めて7ヶ月が経っていた。
気がついたら半年を過ぎていたわけで、時間の経つ早さに驚いてしまう。
ところで、最近、僕の受けたミーティングがあって、日本との違いを強く感じたことだったので、少しメモ代わりに残しておきたい。
それは何かというとニュージーランドの解雇規定の勉強。
当たり前だけど、スタジオのある場所はニュージーランドなのでニュージーランドの雇用の法律の制限下にある。だからスタジオで人を雇うなり、解雇するなりするのもニュージーランドの法律下にあることになる。ちなみに、雑にはニュージーランドの解雇規定はアメリカほど自由じゃないけど、ヨーロッパほど労働者よりでもない、中庸の国らしい。
で、あんたは管理職だから受けなされというわけで受けた講義なのだけど、日本とあまりに違うものでビックリした。


そこで言われたことは「ともかくフェアでなければならない」って事だった。
あまり詳しく書くと怒られるかも知れないので、大雑把に書くけれど、フェアというのは、例えば誰かに問題があると感じたら、絶対にそれを公にデータが残る形で連絡し、ミーティングで警告をして、なおかつそれを一定期間の間に何回か繰り返し、かつ改善が見られないときだけ、解雇できますよ、というもの。
もちろん一定期間は、3日だの4日だのなんて短いものじゃダメだし、ミーティングにもいろんなルールがあって、そういうルールをちゃんと守らないと、訴えられたら会社負けますよ(スゴい例もいくつも説明してくれた)、だから「ルールを守りましょうね」という内容の講義だった。
言い換えるなら雇用されている側は、そのルールに守られているわけなんだけど、ちょっと興味があったので、日本ではアリガチな話を聞いてみた。
●仕事を取り上げて閑職に追い込み、辞職にさせたらどうなりますか?
=>裁判で負けます。取り上げるのには理由が必要です。
●無能だと仕事を却下しまくって、辞職に追い込んだらどうなりますか?
=>裁判で負けます。却下自体は権利ですが、却下するには正当な理由が必要です。
「内容は若干違うけれど、あなたも雇用契約しているんだから、同じように守られます。つまりフェアな行動をするのは、あなた自身を守ることなんですよ」と言われた。
雇用契約によって雇用者の仕事の範囲は決められているし、権利も決められている。だからそれを尊重しなさい、という話だ。
もちろん、これが理想の仕事だの夢の職場だのなんてわけはない。
線がしっかり引かれているのは時にめんどくさいし、違う問題はいっぱいあるし、日本のほうがいいと思うことも良くある。
けれど、少なくとも雇っている側が「雇用側の権利を守るためにフェアにルールを守らなければならない」と考えているのは、いい事なのではなかろうかと思ったのだった。

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2件のコメント

  • AGENT: KDDI-SH3H UP.Browser/6.2_7.2.7.1.K.5.183 (GUI) MMP/2.0
    これだけ労働者が保護されていて、なおかつ経営がうまくいっているとしたら、ニュージーランド経済には大いに関心を引き起こされます

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:14.0) Gecko/20100101 Firefox/14.0.1
    というか、フツウに世界中で労働者はいろんな形で保護されてますよ。アメリカだってクビに出来るけれど、訴訟は出来ますし。

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