補足(2):スーパーCDについてイロイロ

コメントで質問されたことなどに、あとで触れることもあるだろうけれど書くかどうかもわからないし、ほったらかしにしておくのもどうかなーってことを補足、として付け加えながら書いていくシリーズ。
今回はスーパーCDROMと当時のPCエンジンの価格の問題点、ハドソンのドットなどについて。
まずTwitterで言われてた「新しい町や村に新しい装備がないのは話にならん」のはどんちゃんだと思ってた…って話。
これは山田真木もどんちゃんもどっちもそう言っていたってだけ。
僕は山田真木の印象が強くて、桝田さんはどんちゃんの印象が強いって話だと思う。
ついでに山田真木について追加すると、その新しい町にある装備を全部買うまで先に進みたくないって人。山田真木とどんちゃんは似て非なる行動を取るプレイヤーで、アイテムの購買行動などは似ているけれど、戦闘の戦略や下手さ加減は、全然違う方向を見たプレイヤーだった。

ところでmixiで山田とは知り合いなのだけど、彼女のmixiアプリのプレイを見ると昔を彷彿とさせるところがあって、三つ子の魂百までというか…全く人には変わらないところがあるのだなあと思う。


以下はブログについてたコメントへの返事。
も様

当時のハドソン製ゲームは他社に比べてビジュアルシーンでの輪郭線のギザギザが目立ち、出来がイマイチだと思っていました。
なんとなく圧縮優先なのかとは思っていましたが、開発者の視点での説明が書かれているのをみると、なるほどと感心させられました。

そのときの担当アーティストの好みやプログラマーの好みが反映されますので、実はハドソン社内でも絵柄でかなり違います。
例えば一連のデジタルコミックは輪郭線のギザギザがめだたないエイリアスをしっかりかけたコブラやうる星やつらのような作品が中心ですし、ニュートピアのチームもそちらを好んでいました。
ただ、少なくとも僕のかかわった天外2・イース1・2(およびその延長の作品)は輪郭線スッキリなので、その印象が強くなるのもしょうがないと思います。
ところで輪郭線をやわらかくすると、当時のパソコンのCGと合わないのにははっきりとした理由がありました。
当時のパソコンの中心はPC-8801/FM-7…そして取り上げないときっと怒る人のいるSHARP X1あたりです。このあたりのパソコンはデジタル8色。640×200の解像度が標準です。で8色でドットを置きますから、アンリエイリアスなどしようもなかったのです。なので、よくも悪くも「すっきりした印象のドット」になりますから、PCとのイメージを共通化するとき、アンチをやりすぎるのは厳禁でした。
また、もうひとつの理由として当時は低解像度、RF入力、せいぜいビデオ入力だったので「クッキリスッキリしたRGB出力っぽいドット」があこがれで高級感のある感じがしたのです。
take さま

当時ゲーム雑誌に2メガという容量について、「ちょっと前のファミコンのゲームなら一発でロードでき る」と書かれていました。これは2メガと聞いて(別の意味で)驚いたユーザーに、いかに大容量かを強調した記事だったのです。私も正直少ないと感じまし た。CD-ROMの欠点は頻繁にCDが廻り、その都度待たされることなので、可能なかぎりのノーアクセス化が期待されたのですが・・・
待たされない、という理由でROMカセットを良しとする人達がまだ多かった時代でしたね。

今から考えると2メガってのは、ちょっと足りなかったなあと思いますが、微妙な話を始めると2メガ(256キロバイト)は、等速CDでは一塊で読んでも、だいたい2秒程度リードに時間がかかることになり、そろそろ「読み込み時間」がわかる領域です。これが4メガになると512キロバイト、一塊目いっぱい読むと約4秒。読み込み時間がはっきり感じられる範囲になってきます(読み込みの数秒って結構長いのですよ…)。
実際にプログラムを4メガで組んだとしたとき、例えば極限までデータを詰め込むタイプのビジュアルシーンを作ると、VRAM用データリード(0.5秒)>メインメモリデータ読み込み(4秒)、ADPCMデータ読み込み(0.5秒)…と実は読み込みだけで5秒以上の時間を消費し、さらにこの間にシークが入るので、結構な時間がかかると思います。
後のアーケードカードはもっと極端ですが、あのローディングタイムを見たとき、等速CDドライブのPCエンジンでは2メガは結構バランスは取れていてたと思うようになりました。
それでもメモリはあるにこしたことはなかったと思いますけれどね。4メガほしかったなあ。
あとROMなんですが、今はROMも内部的には物理部分のないメディアでしかなく、アクセス速度もけっこー厳しくて当時のROMとは全く別物です。
当時のROMはバスに直接ぶら下がっているメモリで、リセット叩いたらIPLすらなく、いきなりROMの中で直接プログラムが動くものですから、速度のレベルが違いますから比較するのも酷かなあと。
啓先 さま

スーパーCD-ROM^2のハードの方の話になりますが、周辺機器の中でも、とてもユニークなハードだと思います。
まず、システムカードが不用。後部拡張バスからの起動が可能だとは驚きでした。となると、初代機がシステムカード形態を取った理由がちょっとわからないです。
あと、底に拡張端子があります。これはこのハードにしかない謎の物ですが、何か繋げる予定でもあったのでしょうか。
久しぶりに実機を押し入れから引っ張りだして眺めています。天外2&英雄伝説の体験版が一緒に入っていました。懐かしいー。

後部拡張バスは本当に全部のコントロールが出ているので、ROMをつむことも何の問題もありませんでした。だから実は起動も問題なくできるのです。また底部の拡張端子はなんかのI/Oで、あとで使う予定があったのですが結局沙汰やみになったものです。
初代機がシステムカード形態を取ったのには実は理由が2つあります。
ひとつはROMをつんでいるとバージョンアップしづらいこと。もともと1.0って名前のとおりで、拡張したり改良したりする予定がありました。あと、もうひとつが当時はまだ物品税があり、その都合でばらしていた…ということのはずなのですが、これは記憶が不確かです。
はちはち 様

こういう製品の仕様決定に至るまでの試行錯誤は、当事者は大変だったろうけど
聞いてる側としては大変面白いですね。確か中本さんは当時のゲーム誌のコラムで、
PCエンジン本体のメインRAMも本当は32KBにしたかったとか書いてたような覚えがあります。
NECは家電屋だったから、競合機の他社製品と「比較すると価格設定が割高だったですけど、
実際当時のメモリ関連の相場ってどのくらいだったんでしょうか?

メモリの値段そのものはさすがに覚えていないのですが、PCエンジンのメモリは当時としては非常に高速な7メガちょいのクロックに、しかもRAMがノーウェイトなんて仕様だったもので、当時のEWSのキャッシュ用に使われていたSRAMが載っていました。そのため値段がとんでもなくて24800円のかなりの部分がその値段だと当時の技術の頭目だった野沢さんに教えてもらいました。
それからもうひとつ値段が高かったり理由が当時のNECは完全に家電屋でもあって、家電レベルの品質を要求されたために、あらゆる部品が競合他社と比較して高くなったと、当時設計をしていたNECのYさんから教えてもらいました。
「グレード落とせばさー安くできるんだけどさーNECじゃそれを許してもらえないんだよねー」とボヤいていましたよ。
ちなみにYさんの一番のお気に入りはDuoでした。
と、こんな感じ。なんか質問あったら、出来るだけ答えるようにしていきます。
記憶が不確かなこともあるかと思いますけど、なんせ20年前の話なんで、そこはあきらめてくださいw

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7件のコメント

  • AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/4.0; SLCC2; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; Media Center PC 6.0; .NET4.0C)
    もしかしたら後に書かれるネタだったかもしれませんが・・・(そうだったらこの投稿破棄してくれてかまいません)
    天外2以降とそれ以前のビジュアルシーンのドットの置き方では、確かに主線まわりのドットの置き方が違うと思います。
    それまでは確かにアーティストの好みだったのですが、
    天外2でキャラの主線の周りのドットを極力省いたのは、
    岩崎さんが作ってくれた近似キャラ圧縮ツールの存在が大きいです。
    (ツールの名前失念しました・・・あんなにお世話になったのに。すみません)
    主線の周りにドットを置きすぎると、近似キャラとしての判定が厳しくなって圧縮率が落ちるので、主線周りは最低限のアンチのみにおさえて、無駄なドットを極力省く方向に行ったのは、そういう理由が大きかったですね。
    主線がぼろぼろに途切れながらも手作業でのキャラ詰めではなし得ない圧縮率、
    衝撃的でしたね~。
    それ以降のタイトルでも手放せないツールでした・・・

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    当時から気になっていた値段の高さの理由が分かってスッキリしました。
    個人的にはスーパーシステムカードは2メガで良かったと思ってます。
    後のアーケードカードは餓狼伝説スペシャル等プレイ出来て良かったのですが、ローディングは仰る通りかなり長く感じました。
    あともし知っていたら教えて頂きたいのですが、システムカードからスーパーシステムカードに変えると同じゲームでもフォントが変わったという現象が記憶にあります。
    どのゲームかまでは記憶に無いのですが、予めフォントのデータがシステムカードに入っていたのでしょうか?。

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    飛田さんから見つけた岩崎さん!
    見つけたとたん、ココに私の名前!
    そうだよ、そうだよ。
    三つ子の魂45でも継続中。
    朝から、すんげー笑っちゃったよ~~!

  • AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; WOW64; Trident/4.0; GTB7.0; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729)
    >どんちゃんも似たような言葉は言ったんですが、遙か>にシビアに言ったのが山田真木でしたw 山田真木は>買い物のする価値のない町はゴミみたいな表現でしたねw
    これ見た!
    私って才能ある~~!!!
    そうだよ。買い物する価値のない町なんて、ゴミ!!!

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    >その新しい町にある装備を全部買うまで先に進みたくないって人。
    これは私にも思い当たりますねぇ。
    「全部」ではないですが、取りあえずその町の最強装備を一通り揃えた後に、
    新しいイベントなり次の町への移動を始めるスタイルは、今も変わってません。
    ついでに言えば、新装備を買う際の資金は、既存装備の売却資金を当てにせずに
    ゼロから積み立てて購入するのが基本です。
    (効率は悪いんですが、売却による費用工面が「自転車操業」のようなイメージがあって嫌ってました)
    なので、成長・進行の軸は経験値&LVではなく資金&装備中心になりがちですね。
    長く楽しめますが、基本的に安定するのでRPG戦闘の駆け引きの機微や意図されたバランスを楽しめているか、ということでは微妙です。
    実生活の金使いはそうでもないんだけどなぁ・・・

  • AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 5.1; Trident/4.0; GTB7.0; .NET CLR 2.0.50727; .NET CLR 3.0.4506.2152; .NET CLR 3.5.30729)
    風の伝説ザナドゥ2みたいな絵だとRPGはきついんですかね。
    PCエンジンでもあんな絵が出せるんだと当時は思ったんですが。
    SCDにするとき容量増加のついでに本体がSGになっていればなお良かったのになぁ。
    スーパーPCエンジンCD-ROM2。
    価格は10万コースかな(笑)

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    >当時のNECは完全に家電屋でもあって、家電レベルの品質を要求され
    今思えば、この辺の家電屋とゲーム屋の感覚の差が、他機種と比較しても
    価格面だけじゃなく品質にも如実に表れてましたよね。
    ただハードごとに全て機種でACアダプタが別仕様というのはまいりましたけど。
    この辺は公式で共有できる仕様だったらもっと使いやすかった。

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