PCエンジンメンコカードの事
ある日、知り合いのフランス人から、以下の画像が送られてきて質問された。
「これはとてもレアなものなんだけど、なんなんだ?(英語)」
これは紙で出来たHuカードのダミーで88年ぐらいまでの初期のHuカードがだいたい揃っていたはずなのだけど、「あ、これレアなんだ」と思ってしまった。
なんせハドソンや編集部に普通に転がっていて、多分家探しすると自分でもっていると思う物で、レアだと思ったことはなかったのだ。
けれど、言われてみれば、この紙のカード、販促用のものだろうとは想像がつくけれど、これが何かは知らなかった。
こんな時は、元ハドソンのメンバー…当時、営業側にいた荒井君ならまず間違いなく知っていそうなので、聞くに限るというわけで、facebookで聞いてみた。
荒井君の答えは以下。
■荒井君
販促用だと思います。
CSGとか、店頭イベントでも配っていたと思う…
販売店(おもちゃ屋さん)向けてにも、配ったかも。
そもそも、カセットしかなかったので、ゲームがこんなカードタイプ(カセット?)だよって認識してもらうためと…カッコイイでしょ! って感じだったと思います。
お店には、商品認知のためだったかもです。
前半は想像通りだったんだけど「あっ!」と思ったのは後半。
確かにそうで、当時はファミコンのカセットサイズぐらいが普通で、ゲームがカードサイズというのは確かに新しかったのだ。
分からない人が多そうなので、ちょっと追記。
CSGは Consumer Software Group 。当時は任天堂さんが初心会を組織していたのもあり、ゲームの流通は初心会が中心だったわけだけど、これはもちろんファミコン用なので、それ以外のハードやソフトは扱いにくかった(出来ないわけではないが、初心会の内覧会で出すわけにもいかない)。
だから任天堂以外のソフトとハードを流通させるために作られたグループがCSG。様々な場所で一般も入れるゲームショーを兼ねて商談会をしていて、ゲームショー兼商談会の名前もCSGだった。
このグループが大きくなり、発展的に解消して、CESAになりTGSを開催する。
この歴史を知っていれば、任天堂さんとTGSの距離がちょっと遠いのも無理はないよなあと理解できるのである。
それに当時はクレジットカードサイズのモノが流行していた時期で、電卓もクレジットカードサイズのものがあったよね、なんて話をしていたらーー
■飛田さん
カード型電卓の裏がゲームタイトルになってる物もあったね。
ああーっ、そんなんもそういえばあったわ! と、話をしていると、佐々木社長がーー
■佐々木社長
MENKOって書いてますね。
めんこに丁度良いサイズかもw
うわお、確かにメンコ(MENKO)って書いてあるわ!
■荒井君
そうだ、そうだ、メンコで遊ぶってのも、言ってた気がする!
メンコが良く遊ばれていたゲームだったかというと、80年代半ばというともはや普通に子供が遊ぶものではなくなっていたと思うけれど、まだ誰でもどんな遊びかと名前ぐらいは知っていた時代だ。
確かにサイズもほぼ普通のメンコだし、販促品兼メンコみたいなやり口はありだよなあ…と、さらに情報が出てきたところで、なーんとセガの奥成さんがさらにとんでもない情報を。
■奥成さん
セガが85年に同じ販促物を作ってますね(右は本物 / 注:下の2枚の写真のそれぞれ右)。こちらにはメンコとは書いていませんが、メンコと全く同一の素材です。本物とほぼ同じ厚みだからでしょうね。あとバリエーションは多分なくてこれだけです。店頭販促品でした。
セガ マイカードでも、販促品があったという驚きの展開。
セガ マイカードは80年代半ばにセガがカートリッジを止めてカードにしようとしていた時期があり、SC-1000 や マークⅢ用のゲームでこれで発売されたものが結構あったのだ(自分も家探しすればいくつかゲームが出てくるはず)。
というわけで、この手の販促品は、当時のカード型のゲームを出したところでは出していたものだった、ということがわかったのであった。
ちなみにHuカードとセガのマイカードはどちらも三菱樹脂製のものなので、実は親戚…というか、兄弟みたいなものである。
と、こんな話はなーんも書いてないけど、冬コミの新刊『ハドソン伝説ゼロ』はBeepさん・とらさん・メロンさんに委託してます。
あと、以下は、ハドソン伝説の既刊デス。
ハドソン伝説既刊。BEEPさん・とらのあなさん・メロンブックスさんで委託しています。BEEPさんでは描き下ろしのイラスト+コラムの特典ペーパーがつきます。