「助けてハドソン!」とマイク入力

『ハドソン伝説・ファミコン編』をなんとか出してから、ちょっとして下のようなツイートがあった。

で、これについて「ああそういえば」と思って、確認したところ答えがわかったので、ちょっと記事にしておきたい。

まずファミコンマイク反転問題について解説したい。
ファミコンの2コンのマイクはそもそも1ビットしか入力を持っておらずon/offの判定しかできない。

だから「助けてハドソーン!」と叫ぼうが、それともマイクを爪でこすろうが、ファミコンにとっては全く同じだ
同じ理由で『たけしの挑戦状』で「ぽっぽっぽー♪」と一生懸命歌っていた当時のチビッコたちに悪いが、そんな面倒なことをしなくてもマイクの入力部分を上から指で叩けば十分だったのだ。

ところで、このマイクは重大な問題を抱えていた。
それは普通は入力があったら1、入力がなければ0となっていそうなものだが、なんとファミコンのバージョンによって入力があったら0、入力がなかったら1というのがあったのだ。
マジかよと思ってしまうような話だが本当だ。
だから1だと入力があると判定していると、なんとバージョンによってはうまく入力を判断できないことになってしまう。これがマイクの反転問題だ。

で、ハドソンのソフトはそれを解決するために「0-1」もしくは「1-0」のどちらでも、ともかくマイクの入力に変化があったら音声入力があったということにするって、マイク反転に対応したプログラムをしていた。
この処理が最初に書かれたのは、最初にマイクを使った『バンゲリングベイ』なのだけど、これを誰が実装したのかわからないというわけだ。
そこで、いつものようにfacebookで野沢さんに聞いてみた。

バンゲリングベイの時だと思うんですが、マイクの入力が反転しても検知できる方法って誰が思いついたんでしょう?
ちと聞かれたんですが、時期的には菊田さんかなあと思うのですが、野沢さんの可能性もあることに気が付いた!

どうして、野沢さんに聞いたのかも理由がある。
実はハドソンの初期のファミコンゲームでは、野沢さんは良くいろいろなゲームを手伝っていて、パーツを書くことが多々あり、『バンゲリングベイ』でも、なんと野沢さんは手伝っていたのだ。
以下は『バンゲリング・ベイ』についての野沢さんの証言である。

■野沢さん
バンゲリングベイのマップの実装はオリジナルのをコンバートしてデータだ使用したが、スクロールルーチンだけは私が書いた。
オリジナルも結構大胆に圧縮してた記憶があるが、内容はすっかり忘れてる。

どうして『ハドソン伝説・ファミコン編』を書いているときに思い出さない、とボヤきたいが、それはともかく、だから入力判定も野沢さんの可能性があると思ったので聞いてみたわけだ。

■野沢さん
それは菊田さんの実装だね。
ただね、大したことはしていない。
マイク入力で、入力ポートはON・OFFを繰り返すだけしか検出できないんだけど、単にVsyncごとにチェックするだけなんだよね。
変化があれば音声入力ありにして、適当に処理するだけだし。
音声ポートは任天の仕様書(手書きの資料?)に書いてあった気がする。

いや、大したことしてないと言っても、それが大事だったんですよ、野沢さんと言いたいが、もう一つここに大事な情報がある。

それは任天堂は反転する問題を知っていて、それが(手書きの?)資料に書かれていた可能性が高いということだ。
だから菊田さんは反転対応できたのだと思われる。

と、ここまでがマイク反転問題を誰が解決していたかなのだけど、このあとビックリするような流れになった。

■飛田さん
音声入力を使ったゲームはバンゲリングベイ以外にあったっけ?
音の有無しか判定できないようなハードウェアなんで使い道に困る仕様だったけど

どうやら飛田さんも忘れていたらしく、僕が『ファミリーベーシックV3』や『ドラえもん』でも使っているし、任天堂さんも『ゼルダ』や結構いろいろ使っていますよ、と話をしたところ、なんとここにめがてん細江先生が割り込んできた。

■めがてん細江
スターラスター(1985)も使ってる
「モンガー」って呼ぶと助けてもらえる
※モンガーはプログラマーのニックネーム

いや「助けてスターノイド!」だし…と思いつつも、これまた当時叫んでいたチビッコたちには悪いが、マイクを擦るだけで充分だったわけだけど、これには結構いろいろな逸話が含まれている。

  • 当時の『スターラスター』のプログラマはモンガーというあだ名だった。
  • 当時のナムコの他のメンバーにはマイクの入力が1ビットしかないことを説明せず「モンガーと叫べ」と教えていた。
  • そしてモンガーという名前は、実は階級名称にもあって表記は「MONGAW」。

調べたところ、全く知られていない事実だったようなので、ここにメモとして残しておくのである。

というわけで『バンゲリング・ベイ』と思いもかけない『スターラスター』の逸話であった。

そして、上の話は全然入ってない『ハドソン伝説・ファミコン編』が以下。

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1件のコメント

  • 技術的な問題なのかゲームとして使いにくい機能なのか、コスト優先でマイク入力のあるハードは少数派なのでしょうか。過去のファミコンソフトのリバイバル作品は、音声入力まで再現しているのかが気になりました。スターラスターはナムコットコレクション(ニンテンドースイッチ)にあるので確認してみたいと思います(まだ買ってない)。

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