1988年のPCエンジンCDROM
とても楽しいハドソン系の飲み会があり、そこで預かってくれないか? と言われたのが、1988年9月に作られたNO・RI・KOのディスクだった。
ウラノリコと書かれているのは、画像データの大半が仮素材の代物だったからだ。
なお、当時のスタッフがPEというエディタで適当に描いたもの。
NO・RI・KOはアルファシステムが制作しているので、マウスで適当に描かれたテキストに結構九州弁が含まれているのがなかなかに面白い。
これはスタンパ(と当時は僕らは呼んでいた)形式、つまり本当に生産されたもので、記憶ではマスターを出すとだいたい一週間ぐらいすると来るものだったわけだけど、どうしてこんな仮素材の代物をスタンパにしたのか?
誰も本当にCDROMでゲームがちゃんとが動くのかわかっていなかったし、見たこともなかったから、実ディスクを作ってみるのが必須だった
1988年8月ぐらいまでBIOSを作っていて(僕も書いていた)、ようやくBIOSが安定して、エミュレーションできるようになってはいたが、誰一人CDROMで動いたゲームなんて見たことない。もちろん大量生産されたこともない.
音楽CDはもちろん大量生産されていたがCDROMが量産されてどうなるかなんて想像もつかない
となれば、実際に板焼きをしてみるしかないわけで、いわば生産テスト兼本当に動くのかの実テストとして行われたわけだ。
ところで、ここでCD-Rじゃないのか? と不思議に思う人がいるだろうから書いておくと、CD-Rはまだ市販されていない。
88年の9月というと、発表はされていたと思うが、モノはないのだ。
というわけで、これをCD-ROMドライブで読んでみると…どうやらTOCの生成ツールにバグがあったのか、それともよくわかっていなかったのか、トラック数が99トラックあることになっているディスクになっていて、しかも不安定で結構読めなかったのだけど…なんとかイメージ化に成功。
88年9月というと、BIOSはもう本物だったはずなので、そのまま起動するはず…とootakeで起動してみると…
なんと、ちゃんと起動してくれた!
ディスクの中身はほとんど仮素材で、ごくたまにちゃんとした画像が入っている状態だったのだけど、記憶していた通り、一応最後までプレイ可能にはなっていた。
30年前なら、もちろんこんなものは公開できるわけもないが、 今は31年後で、そして多分これは史上初のCDROMゲームマシンで実動するゲームディスクで、それだけで価値があると思う。
歴史的な資料であり、こうしてメモとして公開しておく次第である。