なぜノベルゲームは日めくり方式が主力になったのか?

ツイッターで書いたことをもうちょっと整理した版。

なぜエロゲーの作中期間は短いのか?

大変に面白いテキストだったんだけど、技術だけじゃなくて歴史もあると思う…というか、技術より歴史の方が遥かに理由として大きいと思う。
なので、以下、「どうしてノベルゲームは一日単位が常識になったのか?」について、僕がこれが理由だろ? と思っている歴史について書いておきたい。

エロゲだろうとなんだろうと、お話を語るゲームのルーツをたどっていくと、結局ADV/RPGに行きつく。

1975年あたりにテーブルトークRPGがD&Dで登場し、これが探索とストーリーを語ることを主体とする”Adventure”と成長と戦闘を主体とする”CRPG”の二つに分かれてコンピュータゲームのジャンルとして現れる。

どうして二つに分かれていたのかというと、当時のコンピュータのリソースとあとは最初にゲームを作った人間が何をメインにしたのか? とか、まあイロイロあるのだけど、これを説明するとこれだけで丸一冊の本になるので、以下の参考資料を二つほど挙げておきたい。
興味がある人は読んでくれればいいと思う。ただ、下の本はどっちもAdventureの起源についてはないけど、そこは許してほしい。

一応書いておくと、”Dungeons and Desktops”の方はちゃんとした研究書で、ロールプレイングゲームサイドには、前者の研究内容を抄録していると考えればいい。もちろん読みやすいのは日本語の方。

閑話休題。

そんなわけで、ゲームでお話を語るという技術の根本はつまり70年代後半のCRPGとAdventureで登場したと考えていいのだけど、この2つは基本的には、前述の文の著者のいう「日めくり方式のゲーム」ということになる。

なぜならゲームプレイ=プレイヤーの体験だからだ。

ゲームはプレイヤーが操作するプレイヤーの体験として与えられる(実況プレイの話はここでは除外しておく)。
つまりストーリーがゲームの中にあっても、それはストーリーが独立して固定されて、映画のように語られるわけではなく、プレイヤーの体験として語られるということを意味している。

だから、近代的なエロゲーやノベルゲームも、体験を通してストーリーをプレイヤーに語るゲームとして作られることになった。

そして体験は連続しているもので、気絶なり昏睡なり睡眠なりしてないと、日付がジャンプするわけはないし、逆に日付を飛ばすためには結構面倒くさい説明が必要だ(「そして いちやが あけた」なんて典型)。
また体験なので視点はプレイヤーの位置ということになる。だから一昔前は視点を敵側のところに動かすのすら、一言必要なぐらいだった。

つまり体験であるがゆえに、プレイヤーの視点の問題と経過時間の問題が常にあったわけだ。

だから特に経過時間について、ゲームデザイナーたちはそこに触れないか、それとも逆に徹底的に触れた作品を作ることが多かった。
そしてエロゲーやノベルゲームは徹底的に時間を意識する方向に進んだ。
なぜならそこで語られるストーリーが恋愛絡みが多い。
恋愛は二人の人間の関係性が時間に伴って変化することなのだから、場所(ロードノベル系)かそれとも時間が必要なのだ。

ストーリーという単語には、これまたいろいろ問題があるのだけど、そこらへんの腑分けは“Re:ゼロから始まるゲームシナリオ”で結構、徹底的に書いたので、まあ興味があったら読んでみて欲しい。

ここで「じゃあ、なんで単位は1日なんですか?」という質問が出てくる。
恋愛が主な題材なので、時間の粒度は比較的小さい方がいいわけだけど、別に1日である必要はどこにもない。
実際『プリメ』みたいに1カ月、それとも『ときメモ』みたいに1週間+1日とか、時間のサイクルをいじる方法はいくらでもある。

これに対する答えは『同級生1』と『同級生2』、そしてそのフォロワーの中でも決定的な大ヒットになった『To Heart』の3本によって決定づけられたデファクトスタンダードだから、というのが僕の考えだ(歴史的に見てこうだと思っているが断言をするつもりはないってぐらい)。

『同級生』シリーズは1も2もとんでもない大ヒットだが、どちらも限られた期間内での恋愛がテーマだ。
具体的には1は夏休みで2は冬休み。
だから時間単位は細かい方が良かったので、日めくりゲームになっている。

そしてLeafの『ビジュアルノベル』を決定づけた大ヒットだと僕が思っている”To Heart”は、これが踏襲されたんだと思っているのだけど、やはり基本的に日めくりゲーム。

これらの大ヒットによって、日めくりがデファクトスタンダードになったのだろう…と、僕は思っているわけである。

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