なくなりゆくコネクタ

ふっと思ったことを、なんとなく書く。
僕が初めてパソコン…というかマイコンに付き合い始めた1970年代後半初期はワンボードマイコンの時代、まさに自分のオンリーワンのコンピュータを作る時代だった。
だから、電源から、回路から、ソフトから、あらゆるものがオンリーワンで互換性はほぼゼロだった。

ソフトすら互換性がなかった。ソフトの互換性と呼べるものは、アセンブラレベルでソースを書き直す前提での互換性だった。だから、80年より前の雑誌では全ソースリストが(アセンブラであろうと)掲載されているのが当たり前だった。そしてアセンブラのリストはとんでもなく長いので、ソースリストが連載されているなんてムチャな例も普通にあった。
アセンブラは1キロバイトが500行以上になるのが普通。そして当時のBASICは2キロバイト程度以上あるので、2,000行とかあることになる。


ここにプリンタだのなんだのと、少しずつ拡張機器ができてくるのだけど、当たり前だけど接続の互換性がないとめんどくさくてしょうがない。
そこでいろんなものがだんだん互換性のあるコネクタでつながるようにしようよってことになり、デファクトスタンダードなコネクタ(や拡張バス)も出来れば、標準化しようって話も出てきた。
とは言っても、標準化ってのはたいていうまく行かなくて、だいたいデファクトスタンダードが標準同然の扱いを受けることの方が多かった。
例えばNECのPC-9801用のバスマウス(とシリアルマウスがあった)のインターフェースは当然NECが作ったものなので、NECローカルで標準ではないけれど、恐ろしく普及していたので、デファクトスタンダードとして君臨してたし、ほとんど標準のような扱いを受けてたプリンタのセントロニクスって規格があったのだけど、これなんかも実は標準じゃあなかったりする。
ともかく、まあそんなこんなでイロイロなインターフェースがつなげるように、パソコンにはコネクタがどんどん増えてった。
で、僕がパソコンで仕事を始めたころには、パソコンはプリンタ・フロッピーインターフェース・SASI(HD)・場合によってSCSI・RS-232C・マウス・キーボード・アナログRGB・ゲームコントローラI/Oと、まあ違う形の穴だらけと言っていいシロモノになり、これが、さらに数年経つとイーサネット・ひどいときにはモデムまでつき、もう違う形の穴の山になっていた。
これが激変を始めたのが97年前後。
USBがマザボについて、iMacで「レガシーなデバイスはみんななくす!」とか言い出してから、スゴい勢いでいろんなものがなくなり始めた。
まずネットワークがふつーにあるようになって、RS-232Cがいらなくなって、いつの間にかなくなった。
次にプリンタがどんどんUSB接続になって、セントロインターフェース(でかい形してた)が消え始めた。それから外付けのハードディスクがUSBとNASが主力になって、SASIとか外付けのHDDをつなぐための穴もなくなった。アナログRGBはいつのまにかDVIとHDMIに置き換えられていた。
PS/2がだんだんUSBに置き換えられ、キーボードとマウスもとうとうUSBに統一された(ここはプロゲーマーが使うのでまだ生き延びると思うけど)。
そして、いまや僕のデスクトップパソコンにはUSBとネットワークとHDMIぐらいしか「コネクタ」と言えるものは残っていない(電源は除く)。
そのかわりUSBが6つとか8つとかあったりするけど、よくここまでコネクタの種類が単純化したものだと、感心してしまうのであった。

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7件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/31.0.1650.57 Safari/537.36 OPR/18.0.1284.49
    昔のパソコンは、コネクタ形状が色々あって、ケーブル長さも太さも違って、とても大変でした。
    よく調べてから買わないと接続出来ないやら長さが足りないやらで、ガックリくることも多かったです^^;
    パソコンを買い替えたりすると、ケーブルだけが大量に余り、、、これ何に使ってたんだっけというのもありました。ホント困りました。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (X11; Linux x86_64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/31.0.1650.57 Safari/537.36
    USBのコネクタの種類も
    単純化して欲しかったですね・・・
    microで落ち着いてくれるのかなぁ?

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.3; Win64; x64; Trident/7.0; rv:11.0) like Gecko
    PC98-NX は早すぎたんや!(笑)
    オーディオコネクター (+ ヘッドフォン/ヘッドセットコネクター) なんかは割と残ってますね。(USB だと 5.1ch 以上はちょっと……)
    あとは、デスクトップならたまーに eSATA とかがあるかもしれません。(忘れられている DisplayPort さんとか……)
    COM については、ネットワーク系だと「PC 側は USB-COM 変換でなんとかする」感じで、相手側機器にはそれなりに残ってたりしますね。(基幹向けルーターとか)
    あと、割とトラップくさい話として、「表向きは PS/2 口なのだけど、M/B 上で USB 経由で繋いでいるマシン」があったりします。(hp の PC サーバーとかはこのクチ)
    このため、PS/2 口に繋いでいるのに内部的に USB に変換されているので、USB 的な負荷/遅延があるという……。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:25.0) Gecko/20100101 Firefox/25.0
    これ、今のAV(オーディオ&ビジュアル)業界も同じですよねぇ。
    みんなHDMIに切り替わっちゃって。
    パソコンだけじゃなくて家電側もAVケーブル無茶苦茶余ってます(笑)

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:25.0) Gecko/20100101 Firefox/25.0
    >>Ft様
    めっちゃありましたw
    実は捨てるに捨てられなくて、今でも部屋の箱に入ってたりします。しかもなんのケーブルかすらわからないw
    >>atsu様
    USBはコネクタの形状が少ないだけマシかとw
    RS-232Cとか悪夢でしたよw
    >>近藤@古代図書館様
    NXが早すぎましたねw マジで。
    iMacですら、初期は恐ろしく不便でした。
    >>アイン様
    (゜д゜)!
    考えてみたらデジタルへの移行でアナログ系がガバあまりしてるわけだ!

  • AGENT: Mozilla/5.0 (X11; Linux x86_64) AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko) Chrome/31.0.1650.57 Safari/537.36
    AV系は未だ移行途中、の感がありますねー。
    デジタル機器が増殖していく中、割と切実です。
    オーディオアンプ、AVアンプ製品はもう少し画期的なデジタル指向製品が出て欲しいです。
    デジタル系映像・音声コネクタの受け口が圧倒的に足りない…。
    (「レシーバー」なる謎のカテゴリも出現しましたけど)
    サービスコンセントの代わりに、USB電源出力機能も多数ついた
    フルデジタルで安価なアンプが発売されないかなぁ。
    「アンプ」という製品カテゴリ自体がレガシー扱いなのかもしれませんが…。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (compatible; MSIE 10.0; Windows NT 6.1; WOW64; Trident/6.0; BOIE9;JAJP)
    家庭用ゲーム機のジョイステックが事実上USBに統一されたときうれしかったな。
     いまやUSBの統一でなくて征服だよな。

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