イースⅠ・Ⅱ通史(番外):アドルの綴りのコト

例によって『イース通史』の調査をしていたとき、自分の記憶の中で引っかかったのがアドルの綴りだった。
自分の記憶では以下の流れだった。

  1. 音楽モードの曲のタイトルを入力する
    余談だけど、音楽モードはそもそもはPSGやCDDAがちゃんと入っていて正しく鳴るかを確認するためのデバッグモードを殺さず、隠しコマンドにしただけだ。
  2. “ADORU”が英語になってないから、直そう
    “Theme of ADORU”の綴り。アレンジ版を用意したので題名が必要だった。
  3. PC-DOS版があるのを知っていたので、それで綴りを確認しようとした
    探そうとしたのは間違いない。

それで”Adol”に綴りを変えたというのが記憶だった。
ついでに書けば、”Adol”をアメリカンはまず間違いなく「エイドル」と読むだろうし「名前? 変な名前!」っていうと確信していた。
でも、仮に変な名前であろうと、PC-DOS版で”Adol”という名前をつけていた可能性はあったし、それを当時見つけて”Adol”にした可能性は一応あった。
でも、さすがに30年も前のことは完璧に覚えているわけもなく、どうたったかなあと考えていて、当時の海外PC移植版の名前を確認しようと思いついた。今ならインターネットがある。発見できるに違いない。

わかったのが、なんとマスターシステム版では”Aron”
なんてこったい。海外版があったのすら知らなかったよ。
で、PC-DOS版はマニュアルのスキャンを見つけて調べたのだけど、これがない。

はっと思い出したのがarchive project のDOSゲームarchive。
確かそこにイースのPC-DOS版があったはず…と立ち上げたのはいいけれど、やっぱりどこにも名前はない。

と、ここでフォロワーの方から、APPLE II GSでは”Arick”でしたよと画面が!
なんてこったい、フィーナの所で名前出てたのかよ…と思いながら、もう一度マニュアルを調べると”Arick”と書かれていて、これは全機種共通のマニュアルなのでKYODAI移植のPC-DOSなど版Ysはアドルではなく”Arick”なのが確定。

というわけで、”Adol”に綴りを変えたのは自分だった…というところまでが実は話の枕。
これを調べるためにいろいろなところで話を聞いていたら…しんぺんさんが言い出した。

  • (しんぺん)
    THEMA OF ADORU の名前をミスにさせたのはいわさきさんでしたかwww
  • (僕)
    ミスって…ADORUはないやろ!? ただのローマ字じゃん!!!w
    アドルの綴りって、英語っぽい綴りにしようとしたら… 
    1)あえて idol って名前にする。ないわ。
    2)edol 。これは発音的には「イードルになる」からない。
    3)となるとadol一択
    誰でもADOLに直した思うよ。
  • (しんぺん)
    えー、そうかなあ原作がADORUって言ってたら、直す人と原作のママにする人とでは、半々くらいな気がします。
    「マジで!?」と思いつつも、自分なら修正するのためらいますわw
    インタビューできる立場であれば、「これでいいの?」って原作者パスかなあ
  • (僕)
    あー!
    最初の”Theme of ADORU”がひどいという判断自体だよねw めっちゃ理解したw
    僕は英語が出来たから「この綴りはない」と一瞬で却下したってことだ。理解した!w
  • (しんぺん)
    わかった上で、「ADORU」をミス呼ばわりしたのは、いわさきさんが原因、というのは後生に伝えないとwww
  • (僕)
    ブログにちょっと書こう。
    しんぺんさんの見方は自分には衝撃的に新鮮だった。
    僕は「直した」と表現した通り「このひどいローマ字のADORUはないから、ちゃんと英語で読めるADOLにする」という考え方で、仮にこれが英語的にみてひどかろうが、オリジナルはこうなんだから、アドルの綴りは「ADORU」であるべきだって、発想は30年一度も持ったことなかったんだよ、びっくりしたw

と、30年考えたことすらなかった発想を言われて、驚いて、このブログを書いたわけである。

余談だけど、アメリカンは絶対に変な顔をすると思っていたと書いたけれど、その通りで、海外版を作るとき、ジョン・グリーナーは「アメリカンが聞いてヘンテコに聞こえる名前は変えていいか? たとえばアドルとかさ」と僕に聞いてきた。
「うん、ただし”Adol”だけは絶対に変えないよ。発音はエイドルでもいいけどさ」と、僕は言ったのだった。
だから海外版はゴート・ダビーだけが”Dekka Dabbie”と、違う名前になっているわけだ。

LinkedIn にシェア
Pocket

2件のコメント

  • 今更ですが…
    PC98の所謂「レアの詩(※)」と呼ばれる物は、いったいどのような経緯で誕生したんでしょうか。
    今回までの記事にも、2010年当時のPCE版の記事でも一切触れていないようですが、なにか深い理由があったりするんでしょうか。

    ※YsIIののプログラムディスクとYsIのセーブディスク(第一部)を使用した裏技

    • オリジナルのスタッフが誰も何も言わなかったからですw
      言い換えるなら、多分これは移植担当だった桶谷さんが(たぶん勝手に)入れたもので、誰も気にしていなかったからです。

コメントは現在停止中です。