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1989年10月 - 頭に来たスタッフロール
前回はコレ
過去記事の集合体はコレ
この話は1988-89年頃、PCエンジン版のイースを作るとき、僕が経験した話を出来るだけ正確に記録に残すつもりで書いている。ただし、これは
1)21年前の話で、記憶違いの可能性は十分にある。
2)僕が体験したり思ったりしたことを書くようにしているが、伝聞情報(二次情報程度)もある。
だから、当時の正確な記録ではない可能性はあるのは理解して欲しい。

■■■

この本名だらけのシリーズでHaHi君とハドソンの営業担当Zだけが、なぜ名前が伏せられているのか?
このシリーズが基本的に本名で書かれている理由は、イースのスタッフロールが本名だからだ。スタッフロールが本名なのにグラフィックチーフの進藤と書かずにグラフィックのSと書いても意味はない
もちろん、Sではなくグラフィックの●とかにすりゃ仮名の意味では出てくるが、一緒に作ってくれたスタッフに感謝しているのに仮名では、それこそスタッフに失礼ではないか。
山根やファルコムのくだりは結構ナマナマしい話だし、会社同士の関係もあったから、21年前に本名と実際の会社の名前で書いていたら問題になったかも知れないが、今は21年後であり、もう過去の話である。いまさら山根のことに怒る人もいるまい。

つまり、イースを作ったメンバーはスタッフロールで満天下に本名を出しており、そして仕事のクオリティはとても高かったと僕は思っているので、本名で書いているわけだ。
ところで、当時はゲームのエンディングまで行き着いたとき、まずスタッフロールは出たり出なかったりで、誰が作ったのかすらわからないことが多かった。
さらに仮に出てもぴょんきちだのガッツ.アンパンだの、ふざけた名前のが並ぶことが多かった。
これは大手ではスタッフの引抜きを警戒したから名前を出させてくれなかった…なんて話を聞いたことがあるが、僕はこれが本当かどうか知らない。少なくともハドソンでは「会社としてペンネームでなければ困る」と要望されたことはない
ただ、デビュー作、凄ノ王伝説ではハドソンのスタッフの一部に仮名を使っている。スタッフロールを作るとき名前を確認した記憶があり、そのときペンネームで…みたいなことを言われたので「なんとなく名前を出すのが恥ずかしい」みたいな風潮があったのかも知れない。
【注】当たり前のことながら、当時、僕はフリーで、名前を売らないと話にならないのだから一生懸命本名を書いた。このとき、ペンネームを考えたこともあったのだが、どうにもいいペンネームを思いつかず、結局本名のままになっている。
僕はキャラクタの名前を考えるのが大変に下手で、今作っているゲームでも、スタッフ、名前については「かっこ悪い」だの「ダメ」だのボロクソ。なんだかいい名前を作る才能が欲しいと思ってしまう。


というわけで、当時のハドソンではゲームに載せるスタッフ名は仮名でも本名でもよかったわけだが、イースのスタッフロールがほぼ本名な理由は2つある。
一つが、ハドソンが出すゲームのスタッフロールが急速に本名に変わりつつあったこと。もう一つが自分の考え方だ。

まずハドソンの話からすると、PCエンジンにCDROMが登場したとき、スタッフが大幅に増えた。当たり前だが、声優さんがスタッフに入ってきたり、社内だけでない協力の会社がグラフィック・録音スタジオ・芸能プロダクション・声優プロダクションなどの形で増えたりして、ともかく一気にスタッフの数が増えた。
88年ごろのゲームは先ほど書いたとおり、スタッフロールもあったりなかったりだったが、CDROMのソフトでは、声優さんや協力プロダクションはどこかに出さなければいろいろとよろしくない。だからスタッフロール(もしくはそれに近いモノ)もほぼ標準になった。
そして、そのスタッフロールで外部協力の人は当たり前のことながら、本名もしくは知られたペンネームで記載されるのが当たり前で、CDROMシステムには漢字フォントが搭載されており、スタッフロールに漢字を表示するのが簡単だった。
だからスタッフロールでは銀河万丈さんとか、広井王子さんとか、いずれも知られた芸名(ペンネーム)で、漢字で表記されることになった。
ここで「ぴょんきち→銀河万丈」では、あまりにバランスが悪いのは確かで、それよりは「中本伸一→銀河万丈」の方が、バランスがいいのは確かだろう。
つまりCDROMソフトの製作によって、スタッフロールには本名を使う方が都合がよくなりつつあった、ということだ。

では自分の考え方とは何だったかというと、イースの時にははっきりしていて、スタッフロールは、本名もしくは長く使う予定の芸名を基本とするというものだ。
というのも、ゲームを作ったスタッフがスタッフロールに名前を載せるのは「僕はこのゲームを作るメンバーとして作品に関わったということを示す権利であると同時に義務である」と考えるようになっていたからだ(これは今も変わらない)。
権利は当たり前のことながら自分はこのゲームに関わったコトを示す権利であり、義務は「自分はこのゲームの責任の一端を担います」という意味だ。だから名前を出せない特別な場合を除けば、出来るだけ本名でというのが僕の考えであり、イースでも例外は声優さんを除けば2人しかいない(当たり前だが声優さんは芸名=本名だ)。
その例外の1人がHaHi君で、もう1人が山根ともお。
HaHi君はおよそあらゆるゲームでそうしてきたから、というのが理由で、山根については、ファルコムでイースを作っていた人間が入っているのがファルコムにとって気持ちいいわけがないので、ペンネームを用意させてもらった。これは、個人的には避けたかったのだが、致し方ないと思った。
と、まあ一部例外を除き、イース1・2では、ほぼ本名のスタッフロールを作れることになったわけだ。
【注】もちろん、この件の山根のように「名前を出せないゲーム」は存在する。
僕自身も、PCエンジンではスタッフとして関わったゲームで2本ほど名前の出ていないゲームがある。他にもPS1の3DシューティングだのRPGだのPS2のアクションだのに関わったことがあるが、当時メディアワークスの社員であり、名前を出してもらうわけにもいかなかった(名前を出すほどの仕事もしていないと思うが)。
友達に泣きつかれて会社に隠れて手伝ったとか(普通は業界他社だからかなりいただけない話だ)、パブリッシャーとデベロッパーの関係の都合上出せないとか、ともかくいろいろな理由で、仕事をしたゲームで名前を出せないというのは、それなりに経験を積んだゲーム開発者なら一度や二度はあるのが当たり前なのではなかろうか。

ところでスタッフロールは本当にプログラム的には一番最後に作っている。
天外2でもエメドラでも、ともかく関わった作品ではスタッフロールは最後に作る。これだけは絶対に曲げたことはない。
だいたいデバッグや修正はともかくとしてスタッフロールを作った後、なおかつ何かやることがいっぱいあるなんてイヤではないか。スタッフロールってのは「これ作ったら、あとはデバッグのみ!」という気持ちでウキウキしながら作るモンだと思っている。

また、とても評判が良かったスタッフロールの背景に出てくる、ルーやアドルやらフィーナやらのアニメーションだが、これはもともとは僕が「スタッフロールでNG集をやりたい」と言ったのから始まる。
当時、アクションスターとして全盛時代だったジャッキーチェンの映画の最後には良くNG集が入っていた。実に面白くて、その趣向が大好きだたので、ゲームでやってみたかったのだが、そのためだけにマップ作るとか、映画のカメラ作るとか、アーティストチームがブチ切れるような仕様を言ったのでお流れになった。
フィーナを助けようとしてこけるアドルとか、糸で釣ってあるボスとか、そういうチープなノリをやりたかったのだが、本物のNG集は撮影失敗のフィルムだが、こっちはNGをわざわざ作るキチガイざただ。作れるわけもなく、残念ながら諦めざるをえなかったが、少々進藤を恨む次第である。
で、その代わり…といってはなんだが、スタッフロールで次々とキャラクタが現れる…という作りにすることにした。
ここでバラすと、この2番手アイディアのスタッフロールは『謎の壁』(1986年・コナミ・ファミコンディスクシステム)『ガルフォース』(1986年・HAL研究所・ファミコンディスクシステム)のエンディングの合体版だったりする。興味がある人は検索して欲しい。
踊らせるように指示したのは僕で「最初にアドルとフィーナが出てきて踊り始める。そしたらあとは適当にアニメーションするから、ループアニメーションで回るようにして、最後にお辞儀するようにしろ」と簡単に指示をだしたら、大変にカッコいいアニメーションをイトマキが作ってくれた。
ところで、踊らせるように指示したのは僕だが、アドルとフィーナにしたのはイトマキだ。僕は、まあフィーナの方がふさわしいんだけど、アーティストの連中の好きにやらせようと思い「こういう仕様でやる。何をするかは任せるから、好きにアニメを作れ、割り当ても勝手にやってちょ、遊ぶのはいくら遊んでもいい」とだけ言ったら、イトマキが「アドルとフィーナがふさわしいと思う」といい、アドルとフィーナを踊らせることに決めてきた。
また、他のアニメについてちょっと書くと、踊るダルク・ファクトは確か百田のバカが書いたはずだし、ダレスはウリ坊、ドギは山口もとが…というように、もう呆れるほど好き勝手に遊んでくれた。今見ると、ヘボなのかも知れないが、とてもいいアニメーションを作ってくれたと思う。

と、ここまではタイトルの「頭にきた理由」がわからないだろう。

実は元のイース1・2のスタッフロールは、あの形ではなかった。

当たり前の事ながら、イースは原作つきのゲームであり、オリジナルスタッフがいる。でも、彼らはイース1・2を作っていたときは、すでにファルコムを辞めているわけで、スタッフロールには載せられないと考えるのが普通だ。
だけど、ハドソンは他の会社でファルコムの社内事情など知らないことになっている。そこで、僕はそれを利用して、ダメもとで「オリジナルのスタッフロールを一緒に掲載して良いか?」と質問を出した。

返事はZからやってきた。「オッケー」

正直、舞い上がった。信じられなかった。
それも当たり前だ。絶対無理だと思っていた。まるで知らない顔して質問したわけだが、ダメモトで質問しただけで、オリジナルのスタッフを掲載することが許されるわけがないと思ってた。
もう嬉しくて嬉しくてしょうがなくて、一気にスタッフロールを作った。
構成は工藤社長などが最初に出て(お金を出す人が一番偉いというルールが世の中にはアルンデスヨ)、次にオリジナルスタッフとして1と2のPC版を全部合わせたもの、そしてそのあと移植スタッフで、今のイースのスタッフのタイトルロール。

で、出来上がってもう大喜びで、僕は見せた。
「岩崎、これはダメだよ。オリジナルのスタッフを削ってくれ」とZは僕にいった。

いまだもって、どういうつもりで「オッケー」といい、そして、どういうつもりで「ダメだ」と言ったのか、僕には全く分からない。
ただ、信じられないほど頭にきたのを覚えている。
聞いた瞬間「ふざけんな」って大声で怒鳴って、即、仕事止めて、酒を飲みに行った記憶がある。
あくる日、あまりに頭に来たので、一度は、声優さん以外のスタッフは全部削除した版を作ったのも覚えている。
自分的に絶対に許せないと思ったので、だったら声優さん以外スタッフはなしでいい、と思った。HaHi君とか、進藤とかも、まあ僕があまり怒っていたせいか「しょうがないよね」って雰囲気だったのも良く覚えている。

それから2・3日本当に怒っていたけれど、考え直して、結局、今のスタッフロールを作ることにした。
確かに声優以外スタッフが載らないスタッフロールを作ると僕の気は晴れる。
だが、当たり前のことながら、スタッフロールに名前を載せるのはスタッフの権利なのに、それを僕のエゴイズムでハドソンのスタッフを全部削除しました、ではあまりにひどい。
それに仮にスタッフロールを削ると、僕はイースを移植していることも公表していたのだから、自分ひとりはイースを移植した人間として知られるが、他の人間は知られないことになり、これまた話しにならない。
Zのやらかしたことは、全くの裏切りだと思うが、だからといってスタッフを載せないというのは、僕のエゴイズムも度が過ぎると思い、作り直して、今のスタッフロールが完成した。

ただし、どうしてもZを僕は許すことはできなかった。
だから、僕は彼をスタッフロールから削除し、載せていない。
Zはスタッフロールに載っていないので、本名を出してない。だからこのシリーズでも仮名なわけだ。

なんといおうと、スタッフと言える範囲には限度があると思うのだ。
|| 18:25 | comments (4) | trackback (0) | ||

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コメント
7年くらい前にハードなストーリーでヒットしたエロゲー、
「君が望む永遠」において、
スタッフ名がバカ王子ペルシャとかふざけた名前だったのが作品を台無しにしている、
という意見がしばしば見受けられました。

それを20年前にすでに感じていた岩崎さんの考え方には感心しました。

僕自身けっこうマニアックだったので、
スタッフロールもきちんと見ていました。
で、「あ、この人あの作品にも出ていたな。」というのを
見つけるのがひそかな楽しみでした(笑

イトマキさんの名前がイース4の時に長山真希になっていたので、もしかしたらと思ったら、
本当に長山豊さんと結婚されていたんですねw

ともかく、本名のスタッフロールはいいものですね。
| Pakochan | EMAIL | URL | 10/09/08 22:01 | RH/DpXao |
そうやって我慢するのが大人の事情ですねw

ネットが普及してから広まった話ですが、ブチギレが酷くて有名なエンディングに、
大手N社販売でA社制作の某夢冒険のEDに「てめえだよてめー」なんてのがありましたね。
一応隠し扱いとはいえ、ああいうのはあまりにも大人げなく酷いなと思った。
| はちはち | EMAIL | URL | 10/09/06 00:17 | 7Q0Cf0A. |
いや、今でもすぐ怒るしキレるし、そこで怒りをブチまけてメリットがたいていないから、我慢するだけですよw

同じ状況に置かれたら、今でも同じように爆発します。絶対に(;´ω`)

ちなみにゲーム的な演出というとスタッフロールでプレイ可能なんてのや、プレイヤーのリプレイを使うなんてのもあったりします。
| 岩崎 | EMAIL | URL | 10/09/05 20:49 | Eeem.i3Y |
今回の話は、血気盛んな若い頃の岩崎さんと、後に歳を重ねそれを長い目で見る
岩崎さんの2通りの視点で見れて面白かったです。
当時を思い出すと、大体この辺りからクレジットを映画っぽく見せる手法が
ゲームに増えてきたような時代だったと思います。しかし個人的には映画の手法を
まんまなぞるよりは、ゲームならではの演出を入れてくれたものの方が好きですね。
そういう意味ではイース1・2のエンディングのキャラのアニメはかなり良かったと思います。

しかしこの手のクレジットの表記に実名を出すかどうかの作り手の意識というのは、
人によってはかなり意識が違うようで、聞いた話では、あるメーカーの開発者は
こんなゲームに自分の名前が載るのは嫌だから仮の名前で出してくれとか
そういう人もいたそうです。
| はちはち | EMAIL | URL | 10/09/05 13:15 | 7Q0Cf0A. |
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