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ファミコン版ゼビウスの隠しコマンドの話
昨日(5/14)の夜、twitterで出ていた「ファミコン版のゼビウスの無敵コマンド」がコンプティークに掲載された前後の話について、僕が記憶していることを書いておきたい。

歴史的な話なので、まず事実関係を簡単に書いておこう。
コンプティークは当時角川メディアオフィスから刊行されていたパソコン雑誌だったが、イマイチ部数が伸び悩んでいた。
これが85年7月号で、ファミコン版のゼビウスの隠しコマンドを初めて取り上げたことで、一気に部数を伸ばし、パソコン雑誌の中でも最も売れる雑誌の一つになるきっかけになる。
また、このゼビウスの隠しコマンドの公開が契機となって「隠しコマンドブーム」が起こり、当時創刊されつつあったあらゆる雑誌に隠しコマンドを掲載するコーナーが出来上がることになるわけだ。

このあたりは角川のIR情報にもなってたりする。

そして、この話についてwikipediaのコンプティークの項目に以下のような記述がある。

1985年7/8月号にてファミコンゲーム「ゼビウス」の無敵コマンドを最初にとりあげた本でもある。同じ号でアダルトゲーム「天使たちの午後」の記事も載せ完売、増刷した。増刷分にはその旨が書かれた帯が付いていた。当時の編集長だった佐藤辰男(現角川グループホールディングス社長)は2008年12月号にて当時のことについて「ナムコに呼び出され声を録音され、ただ謝るだけだった。だがこの雑誌があまりにも売れ、凸版印刷の担当者から「田中金脈の時の文藝春秋以来売れた」と言われたくらいで、相乗効果でゼビウスも非常に売れ、何度も謝るうちにナムコとも和解できることとなった」と回想している。

基本的には、この話は僕が佐藤さんから聞いた話に近いのだけど、直接聞いた話と少し違っているので、聞いたと記憶している話を並列して載せておきたい。

ゼビウスの隠しコマンドは読者からの投稿だった。当時、コンプティークは部数が伸びず悩んでいて、問題になるかもしれないと思いながらもやけくそで載せた。とんでもない売れ行きで一瞬で完売し、嬉しくて増刷した。
しばらくして、ナムコから編集部に電話があった。
ゼビウスの隠しコマンドの記事について、編集長を出せという。もちろん出た。
相手は弁護士で「これからあなたがしゃべることは全部録音します」と言われ、テープレコーダーの動く音が聞こえた。
事実関係を伝え、平謝りに謝った。
もちろんそのあともしばらく関係は悪かったのだけど、隠しコマンドがきっかけになり、ゼビウスの売れ行きが再燃したこともあって、ナムコ側の感情は和らいでいったようだ。

と、こんな記憶。まあ似たような話ではあるので、そう細かいところを気にする必要もないかなと思う。

ところで、この隠しコマンドは後の読者に公開されることが前提の隠しコマンドでは全くなく、明らかにデバッグ用のコマンドが公開されたって代物だ。
なので、僕は当時から、これが流出したのは

(1)スタッフが再度盛り上げるために投稿した
(2)リバースエンジニアリングが当時は当たり前だったので、それでバレ、知った誰かが投稿した(すなわちプロが見つけて投稿した)

この2つのどちらかだろうと思っていた。
そして(1)は当時のマーケティングを考えれば考えづらく、(2)だろうだけど、真相を知れることはないだろう、と思っていたけだ。

そしたら、ここに2つの情報が。
一つがぱぱら快刀センセイ。


つまり、デバッグコマンドは関東のゲームマニアたちの間で、コンプティークの掲載より早く広まりつつあった、そしてそれはナムコのアルバイターから広まったという噂だったってことがわかった。

では、広めたのは当時のナムコのアルバイターだったのか?
これには作者の遠藤雅伸さん自身は異論を唱えている。


ただ、遠藤さん自身もここで書いている通り、ROMイメージからの解析ってのは僕も少々信じがたい。
というのも、当時の解析をするときは、技術の解析だ。
だからスクロールしてるときの処理とか、スプライトの扱いとか、サウンドの扱いとかそういうところを解析するわけで、タイトル画面での入力処理なんて、めんどくさくてどうでもいいところは普通は解析しない。もしそこらへんを解析したのだとすると、かなりヒマしてたか、それとも趣味の範囲だったとしか思えない(僕自身も何度も他社のプログラムを解析したことがあるので、この考えは変わらない)。

というわけで、僕自身は、ぱぱら先生の聞いた噂の当時のナムコのアルバイト(多分デバッグをしたとか、撮影につきあったとか)からバレたって意見を支持しておきたい。
この真相が明らかになることはまずないだろうことが残念だが…

ところでこれはゲームの歴史的に大きな話であったと同時に、自分にとっても大きな話だった。
というのも、ここでこの隠しコマンドを掲載してコンプティークの部数が伸びなかったら、知り合いの編集のSさんがマル勝ファミコンを企画した時通ったかどうか怪しい。
そしてそれが怪しいってことになると、僕がゲーム屋になれたかなんとも疑わしい。
そう考えると、コンプティークに掲載されたゼビウスの隠しコマンドは、僕をゲームのプロの道に導いてくれるきっかけになる、すなわち人生を決定づけた隠しコマンドだったのだ。
|| 21:49 | comments (5) | trackback (0) | ||

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コメント
やるっきゃ騎士は月刊少年ジャンプ
ラーメンマンはフレッシュジャンプ

裏面パスワードは分からないが
全隠しキャラの出し方を最初に書いてた本は月間ジャンプだったと記憶
| て | EMAIL | URL | 13/05/17 19:26 | bdBh8DeU |
ちょっとHな記事もあったから雑誌が売れた説も

http://twitpic.com/2iwi1e
http://twitpic.com/2iwi9c
https://twitter.com/v_mx/status/334987110895468547
| way | EMAIL | URL | 13/05/16 23:54 | kW5VmSDQ |
隠しコマンドじゃないですけど、FCスーパーマリオの無限増殖バグなんかもコンプティークの記事じゃなかったでしたっけ?
当時友人が興奮していたのを覚えています。
ゼビウスとどっちが先だったかな?
| kou | EMAIL | URL | 13/05/16 13:32 | yYlhVw9Y |
コンプティーク、私はスーパーマリオ9ワールドの記事がキッカケでしばらく買ってました。
ボンバーマンのパスワードを解析した記事は、投稿者がこれに夏休みを費やしたとか書いてあって驚いた記憶があります。
ゼビウスのデバッグコマンドは、小学校の時に友達に教えてもらいました(何かカセットを貸すのを交換条件にw)
| r1 | EMAIL | URL | 13/05/16 04:59 | 3.JRzWM. |
この手の話だと、ボンバーマンの裏面(?)のパスワードが思い出深いですね。
確か、フレッシュジャンプ(月刊誌)しか載ってなかったんですよ。
(袋とじだったような)

購読してなかったんですが、コレを機会に読みだしたのもいい思い出です。
「やるっきゃ騎士」とか「闘将!ラーメンマン」の頃かな?
| atsu | EMAIL | URL | 13/05/15 22:06 | jB3nOvqE |
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