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天外IIのUIについて(2/終)
前回のにちょっと追記。

FFIVの大ヒットで「話す・調べるボタン」が確立したのは、全く疑いもない事実で、これ以降のRPGでは普通が「話す・調べるボタン」になっていく。
そして、それがデファクトスタンダードとして決定したと満天下に示したのがドラゴンクエストV(SFC/1992年9月)。
ドラゴンクエストVで「べんりボタン」という名前で話す/調べるボタンが搭載され、これで世の中は「話す/調べるボタン」が主流になりました、と宣言されたようなものだった。ちなみにドラゴンクエストVでは「はなす」は相変わらずメニュートップの最初の位置にあり、Aボタンの2連発で話せるようになっている、いわばハイブリッド仕様だった。

「FF4と天外IIの発売日などから考えるに、UIの変更は間に合ったけど、戦闘システムはさすがに変える余裕がなかったってことですね?」
こういう質問がツイッターで来てたのだけど、天外ⅡではもともとⅠが対面型戦闘だったのもあって、対面戦闘以外を使う予定もつもりもなかったので、そこにはFFの影響はほぼないと考えていい。
ただしFFⅣの戦闘は僕をとても悔しがらせたのだけど、なんにしても対面ターン型戦闘については、天外Ⅱでの思想や、歴史まで含めて、このシリーズのどこかで補足がてらに書いてみたい。

で、今回はメインメニューのUIの続き。

天外IIのUIには、当時の(いや、まあ今でもだ)他のRPGにはないちょっと変わったオプションがいくつかある。
まず歩くスピードの速い・遅い
こいつはメインの長谷川君と僕はともかく2人とも速いのが好きだったのだけど、広井さんと桝田さんは、とても指先の不器用な人達で「速い」だとうまく歩けない問題があったので「遅い」もついている。
これは、今ならアナログスティックでサックリ解決出来るし、スーパーファミコンならホニャララボタンを押せばダッシュモードに! でサックリ解決できるのだけど、PCエンジンはメインボタン2つ+START/SELECTしかないのだから、どうしようもない。
ちなみに「遅い」は当時のドラクエなどの歩く速度。速いはそのほぼ1.5倍。当時のFFぐらいのスピードということになる。

そして、他にも、フツーのRPGにはないのが話す>自動、避け補正の2つ。
これは実は、どっちもイースからやってきたもの。
「自動」は宝箱や人と触ると自動的に開いたり話したりするってもので、システムのメインプログラマをやっていた長谷川君がイースが好きで、しかもボタン押すの嫌いだったからついた。

そしてもう一個の避け補正はちょっと説明が必要だ。
避け補正をオンにすると、画面の例のように上を押していると、実際の移動は緑の矢印で、「スルっと」避けて、上に向かって進めるって、まあそういうものだ。
もともとはイースⅡのPC版で初登場したアイディア。イースⅠでは地形に引っかかって、すごくイライラすることがあったけど、Ⅱでは、これのおかげでほとんどストレスフリーに移動することが出来た。なので、イースⅠ・Ⅱを作るときに、もちろんⅠから導入した。
で、天外Ⅱでも導入したわけなのだけど、これは当時の他の普通のRPGでは必要のない機能だった。
なぜなら天外Ⅱは8ドット単位で歩いたけれど、他のRPGは、基本16ドット単位で動くように出来ていたから、地形に引っかかる率が全然違ったのだ。

…と書いてもわからないだろうから、説明しよう。
当時のPCエンジンとかSFCのゲームは、背景画面は8x8ドットのBGキャラクタの組み合わせで出来ているのだけど、地形を作る単位は16x16ドット単位が多かった。
なんでこんなことしてたのかというと、4つのBGキャラクタで一つの背景パーツとして扱うと、すなわち16x16ドットで一個の地形を表すことになる。これは、同じ面積のマップを8x8で表す場合の4倍の広さが簡単に実現できる。なので16x16ドットを「1単位」としてマップを作るゲームがすごく多かったワケだ(24x24は画面が偶数幅なので扱いづらい、そして32x32になると今度はでかすぎて扱いづらくなる)。
赤枠で示されているのが、その16x16ドットで1単位になっているパーツで、この単位をハドソンではセル(CELL)と呼んでいた。
そして、このころの普通のRPGはCELL単位で動くことが多かった。つまり一度方向キーを押すと16ドット分、スルスルーっと歩く。当時のRPGは、普通この16ドット単位で動くのが当たり前だった。
つまり、当時の普通のRPGは「地形の当たり判定が16ドット単位で、16ドット単位で歩くのが当たり前だったので、地形に引っかかる率はとても低かった。だから避け補正なんていらなかった」わけだ。

じゃあ、なんで天外Ⅱでは16ドット単位で動かさなかったのか?
その理由は2つある。
第一の理由は何より山根のアーティストとしてのコダワリ(と書いて、とんでもないワガママと読んでおいてくだされ)。
アーティストとしては当たり前なんだけど、16x16ドットでマップを作り16ドット単位で物事を決めると、見た目は分かりやすいけれど、どうしてもブロック積んだみたいなイメージになる。で、山根は、ともかくそういう規則正しく並んだマップが大嫌いで、8ドットずらしとかして「ブロック然としてないマップ」を作ろうとしていた。実際の画面を見てもらえばわかるけれど、木から何からともかくズレて置かれている。
そしてこんなマップを作ると16ドットのCELL単位で動くと、間抜けに見える。また、山根は壁の後ろだの、机の後だのに隠れるマスク処理を要求した。これまた16ドットではやりにくい処理だ。

ただ、これは決定的な理由じゃない。ここまでは16ドット移動/処理でも「間抜けには見えるけれど、まあなんとかなる範囲」だった。
本当に決定的な理由は、山根のワガママから登場したラージモード。ダンジョンに入るとキャラがでかくなって、表現力を増すってアイディアだ。
もちろんキャラが大きくなってディテールが増すことで、ゲームの豪華さは強烈に上がる。そして天外Ⅱはグラフィックも圧倒的でなければならなかったので、このワガママ自体は問題はなかった。
問題は、これだけディテールがあると16ドット単位で当たり判定のあるマップは、とても難しいし、むりやり16ドットで動けば、間抜けに見えてしまうことだった。
だから実際にコードを作りだしたときに、ダンジョンモードでは、最初から当たり判定は8ドット単位で作ることになってたし、移動も当然8ドット単位になった。
そして、ダンジョンでは8ドット移動、外では16ドット移動なんてのはもちろん愚かな仕様なわけで、当然8ドットで合わせた方がいい。
かくして、天外Ⅱは8ドットで歩くゲームになったわけだ。

そして8ドット移動は結構地形にひっかかる。なので、このような避け補正が入ることになったわけだ。

と、こんな感じで、天外ⅡのUIは作られていたのである。
|| 20:37 | comments (1) | trackback (0) | ||

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コメント
いつも楽しく拝見させてもらっております
当時天外魔境2→カブキ伝とプレイしてなんとなく「こじんまりしたゲームになったなあ・・・」という印象を受けたのですが
その一つにラージモードが無かったんだなあ、という部分が思い出されて来ました。
ゲーム業界も色々変わっていくのは素晴らしいことだけど
時に足を止めてそうした製作者のこだわりを発見していけたらそれもまた幸せなのでしょうね・・・
ゲームを含めて創作物がさまざまな人達の「良い足跡」として残っていってくれると個人的には嬉しいのです。

当時のそんな思い出を残してくださってありがとうございました!
| 野ラ猫 | EMAIL | URL | 12/09/09 21:01 | 2TAoaCFk |
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