KPIとゲーム

いくつかの会社のF2P(Free to Play つまり基本無料の事)かつ、だいたいにおいてソーシャル要素を持ったゲーム、それも海外と国内の両方にこの1年ほど関わってきて思ったことをメモ代わりに書いておきたい。
2013年現在、日本のソーシャルゲームの実力は世界でもずば抜けたものなのは間違いない。
ずば抜けてる点は何か?
KPIによるユーザーの分析とそれによるゲームのフィードバックループの速さだ。


KPIは、Key Performance Indicator。
最近、名称は知られてきたけれど、まあ雑に解説するとゲームがうまく行っているかを知るために重要視される数値のことだ。
例えばDAU(Daily Active Users)が多ければ、賑わっているといえるわけだし、ARPU(Average Revenue Per User)が高ければ「課金してくれる人が多い」ってことになる…てな具合で、プレイしているユーザーのデータを様々な形で切り取って推移を見ることで、実際のゲームがどのようにプレイされているかを知ることが出来る。
簡単に書けば、ユーザーログを解析して数値化し、その中の重要と思われるものをKPIと呼び、分析していくのが、ソーシャルゲームではとても大事なわけだ。
そして、ここの実力差が国内ソーシャルと海外ソーシャルでは大きい。
海外ソーシャルは、facebookのゲームが出自…といっていいのだけど、言い換えると、フラッシュゲームがその出自になる。
その構造ゆえ、ページ遷移などがあまりなかったために解析のレベルが日本のソーシャルゲームより一段劣ると言って間違いない。
この微妙なノウハウを手に入れるには結構な手間なので、あとしばらく(多分2年程度)は、GREEやモバゲーといったプラットフォーマーの優位は維持できると思っている。また、仮に手に入れても、現在の海外の(スマートフォン)ゲームはオンラインで常時データを取る構造にまだなっていないので、なにをどうやっても国内ほどのフィードバック速度を持つのは難しい(国内ブラウザ系ソーシャルでは物の数時間でKPIを見て修正することも普通にある)。
つまり日本のソーシャルゲームは、海外のソーシャルと比較した時、圧倒的に運営のところが強いわけだ。
じゃ、どうして運営が強くなったのかというと、もともと日本のソーシャルは、ほぼブラウザゲームだったガラケーのゲームが出自だ。そしてブラウザゲームはユーザーログを取りやすく、修正も簡単だった。だから分析/修正の運営に関わるフィードバックのサイクルが強力に発達したわけだ。
と、ここまでは日本のソーシャルの強みなんだけど、最近、ソーシャル系で仕事をしていると「KPIを見る優秀な運営がいれば、ゲームなんてどうでもいい(つまり成功出来る)」と、なんというかゲームデザイン側や作る側を極端に軽視したセリフを聞くことがあるのだけど、これはまるで間違っていると思う。
上の書き方をすると、とてもわかりにくいけど、これを言っている人たちは、わかりやすく噛み砕くとこんなセリフを言っていることになる。
「詰まらない野球ゲームでも、優秀な運営がいればヒットする」
いや…一瞬は騙せるかも知れないけどさ、長くは騙せないよ。
運営が成功するには、いいゲーム(もちろんマネタイズまで含めて)が必要だと僕は思うよ。
…と最近、複数のソーシャルゲームと関わっていて、そして、最近リリースされたいくつかのゲームをプレイして、思っていることをメモっておくのである。

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