ゲームの3文字ジャンルの歴史。あるいは”AVG”はどこからやってきたか?

僕がゲーム雑誌でライターデビューした時(1986)は、まだゲーム雑誌自体が揺籃期で、画面撮影の方法が確立されていなかったり、RPGのマップを画面撮影ではなく、イラストレータにおこしてもらっていたりと、今の目から見ると驚くようなことが沢山あった。

画面撮影の話については、イース1・2のデバッグモードでちょっと書いたが、暗い部屋にカメラマンと入ってモニタを直接カメラで撮影してもらうってのが常識だったのだ。

今回はその中でのジャンル表現の話。
自分の記憶では最初は雑誌では「シューティング」とか「アクション」とかフルに書いていた。
これがいつのころからか“STG”だの“SHT”だのといった、3文字テキストで表示するようになってきた。まあこれは間違いなく「ロールプレイングゲーム」“RPG”って略称があったのが決定的だと思っている。

問題なのはRPG以外。
“ACT”ならアクション、”SHT”ならシューティング。”PZL”ならパズルみたいに表現されたわけだけど、”Role Playing Game”ほどわかりやすくなっているわけじゃない。”ACT”ならACTionってことになるし、”SHT”はSHooTingってコトになるのだけど、別に”STG”で、”ShooTing Game”だってありえるって話になる。
そしてこの微妙な短縮加減から、雑誌ごとにこの手の表記は結構バラついていた。
だから今でもシューティングを短縮するとき、”SHT”派と”STG”派がいたりする。
と、当時の3文字ジャンル表現をわかってもらったところで、話は本題になる。
自分にとってはアドベンチャゲームは“ADV”として”ADVenture”を省略するのが当たり前だと信じていたのだけど、これがいつからか“AVG”と略されるのが主流になりはじめたのだ。
で、気が付くと僕の知ってる雑誌はだいたい”AVG”になっていた

ところで、ちょっと今日(3/28)、知らない人がいて驚いたので書いておく。
“adventure”というジャンル名になぜなったのか?
そもそもは、アメリカのクロウザーというプログラマが1975-76に作った”Collosal Cave Adventure”というゲームがあった。
これが“ADVENT”という名前のコマンドでOSから起動するゲームで(大文字なのは間違いではない)、かつタイトルに”Adventure”が含まれていて、そしてこれが当時の大学生の間で大ヒットして様々な亜種が出来て一大ジャンルになった。
だから“Adventure”というジャンル名になったのだ。
また”Adventure”はテーブルトークRPGのセッションからも強く影響を受けているので、テーブルトークRPGは初期のコンピュータゲームシーンに、パズルストーリーを解くところを主体とする”Adventure”と、戦闘と探索の要素が主体の”(Computer)RPG”の二つの要素に分割する形で輸入されたと見なすことが出来る。
テストには出ないがゲームの歴史として頭の中に入れておくと、なぜアドベンチャとCRPGがかくも近いゲームなのかはよくわかる。

気持ち悪くてしょうがなくて「こんな略語を作ったヤツは誰なんだ!?」
そう思っていたのだけど、さっぱりわからないまま、なんと30年が過ぎた。
これをたまたま思い出したのが、昨日。
そして、また語源をしりたくなったのだけど、昔と違うところが一つあった。
SNS、具体的にはfacebookがあり、初代ファミマガ編集長のさあにんさんこと、山本直人さんと、チャレアベなどで有名な山下章さんと繋がっていたのである。
この二人に聞けば100%分かるに違いない! そう思って、聞いたところ答えが得られたので、了解を得て、以下に転載しておく次第である。
まずさあにんさんの教えてくれた歴史。

さあにんさんとのやり取り

ADVって昔は書いていたんですが、RPGやSLGと揃えたんじゃなかったかな。Gameを略称として入れるっていう統一かと。STG(シューティング)ACG(アクションゲーム)とか。
3文字表記に揃える時に使ってましたが、やっぱり普段はACTにしちゃいますね。アーケードゲームでも同しACGとかACになっちゃうので。
まあどちらにしろ私の場台はカタログ本とかを作る際のローカルルールですね。

と、これだけでははっきりしなかったのだけど、ただ当時の表記の揺れが良くわかってとても面白い話だと思う。
そして決定的な、山下章さんの証言。

山下さんからの情報

AVGという呼称は、自分で考えた記億があります。
RPGに対抗して3文字に何らかの区切りの意味を持たせたいと思い、adventureという単語を接頭辞のadと残りのventureに分解し、それぞれの頭文字からAVGにしました。
いまにして思うと、かなり強引でしたね。

かくして”AVG”の略称は山下章さんによって造語として作られ、広げられたのがはっきりした。
ついに、僕の30年来の謎が解けたわけである。

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2件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64; rv:52.0) Gecko/20100101 Firefox/52.0
    RPGの略は、Role PlayinGと解釈して、
    ACT、SHT、PZL、RAC、ADV,などGAMEが付かない略で統一していました。
    ゲーム以外のジャンルがほとんど無かったし、3文字しかないのにGAMEの頭文字を割り当てるのは、無駄だったかと。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 10.0; Win64; x64; rv:53.0) Gecko/20100101 Firefox/53.0
    家庭用だとファミコン大ブームの1986年辺りだとジャンル名とか結構曖昧で、
    ハドソンのチャレンジャーを高橋名人がアドベンチャーゲームと紹介してましたねw
    今思えば広いマップを冒険するからアドベンチャーっことだったんでしょうけど。
    家庭用だとゲーム誌とかで3文字のジャンル名が明確に使われ始めたのは
    ドラクエのヒットでRPGからだったかなあ?1988年初頭はRPGの次はシミュレーションが来るとか
    当時のゲーム誌では大々的に謳われててSLGってワードを見るようになったよう覚えがあります。

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