ハドソンが出していたMZシリーズのSP-50系のコンパイラ

ハドソンが80年代初頭に様々な言語などを出していたのはよく知られていると思う。
中でも特に有名なのが”Hu-BASIC”で、結局、これがX1に参加するきっかけになり、さらにファミリーBASICを作るきっかけになり、最終的にハドソンがファミコンに参入するきっかけになったのだから、とても大事な製品だ。
そして、このHu-BASICにコンパイラがあり、さらにそれを作ったのが誰かは不明だが、少なくとも80年代初頭に本迫さんがメンテナンスをしていた、という話は書いた。

ところで、実は、当時のカタログでは、このHu-BASICのコンパイラ以外にBASICコンパイラがあったことになっていた。
それが以下の宣伝。

シャープのSP-50シリーズのBASICのコンパイラが開発中となっており、そして、このカタログの日付は1980年7月になっているのだ。
では、このコンパイラが実在したのかというと、これがさっぱりわからなかった。
というのも、まず第一に、僕および僕の周辺の人間は誰も製品を見たことがない。
次に、ハドソンの野沢さん・飛田さん・奥野さん・竹部さん・笹川さんと言った、ほぼ創業メンバーと言っていいメンバーからこの話を聞いたことがない(なおくまさんは忘れすぎていて、全く信頼性がないので諦めている)。
なので、実は開発途中で放棄されたソフトだったのではないかと思っていた(当時のハドソンには結構ある)。
ところが、ある日、twitterにこのソフトの写真を上げている方が現れたのである!

https://x.com/noriq2star/status/1873395442731663556

製品番号もZ8900でちゃんと整合が取れている。
そこで、この写真を出して(この手のものは画像を見ると思い出したりするのだ)、再度元ハドソンのみなさんに聞いてみた。

■野沢さん
うーん、中本&竹部だとは思うが、覚えてない。

■飛田さん
こんなパッケージは見たこと無いな。
カセットテープが2本入っているのかな?

■くまさん
私も、見たこと無いな!
mz用で、全然記憶に無いなんて、おかしい気もするけど、フォーマッターとコンパイラという構成とか、シャープのBASIC用だとか、まあ、無いことはなさそうな製品ではあるけど、本物なのかな?

と、どうしようない感じだったのだが、ここで有力な情報が!

■元ハドソンな人
作ったのは中本さんと竹部さんが言ってます

な、なんだってー!
当時、Hu-BASICのコンパイラを作ったのも中本さんのようなので(ようなのがつらいところだが…)これが中本さんなのは不思議がない!
のだけど、いかにもこの証言だけでは弱い。
他に何か証拠はないか…と、探していると、調べていたところに Oh!石さんが超耳よりな情報をアップしていたことに気が付いた。

https://x.com/oec_Nibbleslab/status/1873504469541138887

竹部さんと中本さんの連名の記事。
当時、文章はほぼすべて竹部さんが書いていたので、記事はほぼ竹部さんが連名として入っていた、というのは、中本さんに教えてもらっていたので、言い換えるなら、これはコンパイラを作ったのは中本さんだとわかる。

こうして、ハドソンはHu-BASIC以外にSP-50XX系に対応したコンパイラを出していた、作者は中本さんだった、と確定したのである。

ところでこのコンパイラ、理由は不明ながら1982年にはもうディスコンになっていた(番号が欠番になっている)。
個人的な予想としては、これはSPシリーズをリバースエンジニアリングしたのが明白な代物で、このころにプログラムの著作権が認められたことから、ディスコンにしたのかなあ…とか思っていたのである。

LinkedIn にシェア
Pocket