ピンボールって知ってる?

去年、ワールドカップ前後に書いた電撃プレイステーションのコラムの大幅増量&改訂版。
余りに中身が変わったので、カテゴリを迷ったけど、本当はこれぐらい書きたかったコラムだったので転載でいいやと思ったw
さて。
ピンボールは、このブログ読んでいる人の大半にとっては「名前を知っているが、プレイしたことがないゲーム」の一つではなかろうかと思うので、簡単に内容を説明しておこう。
左にあるような筐体の、結構大きな2メートル近いサイズの様々なギミックが載っているゲームボードの上を転がってくる金属製のボールをフリッパーと呼ばれる2本のバットのような物で打ち返し、出来るだけ長い時間ボールを落とさず、かつギミックを狙って、役を作っていくことで高得点を目指すゲーム。ちなみに左の画像は今回取り上げたゲームにも含まれているBlack Knightというピンボール。
…と書いても、さっぱりわからないだろうなあと、このコラムを書いたときは思っていたので、ここはインターネットの力で拾ってきた画像とともに、デジタルピンボール初期のマルチボール(複数のボールが同時に出る)ピンボールの最高傑作のひとつと信じて疑わないSTERNのFLIGHT 2000を例に取って「実際に、どんな風にプレイをするものだったのか?」を説明したい。

ちなみにピンボールをテレビゲーム…というか、コンピュータでやろうとする試みはとても古くからあり、アップルIIの伝説的に有名なビル・バッジの『ピンボールコンストラクションキット』あたりから始まり、アーケードでブロック崩しの変形、ナムコのGeeBee、ファミコンで任天堂から発売されていた『ピンボール』、PCエンジンとメガドライブで結構ヒットした『エイリアンクラッシュ』&『デビルクラッシュ』、Kazeの名作デジピン『ラストグラディエイター』・『パワーレンジャー』、Windowsに付属してた『Space Cadet』などなど、結構歴史もあって、それなりに遊んだ人もいると思うが、それでもマイナーなのは間違いないだろう。


 
さて、FLIGHT 2000のプレイフィールドは右のようになっている。で、画面に振ってある番号の通りに狙っていく。
1)“BLAST OFF”のランプにボールを通して全部点灯させる
2)左側にあるボールロックレーンにボールを入れる。ボールがロックされ、2つめのボールが出てくる。
3)同じように2つめのボールも入れ、2つのボールをロック。
4)ドロップターゲット(当てると引っ込むターゲット)を5-4-3-2-1と倒す。
5)左側のレーンに3つめのボールを入れる。
と、ここまで来ると、ちょっと派手なデモともにドーンとボーナススコアが入ると同時に、3つのボールが打ち出され、ボール3つでのマルチプレイになる(また、マルチボールの間、プレイフィールド上にあるボールの数に従って得点に倍率がかかる)。
他にもイロイロと役はあるのだけど、一番大きい役のマルチボールプレイに持ち込むためには、こんな風にしてプレイしたわけだ。
…わかっている人間には、そのとき狙うべきところも攻略もあるゲームだったのだけど、いかんせん、ピンボールのルールは結構複雑なくせに、台に貼ってある、そっけない小さなインストラクションカードしかなくて、しかもこのインストラクション、何が書いてあるのかとても分かりにくく、結局ルールはプレイフィールド自体から読み取るしかなくて、しかもボールの動きに偶然がからむので、しばらくやりこまないと面白いか詰まらないかすら判断しづらい、正直、マニアックなゲームだったと思う。

さて、このピンボールは1970年代末まではゲームセンターに数多く並んでいるのが当たり前のゲームセンターの王様だったけれど、70年代末にテレビゲームがゲームセンターの主役に躍り出てから、みるみるうちに減っていき(メーカーも減っていき)、今ではほとんど実機を見ることができないゲームになってしまった。
というのも、ピンボールは実際に動くメカニカルな部品がとても多いゲームで、しかもメーカーもなくなっている場合がほとんどで、一度故障すると二度と動かなくなってしまう。ピンボールの本場のアメリカではレストア業者が結構いて、パーツ作ってくれたり、2台から1台を作ったりとかしてるが、いずれにしてもプレイ可能なピンボールはどんどん少なくなっていくし、ましてや日本では、タイトーがアメリカからの輸入をずっと頑張っていたし、倒産したDECOに至っては自社でピンボールを作っていたぐらいで(デコピンと呼ばれていた。僕はプレイフィールドの設計がいまいち好きでなくあまりやりこまなかった)、全くなじみがないわけではなかったのだが、プレイするのはもちろん、実機を見ることすら難しくなりつつあるゲームの一つなのは間違いない。
そんなレアな物になりつつある実在のピンボールをデジタルで保存するのが今回取り上げる“Pinball hall of fame williams collection”
1980-90年代のWilliamsというメーカーの実在のピンボールをデジタル化して、ホンモノと同じ音・動きをするものが13個プレイできますよという代物。実際にプレイ出来るリストなんかは、最後に貼ってあるアマゾンのリンクでも見て参照にしてほしい。
僕としては”High-Speed”と”Riverboat Gambler”が入ってないのが、なんとも納得出来ないところなのだが、それでもWilliamsの珠玉の名作の数々をアメリカンな雰囲気の仮想アーケードで、どれにしようかなあ…とか選んだ挙句に、プレイするのはなんとも楽しい(懐かしのナムコミュージアムのようにピンボールだらけの仮想ゲームセンターに入ってコインを入れて遊ぶ、という設定なのだ)。
ところで、どうしてタイトルを英語で表記しているのかというと、実はこのゲーム、日本では発売されていない輸入版。というのもPS3 はソフトに動作する国の制限がないので、原理的にはどこの国のソフトでも動く。ただもちろん保証はないし、いろいろな理由で動かない可能性(主にネットワーク関係)もあるので、個人輸入はあまりお勧め出来ない。この文で興味を持った人は、輸入ショップなどで動作確認されたソフトを買うのが安全だ。
また、当たり前だけど輸入版だから英語でしかプレイ出来ないが、ピンボールなんてそれこそ英語ナシでも成り立ってしまうので、まあ英語日本語しか分からない人でも全然問題はないと思う。

なお他のマシンにも触れておくと、PSPもリージョン制限(世界を国やエリアに区切ってプレイを制限するモノ)はない。
X360はリージョン制限があるのだけど、これが使用必須ではないためにモノによって動いたり動かなかったりする(このソフトは残念ながら動かないほうに入っているらしい)。なので海外版のX360を持っているのでなければ、基本的には輸入ショップに頼り、動作確認されたものを買うのが安全だ。
そしてWiiはリージョン制限があるので、海外のWiiのゲームをプレイしたければ、海外版のWiiを買うしかない。
またDSはDSi以降はリージョン制限があるらしいのだけど、DSは海外ソフトで遊んだ事がないので分からない…

というわけで、ソフトの内容だけど、オリジナルのピンボールを知っていて好きなら、実に素晴らしい、まるで神様がピンボールファンのために作ってくれたとしか思えない完璧な出来のソフトだ。
音も絵もなにもかもが、僕がプレイをしていた1980-90年代のピンボールそっくりで、少なくともサウンドとグラフィックに関してはケチのつけようがない。あえて書くなら複数あるカメラの選択がちょっと微妙で分かりにくいとか、それぐらいのものだ。
また、ボールの動きも、今までのデジタルピンボールにあった動きが微妙に違うところも、相変わらず少しは残っているが、それも誤差の範囲と言い切れるぐらいのところまで精度が上がり、昔自分がプレイした感覚でほぼ完全にプレイ出来るといって間違いはない。

コンピュータピンボールはフリッパーの根元での挙動が本物と大きく違う事が多く、イラついたのだが、特にフリッパーの根元の挙動はやっぱり納得がいかない動きをすることがよくあるのだけどWilliams Collectionは、かなり納得がいく。
またちゃんと「狙ったところ」に打てるのは素晴らしい。
(これより以前のピンボールは一番球の動きがよかったKAZEやリトルウィングのものも、イマイチ納得がいかなかったのだけど、これはかなり僕は納得が行った)

そんなわけで、1970-90年代のピンボールに親しんだ人には、超お勧めなので、ぜひぜひ遊んでくれ! と思うのだ。


Pinball Hall of Fame The Williams Collection (PS3 輸入版 北米版)日本語版PS3動作可
Pinball Hall of Fame The Williams Collection (PS3 輸入版 北米版)日本語版PS3動作可
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10件のコメント

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:2.0) Gecko/20100101 Firefox/4.0
    >名前を知っているが、プレイしたことがないゲーム
    近年はもう消えてしまいましたが、10年くらい前は普通にゲーセンにありましたよ。
    ポケモンピンボールとかが結構ヒットしたから、若い世代でもピンボールはそこまでマイナーな
    存在ではないと思います。最近だとiPhoneのアプリでThe Deepとか良質なデジピンが出てますね。
    90年代は映画見に行った時とか、上映までの待ち時間にデコのスターウォーズとかよく遊んでたな。
    版権台とか大好きで、スコア表示の電飾のちょっとしたアニメーションの演出とか味があったな。
    日本じゃデコとかセガとかカプコンが一時期ピンボール出してましたね。

  • AGENT: Mozilla/4.0 (compatible; MSIE 8.0; Windows NT 6.0; Trident/4.0; GTB6.6; SLCC1; .NET CLR 2.0.50727; Media Center PC 5.0; .NET CLR 3.5.30729; .NET CLR 3.0.30729; .NET4.0C; Tablet PC 2.0)
    ピンボールのゲームってたまに遊びたくなります。
    デビルクラッシュとかポケモンやメトロイドのピンボールが自分のお気に入りです。
    筐体の物も当然遊んだことはありますが、タイトルがわかるのはバックトゥザフューチャーのみw
    他のは多分1回ずつしか遊んでないけれど、これは近所の店舗に長いこと置かれていたので、格ゲーの息抜きなどで結構な回数遊んだ記憶があります。
    まあ、何回遊んでも法則などはさっぱりわかりませんでしたが・・・

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:2.0) Gecko/20100101 Firefox/4.0
    ピンボールとは懐かしいですね。主にタイトー系ゲーセンで遊んでいたので、williamsとballyのくらいしかわかりませんけど。
    個人的にはブラックナイトとサイクロンがピンボールの最高傑作だと今でも思っています。

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    >> ロサ常連 様
    ブラックナイトはホールオブフェイムに入ってます。サイクロンも良かったですね~
    >> も様
    ピンボールは普通ルール分からないと思います。あのインストラクションも分からないですしw
    >> はちはち様
    この書き出しはもともとは電撃PSで使ったものでブログではどうかな? と思ったのですが、30以下なら見たことはあってもプレイしたことがないのが普通かなと思って変えませんでした。
    しかし考えてみればデジピンのポケモンとかは結構ヒットしたわけで「実機をプレイした人は少ない」ぐらいかも知れませんね。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 6.1; WOW64; rv:2.0) Gecko/20100101 Firefox/4.0
    なんかゲーム業界関係の人ってピンボール好きな人が多い印象ですね。
    岩崎さんの世代のライターの方は、当時のゲーム誌にがピンボールのことをよく書いてたし、
    ファミ通とか一時期は結構なページ数割いてピンボール特集とかやってたのを覚えてる。
    >ピンボールは普通ルール分からないと思います
    昔、鈴木みそさんがファミ通に連載してたあんたっちゃぶるという漫画に、データイーストへ
    取材に行った時に、当時社員だったピンボールの名人を取材した話がありましたね。
    ちょっと上手くなるとフリッパーが指先のようになるが、名人は台が手の平だとか、
    初心者向けにも的を得たこういうピンポイントなアドバイスがわかりやすかったですよ。
    「基本は光ってる所を狙って行けばいいです」
    「フリッパーは両方いっぺんに上げないで」
    「右フリッパーは左を狙って、野球の流し打ちみたいに」

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    >> はちはち 様
    僕らの世代70年代後半ー90年ぐらいまでで、ゲームをあちこちで遊んだ人は「エレメカ」と「テレビゲーム」の端境期で、どちらも遊んでいるのです。
    だから、ハンドル動かすと物理的に車が左右に動いて、ベルトコンベアの上を走るカーレース、なんてものを遊んだ事があったりするわけです。
    その頂点に立つのがピンボールなので、僕らの当時ゲームを結構やってる人間は普通、ちょっとはピンボール知ってると思いますよ。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows; U; Windows NT 5.1; ja; rv:1.9.2.16) Gecko/20110319 Firefox/3.6.16 ( .NET CLR 3.5.30729)
    だから、ハンドル動かすと物理的に車が左右に動いて、ベルトコンベアの上を走るカーレース、なんてものを遊んだ事があったりするわけです。
    ↑帆布を塗った様な道路に金属板が埋め込まれたような奴だった記憶があります。
    小学生の頃でしたがピンボール遊びました。
    サターンのラストグラディエーターも好きでしたよー。
    おさるのかごやとかもありましたねー。

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    ピンボールは八王子のバットマンビル(シグマ系列のゲーセンビル)に
    沢山あって、結構遊びましたね。ただ、あまり思い入れが無かったので
    有名タイトル物(ターミネーター2とか)を触った程度です。
    エレメカとか、コイン物のようには定着しませんでしたけど
    景品なんかがあったら、文化としてまた違ったかもしれませんね。

  • AGENT: Mozilla/5.0 (Windows NT 5.1; rv:2.0) Gecko/20100101 Firefox/4.0
    じつはその電撃PSのコラムを読んでWilliamsCollectionを買った者です。残念ながら実機で遊んだことはなく、ファミコンのピンボールやサターンのKazeピンが好きなだけだったのですが、これには嵌りました。
    特にMedievalMadnessは何度やっても飽きません。
    アメリカの方ではピンボール(実機)再評価の流れもあるようですが、日本でも復活してくれませんかねー。

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    >> あんじい 様
    いやー買って楽しんでいただけたなら、それはとても嬉しいです。
    デジピンも実機にはないフィーチャーがあっていいと思うことはあるのですが、やっぱりピンボール実機名作の絶妙のバランスを知っていると、バランスがどうにも物足りない事が多いのです。
    ちなみにHall of fame 2が出たら、やっぱり僕は絶対に買いますw

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