MSX版『スターソルジャー』の作者

先日、アキバBEEPさんに初めて訪問した。

ずっと行きたい店だったのだけど、知っての通りコロナで非常に行きづらく、今回もフランス人の友達がなんとしても欲しいものがあるから買ってきてくれとせがまれたので、訪問が成立したようなものだった。

普段はBEEPさんは海外発送をしているのだけど、コロナ騒ぎによって止まっていて、そして彼はどうしても欲しいものをブログで見つけて僕に頼んできたのである。マジかよ。

それで、入った感想を以下のようにツイートした。

どうして、三上君か小坂さんあたりじゃないかとあたりをつけたかというと、これは明白に理由があった。
『ハドソン伝説』を書くためにインタビューしまくったとき、小坂さん、三上君、菊池さんあたりが、1986年入社だと知ったわけだけど、のちの仕事を考えれば、小坂さんか三上君あたりでないと、ちょっと荷が重いのではないかと想像したわけだ。

ところで、どういうわけか僕は小坂さんは「さん」で、三上君は「君」になる。多分ハドソンにいたときの微妙な関係性からこんな風になっているのだと思うのだけど、不思議な話だ。

と、上のツイートしたとたんにMSX研究所長さんから、こんなツイートが飛んできた。

実はこのツイートを見た瞬間、誰が作ったのかの答えは小坂さんだと出ていた。
なぜならKOSは小坂さんが使うペンネームで、35年経った今でもgmailのメールアドレスには“.kos”と入っているわ、宛名は“KOS”だわって人だ。小坂さん以外でありえるわけはない。
なので、もう一人の“SIRO”だけが問題だ。

ただこれは城近さんだろうと思っていた。
これまた理由ははっきりしていて、まず当時、城近さん以外にSIROの表記になる人がいないということ。
次に小坂さんは城近さんとこのあと『高橋名人のBUGってハニー』で組み、さらに『ビクトリーラン』でも組んでいること。
これから考えて、まず間違いなく城近さんだろうと思っていたのだけど、これはあくまで推測だ。

もしかしたら菊池さんが自分が子供の時に飼っていた犬の名前をハンドルに使うことに決めていて”SIRO”と書いた可能性だってある。ともかく100%ではないことは本人に聞くに限る。

で、メールを投げようとしていた時、さらに精度が上がる情報がなんと野沢さんから飛んできた。

これはもう小坂さん100.0%確定だ。
というわけで、小坂さんに確認のメールを投げた。内容は以下。

小坂さんがやってるのは100%わかっているんですが、一緒にやった人は城近さんでしょうか?
ROMの中にKOS&SIROと書かれていると教えてもらい、誰がやったのかなと。
あと、MSX版はなんと1986年に発売されたらしいのですが、だとすると、小坂さんのスケジュールは

・86年4月に入社(基本は北海道にいて、東京には長期出張していない)
・86年4月→ファミコン版『スターソルジャー』マスター
・86年7月→『迷宮組曲』の連射測定プログラム
・86年秋のどこか→『ミッキーマウス』スタート
・86年12月ぐらい→『ミッキーマウス』マスター
・87年3月→本格的にやったミッキーマウス発売

となっていて、移植できたタイミングが86年の入社直後か、それとも迷宮組曲の連射を終わらせた直後ぐらいしかないんですが、そこらへんもなんか覚えていませんか?

さて、小坂さんの返事が以下。

■小坂さんより
MSXのスタソルは、小坂と城近さんとで作成しました。
6502のソースをZ80に人間コンバートで移植してます。
FCのようにキャラクタROMが無かったので、容量でかなり苦労した記憶があります。

ここでわかりにくいだろうことを追記すると、(ハドソン伝説を読んだ人は理解していると思うけれど)ファミコンの『スターソルジャー』の容量は32キロのプログラム+キャラクタROM32キロ(8キロ×4バンク)の構成なので、実は32キロバイト以上。
それを32キロバイトしかないMSXへの移植だったので、容量が足りなくて苦労したわけだ。
また6502のソースをコンバートしたのは、野沢さんの記憶と一致している。

「読んでロジックだけ移植しろ!」って野沢さんの気持ちはわかるけれど、35年前の入社したての新米のペーペーにそれを言うのは厳しいだろうw

では、期間は?

■小坂さんより
期間ですが、86年春から夏くらいでの作成ですね。
FC版の完成後の早い段階で、作成に取り掛かっていたと思います。
2,3か月の製作期間だったと思います。
ミッキーマウスは、その後、夏から秋にかけて話が持ち上がったと記憶してます。
当時の製作期間なので、3,4か月の目標で作成していたと思います。
なので、スケジュールは、指摘の通りだと思います。

ファミコン版のマスターが4月半ばなので、もしかしたらゴールデンウィーク前にはスタートしたということだろう。
このあと『迷宮組曲』の連射プログラムを書くことを考えて、そしてそれが7月末~8月中旬と想定すると、5-6-7と約3か月程度の期間があったことになり、当時の小坂さんの想定されるスケジュールとだいたい一致する。

しかしだ。いくらなんでも4月入社したてのペーペーに良くこんな実戦を任せたもんだとかなり驚いていたのだけど、そこらへんも小坂さんからの証言で謎は解けた。

■小坂さんより
ちなみに、入社前の10月くらいから研修で通ってました。
講師は中本さんで、その時にZ80を覚えました。
その時に、MSX上で動くドットエディタもどきを作成していて、スタソルのキャラクタも結構自分で手直ししてましたね。
色のにじみを利用したドットが、MSX2の発売で露わにされたときは焦りました。

なるほど、入社前から研修していたわけだ…そりゃあいきなり実戦に行けますよね、と思ったのであった。

そんなわけで『ハドソン伝説・ファミコン編』から派生した謎だったのだけど、MSX版の『スターソルジャー』については、基本的な謎は全て解けたと考えていいだろう。

  • コードを書いたのは小坂さんと城近さん
  • 小坂さんと城近さんは『高橋名人のBUGってハニー』と『ビクトリーラン』でも組んでいる。
  • 書かれたのは86年5-7月。
  • 移植は6502のコードを手作業でトランスレート。
  • グラフィックは小坂さんの作ったツールでかなり修正した。
  • MSXの方がROM容量がきつく、容量的に大変だった。
  • 小坂さんはそのあと『迷宮組曲』の連射プログラム、『ミッキーマウス』、『高橋名人のBUGってハニー』と仕事が続いていく。

ところで『ハドソン伝説・MSX編』は書きませんよ。

というわけで、以下、この話のモトネタになった『ハドソン伝説・ファミコン編』。

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3件のコメント

  • MSX版スターフォース・スターソルジャー双方で背景に星が流れなくて寂しい思いをしてたんですが、このROM容量不足とかと関係するんでしょうか。
    さらに、ハードスクロールを備えていない・スプライトも単色という機種でしたから、移植も大変でしたでしょうね・・・

    • 9918はスプライトの数が総計32枚で、そもそもファミコンより少ないのですが、加えてスプライトが単色ですから、敵や自機にはスプライトを2枚使うのが当たり前だったのです。
      だからスプライト不足もいいところだったので、背景の星は諦めたというのが真相だと思います。
      あとスクロールが画面書き換えで自前になるので処理速度を稼ぎたかったというのもあるかなと思います。

  • 先生!!
    迷宮組曲の連射測定のディスアセンブル、気長にお待ちしております。
    すごーく暇なときで構いませんので。。。

    ところでスターソルジャーといえば、キワモノはPS2のPSBBのハドソンチャンネルに存在したやつですかねぇ。
    確か裏側にいけなかったので、なんとなく指が勝手に覚えていた攻略パターンとの
    違和感がすごかった記憶があります。なのでちょっとしか遊びませんでした。。。
    いくつかのゲームが無料で遊べたと思うのですが、あれって商売?成り立っていたのでしょうか。

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